戸原 多津子

主に朝、思いつくままに浮かんだ考えを記録に残していきます。

戸原 多津子

主に朝、思いつくままに浮かんだ考えを記録に残していきます。

記事一覧

№78 散逸

今年こそ会いたいね また旅行に行きたいね ゆっくり話したいよ 近くに来たら知らせて そんなやりとりを 郵便受けのチラシのように扱っていた 自分もそんなひとことをばら…

1

№77 不在

夕暮れのイオンの脇道 歩道に枝を広げる木の下を通り過ぎる時 フードコートから漏れる明るい光 僕は 君の生きていない今日にいて 君が 僕の生きている今日にいない 君…

戸原 多津子
2週間前
1

№76 深更

真夜中の読書感想文 原稿用紙の上で 思いついただけなのに ずっと思っていたかのような 感動、疑問、反論、共感を 猛スピードで書き連ねて 2000文字を誤字なく埋めれ…

戸原 多津子
1か月前
5

№75 宿題

古の英知に祈りを捧げ 終わりに向かう夏 残る暑さは 濡れタオルを何度当てても 冷めぬ子の額のように ただじっとやり過ごすだけ 庭に落ちた蝉の 魂なき姿に 水をかける

戸原 多津子
1か月前
1

№74 誤認

本当に自分が悪かったのに 心が 自己弁護のカードを次から次に繰り出し 私を安心させようとする 私も そのカードを一つ一つ 長い間眺めている 夜 ふと ずっと一緒だった…

戸原 多津子
2か月前
2

№73 英知

真夏の太陽に耐えている 庭のゴーヤは 待てば雨が降ることを知ってるようで 地球も 季節も 夜空の星も 僕の毎日も ぐるりぐるりと廻ってる 降った雨も じょうろから受け…

戸原 多津子
2か月前
6

№72 素足 

夏休みという 旅に出る いつもと違う時の流れの中を 絶対自由に泳ぐんだ 何かを成し遂げたり 成長したり 目標とか計画とか 宿題はさっさと片付けて 毎日を心に刻み込んで…

戸原 多津子
2か月前
3

№71 快晴

昨日休んだからって 今朝は 一昨日からワープしただけ 昨日の僕は今日の僕を 励ますことも出来ず 息を吐く 空が雲無く晴れて セミはもう喚いてる 窓の外に世界があること…

戸原 多津子
2か月前
6

№70 宛先

遺された 私の気持ちが あなたの中で生きながらえても 星の瞬きの間に 消えていく 空の彼方に吹き溜まり さらさらと 微かに光る 記憶によく似た 時の砂は 行き先も  戻…

戸原 多津子
2か月前
3

№69 予報

雨が止めば鳴く蝉の 土から出てくるその晩は 月が明るく照らされて 風もそよとだけ吹くでしょう 遅く来て 早く逝く 100年生きる人間に 何度も巡り来る夏

戸原 多津子
2か月前
5

№68 気体

まだアラームもならないうちに 窓の外から強引な 久しぶりの朝陽と蝉の声 3日前のじめついた気分も 怖いくらいのスピードで乾き始める ああ軽い僕の心 うっかりまた何…

戸原 多津子
2か月前
3

№67 証明

僕を見ないで 判断しないで 連想しないで 助言しないで 同情しないで 共感しないで 昨日の僕は僕じゃない 僕が思う僕じゃない 明日こそ 本当の姿で 行きたいのに 夏の…

戸原 多津子
2か月前
3

№66 追難

言の葉の 舞い散る世界 薄いトゲを持つ 青く長い葉が 頬をかすめ 傷をつけ 掌に乗ったひとひらを 振り払う時もある 気づいて 君の背に留まる 小さな枯れ葉の いとま乞い…

戸原 多津子
2か月前
4

№65 花火 

暮らしていくには仲間が 生きていくには友達が いるといいと 君は言う 僕にとって 君は 人生も命も懸けられる 唯一無二 と錯覚する魔法 時に永遠に続く 呪い

戸原 多津子
3か月前
4

№64 視界

薄いカーテンが あちこちにかかるような 静かな雨の日 その向こうに誰かがいると 君はどうしてるかなと ふと思う 雨がやみ 日が差せば すべてとつながっているような 青…

戸原 多津子
3か月前
4

№63 靴紐

非常口のない迷路に 君を送り出す どの謎にも答えがあり どの敵にも隙があり どの危険にも前触れがある 君だけの剣と盾 君だけの呪文 君だけの薬草 どんな苦しみにも安…

戸原 多津子
3か月前
7
№78 散逸

№78 散逸

今年こそ会いたいね
また旅行に行きたいね
ゆっくり話したいよ
近くに来たら知らせて

そんなやりとりを
郵便受けのチラシのように扱っていた
自分もそんなひとことをばらまいて
何かをつないでいるような気になっていて

時にそれは
一番言いたいことは書けないけど
合って顔を見たら言えるんじゃないかって
そんな思いを込めた
手紙かもしれないと

気づいていたなら

№77 不在

№77 不在

夕暮れのイオンの脇道
歩道に枝を広げる木の下を通り過ぎる時
フードコートから漏れる明るい光

僕は 君の生きていない今日にいて
君が 僕の生きている今日にいない

君は あちこちにかくれんぼして
時々 不意に見つかろうとするだろう

図書館の棚で
ファミレスのメニューの中で
駅の改札で
自転車置き場で

№76 深更

№76 深更

真夜中の読書感想文

原稿用紙の上で
思いついただけなのに
ずっと思っていたかのような
感動、疑問、反論、共感を
猛スピードで書き連ねて
2000文字を誤字なく埋めれば
夏の終わり

君はどうしてるかな

№75 宿題

№75 宿題

古の英知に祈りを捧げ
終わりに向かう夏

残る暑さは
濡れタオルを何度当てても
冷めぬ子の額のように
ただじっとやり過ごすだけ

庭に落ちた蝉の
魂なき姿に
水をかける

№74 誤認

№74 誤認

本当に自分が悪かったのに
心が
自己弁護のカードを次から次に繰り出し
私を安心させようとする
私も
そのカードを一つ一つ
長い間眺めている

夜 ふと
ずっと一緒だったよね と
「不安」が話しかけてきた
その「不安」と一緒に
常夜灯のともる階段に
そっと座り

正しい人になろうと
カードを伏せる

№73 英知

№73 英知

真夏の太陽に耐えている
庭のゴーヤは
待てば雨が降ることを知ってるようで

地球も
季節も
夜空の星も
僕の毎日も
ぐるりぐるりと廻ってる

降った雨も
じょうろから受けた水も
空と地上を行ったり来たり

雨を待ちながら
人間の気まぐれな水やりに耐え
先をゆっくり伸ばし
根元から順に
葉を枯らす
ゴーヤは
どうすればいいのか知っている

№72 素足 

№72 素足 

夏休みという
旅に出る
いつもと違う時の流れの中を
絶対自由に泳ぐんだ

何かを成し遂げたり
成長したり
目標とか計画とか
宿題はさっさと片付けて

毎日を心に刻み込んで
自分に夏があったことを
いつまでも

人気のない真昼の道に佇めば
蝉の声を聴けば
夕立が光れば
いつでも戻れる記憶を
僕の片隅に残したいんだ

№71 快晴

№71 快晴

昨日休んだからって
今朝は
一昨日からワープしただけ
昨日の僕は今日の僕を
励ますことも出来ず

息を吐く

空が雲無く晴れて
セミはもう喚いてる
窓の外に世界があることを
無視できないんだ

№70 宛先

№70 宛先

遺された
私の気持ちが
あなたの中で生きながらえても

星の瞬きの間に
消えていく

空の彼方に吹き溜まり
さらさらと
微かに光る
記憶によく似た
時の砂は

行き先も 
戻る地もなく
寄せては返すを
延々と

№69 予報

№69 予報

雨が止めば鳴く蝉の
土から出てくるその晩は

月が明るく照らされて
風もそよとだけ吹くでしょう

遅く来て
早く逝く

100年生きる人間に
何度も巡り来る夏

№68 気体

№68 気体

まだアラームもならないうちに
窓の外から強引な
久しぶりの朝陽と蝉の声

3日前のじめついた気分も
怖いくらいのスピードで乾き始める

ああ軽い僕の心

うっかりまた何かやらかして
からからの心が汗と涙に湿っても

何度でも繰り返すだけって
ただそれだけで

とにかく今日は元気なんだ
楽しいんだ
今日の気分を

ずっとなんて言わない
また 何度でも

№67 証明

№67 証明

僕を見ないで
判断しないで
連想しないで
助言しないで
同情しないで
共感しないで

昨日の僕は僕じゃない
僕が思う僕じゃない

明日こそ 本当の姿で
行きたいのに

夏の始まりの
暴走する陽射しに
僕がだらだらと溶けていく

№66 追難

№66 追難

言の葉の
舞い散る世界

薄いトゲを持つ
青く長い葉が
頬をかすめ
傷をつけ

掌に乗ったひとひらを
振り払う時もある

気づいて
君の背に留まる
小さな枯れ葉の
いとま乞い

強く風が吹く前に

№65 花火 

№65 花火 

暮らしていくには仲間が
生きていくには友達が
いるといいと
君は言う

僕にとって
君は
人生も命も懸けられる
唯一無二

と錯覚する魔法
時に永遠に続く
呪い

№64 視界

№64 視界

薄いカーテンが
あちこちにかかるような
静かな雨の日

その向こうに誰かがいると
君はどうしてるかなと
ふと思う

雨がやみ
日が差せば
すべてとつながっているような
青い空のその先

№63 靴紐

№63 靴紐

非常口のない迷路に
君を送り出す

どの謎にも答えがあり
どの敵にも隙があり
どの危険にも前触れがある

君だけの剣と盾
君だけの呪文
君だけの薬草

どんな苦しみにも安らぎが訪れ
いつの涙も必ず乾くから

いつかきっと
誰か 言葉 歌
君が信じるものと一緒に

君は出口を見出す
そしてそれは
どこかへ続く入り口

世界は君を取り巻いて
離さない