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スキのなかのスキ記事

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愛と、愛に見えるもの。

愛と、愛に見えるもの。

 『愛』、とは、そう簡単に語れるものではない代物のようでいて、しかし元来とてつもなくシンプルなものを、人間がただこじらせているだけのもの、のようにも思える。

 交流する中で『愛』を感じたことのない誰かから、面と向かって『愛』を語られたとしよう。斜に構えた私ならきっと、「あんたが偉そうに愛を語るんじゃないよ」と思うのだが、よくよく考えてみれば、果たしてその誰かと私の中にある『愛』が完全一致している

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君はぬいぐるみを抱えて闇夜に眠る

君はぬいぐるみを抱えて闇夜に眠る

星降る夜に
君は熊のぬいぐるみを抱えて眠る

自分に呪文をかけてくれるなら
それが
本物でなくたってかまわないのだろう

眠れぬ夜は
闇夜の軋みも耳につき
まどろみと現(うつつ)の間を
君は何度もいったりきたり

安住の地を求めて
さ迷い続ける君
ぬいぐるみは語りかけてくれない
そのはずだ
君が抱いているのは
君自身なのだから

闇夜はいつしか
東の空から暁に変わり
白いレースの小窓から
君に光を

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光輝に照らされて

光輝に照らされて

4年前、不思議な人と出会った。

周囲には騒がしい人が多い中で、
極めて物静かで、
スマートな出で立ちだけど、
近寄りがたい影が映る、
妙に印象に残る人だった。

その人とは、その年、
一言二言しか、会話を交わさなかった気がする。

3年前、私の同期を中心とした、ある事件が起こった。

人間関係のいざこざ。
当時の研究室は、どす黒い雰囲気だった。

その人も、その渦中に巻き込まれた。

いや、わざ

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三人の雪女

三人の雪女

私はたぶん三人の雪女を知っている。

私の母、松田ハルヱは山形県の農家で生まれた。母が生まれてすぐに母の母、私の祖母は体調を崩して他界している。それでも母は三人の兄、二人の姉を持つ末娘として皆から可愛がられて何不自由なく成長したという。そして、十五歳になるのを待たずして年齢を偽り試験を受けて日本赤十字病院に奉職した。南方で従軍していた長兄に会いたいという一心で父親に内緒で受けた試験に合格してしまっ

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名前も知らない兄を通して、父について考える。

名前も知らない兄を通して、父について考える。

 父からLINEがあって兄が亡くなったのを知った。
 兄と言っても父の前の奥さんとの子で、一度会ったことがあるだけで会話を交わした記憶もなかった。
 だから、知らせを聞いても何の感慨もなかったし、父に対する返信も考えてしまう部分があった。

 まず、僕は兄の名前を知らない。
 知っていることは父の前の奥さん(兄からすれば母親)は亡くなっていて、祖父母に育てられ広島に住み、34歳で心筋梗塞で亡くなっ

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あまつぶ

あまつぶ

手のひらにおりた天粒と

ボクが抱き続けるいのちに

なにか違いなんてモノがあるのかな

見返りを求めない生き方を考える

見返りを求めない生き方を考える

こんにちは!

早いものでもう、3月も後半戦。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

今日は、「見返りを求めない生き方」について考えてみようと思います。

少し前にわたしが出会った、ある1人のおばあさんとのエピソードをベースに、つらつらと綴ってみます◎

1.そうだ、田舎に行こう。昨年の年末。介護の末、大好きだった祖父を天国へと見送りました。

享年92歳。祖母が亡くなってから9年。自分自身も10年以

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人は、自分のために喜んだり、泣いてくれる誰かがいるだけでちょっとだけ救われる。

人は、自分のために喜んだり、泣いてくれる誰かがいるだけでちょっとだけ救われる。

北京五輪、女子団体パシュートで転倒した高木菜那選手が、個人種目のマススタートでも、まったく同じ場所で転倒した。

これはこれで衝撃的で、高木選手の心痛を心配もしたのだが、その後決勝に進んだ高木選手のサポートを笑顔で行う姿に安堵した。

他人の失敗を見て「失敗して辛いだろうな」と自分の主観で考えてしまうことはよくある。しかし、それはあくまでこっちの主観であって、本人にとってあれは「つらい失敗」ではな

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私の人生を大きく変えたのは、身近な人ではなく【発信者】だった。そんな私が思うこと。

私の人生を大きく変えたのは、身近な人ではなく【発信者】だった。そんな私が思うこと。

30代前半にこんまりさんの「ときめく片づけの魔法」に出会い、汚部屋出身の私の人生は、そこから大きく変わりました。

「一冊の本で、ここまで人生変わるんだ!」

と、読書の素晴らしさに気づいた私は、それから10年以上、途切れることなく図書館に通い続けています。

読書と同時に、私はたくさんのブロガーさんの記事を読み続けてきました。

それぞれとても多くの学びをいただいてきましたが、中でもあるブロガー

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世界の終わりには

世界の終わりには

長い歴史の終着点は

どんな風だろう

大きな爆発音とともに

一瞬で消えていくのか

それとも静かに厳かに

フェードアウトしていくのか

または戦争という

愚かな行為で

既に傷だらけの地球を

最後の最後まで

痛めつけるのだろうか

いつどんな形で

その時が訪れるのか

誰にもわからないけれど

世界が終わるということは

地球の歴史も生物も

消滅してしまうということだ

もう無くな

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「弱さ」もきっと返報性なんだと思う

「弱さ」もきっと返報性なんだと思う

「返報性の原理」というものを聞いたことがあるだろうか。

”人は何かしらの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く原理”

のことだ。

何かやってもらったら自分も何かやってあげたい、

海外の方はわからないが日本人は結構こういった考え方の人もいるんじゃないだろうか。

最近になって気づいたことがある。

「弱さ」も返報性だな、と。

どういうことか、言語化していきたい。

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個性も社会性もない弱者がこの世界を渡っていくために。

個性も社会性もない弱者がこの世界を渡っていくために。

人間社会というのは群れで生活することを基本として営まれている。現代は“個性”と呼ばれる個としてのオリジナリティーが尊重されてる時代といえるが、それでも社会の本質は変わっていない。

人間というのはこの“社会”というものに対していかに折り合いをつけ、うまくやっていくかに人生をかけ、そして願わくば愛する人々に囲まれて最期を迎えたいと考えている。

しかし、それは人間が人間であるがゆえの矛盾をはらんでい

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冬の海を見ましょう

冬の海を見ましょう

酔っていたい気持ちと今日は酔いたくないぞという気持ちだったり、なんだかどうでもよくって酔ってしまったという口実を使って電話したい人が何人もいること、冬の海が全部忘れさせてくれる気がするよ
#小説 #コラム #エッセイ #本