君はぬいぐるみを抱えて闇夜に眠る
星降る夜に
君は熊のぬいぐるみを抱えて眠る
自分に呪文をかけてくれるなら
それが
本物でなくたってかまわないのだろう
眠れぬ夜は
闇夜の軋みも耳につき
まどろみと現(うつつ)の間を
君は何度もいったりきたり
安住の地を求めて
さ迷い続ける君
ぬいぐるみは語りかけてくれない
そのはずだ
君が抱いているのは
君自身なのだから
闇夜はいつしか
東の空から暁に変わり
白いレースの小窓から
君に光を届けるだろう
窓から
月が君を見下ろし
星屑が君に降り注ぐだろう
闇夜は
少しずつ少しずつ
暁となり曙となり夜明けを迎える
ごらん
東の空の雲を
うっすら茜色に染め
朝日が顔を出す
ごらん
木々に眠る
鳥たちが目覚め始め
喜びの歌をうたう
君の朝だ
体を起こしてみて
朝が君を呼んでいる
もう
その腕から
ぬいぐるみを離しても大丈夫
君の心は今日に向かって
解放されたから
おはよう
長い眠りから目覚めた君
おはよう
昨日という日から解き放たれた君
君の朝だ
かかえきれぬ
闇夜の軋みに悩まされ
君は両手に朝日を抱く
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?