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art & fashion

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アートとファッションにまつわるエッセイ集です。「○○とアート」「○○とファッション」などのシリーズはこちらに。
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#旅行

弘前つがるこぎんの旅|誕生日には、好きな街で、好きなことを。

弘前つがるこぎんの旅|誕生日には、好きな街で、好きなことを。

おととい神戸から弾丸で青森・弘前に行って、きのう帰ってきました。

14時20分に青森に到着して、翌日の14時に青森を出発する弾丸旅。青森滞在時間はわずか23時間40分。それでも行こうと思ったのにはわけがありました。

青森での出会いわたしは神戸でウェディングドレスをつくる仕事をしています。

「フジドリームエアラインズ(FDA)青森ー神戸便の利便性を活かした青森・神戸のビジネス交流会」という事業

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旅とアート|藤田嗣治《秋田の行事》と竿燈まつりをいっぺんに

旅とアート|藤田嗣治《秋田の行事》と竿燈まつりをいっぺんに

わたしはほんとうにラッキーでした。

秋田県を旅して秋田県立美術館に立ち寄ったのですが、そこで藤田嗣治の大壁画《秋田の行事》と、その作品で題材として描かれている「竿燈(かんとう)まつり」を、いっぺんに、ひとところで、思いがけなく観ることができたからです。

秋田県立美術館と藤田嗣治秋田県立美術館には藤田嗣治の《秋田の行事》という大壁画の常設展示があります。高さ3.65メートル、幅は20.50メート

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【いとへんの旅】秋田・羽後町 藍染の踊り衣装とイケオジ職人さん

【いとへんの旅】秋田・羽後町 藍染の踊り衣装とイケオジ職人さん

日本各地の布や衣服をめぐる「いとへんの旅」

盆踊りの衣装をたずねて秋田・羽後町の西馬音内を旅しています。

わたしが旅をしたのは西馬音内盆踊り(8月16日〜18日)の当日ではなく、その前に行われる衣装の虫干しイベント「藍と端縫いまつり」(毎年8月の第1日曜日に開催)です。

この「藍と端縫いまつり」では、盆踊りの前に集落の各家庭(各店舗)に盆踊り衣装が展示されていて、自由に観てまわることができま

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【いとへんの旅】秋田・西馬音内盆踊りの端縫い衣装を着てみたら

【いとへんの旅】秋田・西馬音内盆踊りの端縫い衣装を着てみたら

日本各地の布や服をめぐる「いとへんの旅」

今回は秋田・羽後町の西馬音内という地域の盆踊りの衣装をめぐる旅をしてきました。

そして着てきました。

だって、服は着てみないと理解できないですしね。ウェディングドレスの仕事をはじめるときだって、まずはじぶんで着てみることからはじめました。ほとんどそのために結婚したようなものですから。(それでいいのか)

今回の記事では、わたしが端縫い衣装を知ったきっ

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【小説】インドで旅をして服をつくる、なんてしあわせなんだろう。

【小説】インドで旅をして服をつくる、なんてしあわせなんだろう。

こう暑いと、カレーが食べたくなりますよね。

そして、ふと、インドのことを思い出します。もうかれこれ20年も前のことになりますが、仕事でインドに行ったのです。

インドに、服をつくりに。あ、仕事です。

エッセイをnoteに投稿していたら「そのときの話をもとに、小説を書きませんか?」と文学サークルの秋さんにお声がけいただいて、短い小説を書きました。

大学で「小説」を書くことにものすごく苦手意識を

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旅とドレス|6年前のきょうロンドンでダイアナ妃のドレスを観て、そして。

旅とドレス|6年前のきょうロンドンでダイアナ妃のドレスを観て、そして。

つくづく、人生においてムダな体験はないなあと思います。

そのときは、意味がないと思っていたことでも、めぐりめぐって、「ああ、あの時の経験はここに繋がっていたのか」ということが頻繁に起こります。

自分で伏線をばらまいて、自分で回収しているような人生を送っているわたしですが、今回はそのなかでも「なかなか見事に回収できたなあ」というような出来事があったので紹介したいと思います。

2017年7月14

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ディオール夢のクチュリエ展 イギリスと東京ではどうちがう? ロンドンV&Aレポート

ディオール夢のクチュリエ展 イギリスと東京ではどうちがう? ロンドンV&Aレポート

この記事では2019年にロンドンで開催されたクリスチャン・ディオール「DESIGNER OF DREAMS展」の展覧会レビューと、会場となったV&A(ヴィクトリア&アルバート)博物館の旅のレポートをお届けします。

展示される国ごとに異なるキュレーションが話題になっている「DESIGNER OF DREAMS展」(「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」)

パリ、ロンドン、上海、成都、ニュ

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青森に行ったら奈良美智さんのことが大好きになりました

青森に行ったら奈良美智さんのことが大好きになりました

青森に行ったら、奈良美智さんのことが大好きになりました。

青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館の「もしもし、奈良さんの個展はできませんか?」奈良美智展弘前2002-2006ドキュメント展がとても素晴らしかったからです。(会期2022年9月17日ー2023年3月21日)

いままでは、「かわいい絵だな」「うんうん子どもって時々こういう顔するよね」くらいの「好き」でした。ところがいまではもうめっちゃ大

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【いとへんの旅】但馬の国・鞄と縫製業のまち 豊岡カバンストリートの旅

【いとへんの旅】但馬の国・鞄と縫製業のまち 豊岡カバンストリートの旅

旧国名で服と布をめぐる旅をしています。日本全国の「繕い」の技や、SDGsにもつながる新しい学びを得るための「いとへん」の旅です。

今回わたしが旅するのは、但馬(たじま)の国です。但馬の国ってどこにあるかみなさまはご存知でしょうか?

答えは、兵庫県のこのあたりです。

「但馬(たじま)」と名前がついて有名なものといえば「但馬牛」です。

世界的に有名な神戸ビーフの素牛がこの但馬牛なのです。神戸に

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衣装をめぐる旅|イヌイットのパーカとまあるい世界観|北海道北方民族博物館

衣装をめぐる旅|イヌイットのパーカとまあるい世界観|北海道北方民族博物館

服をつくる仕事をしていて、旅と衣装と博物館をこよなく愛すわたしが、旅先の博物館でまたまた素敵な衣装に出会いました。

イヌイト(イヌイット)の「パーカ」と呼ばれる防寒着です。

かわいすぎませんか、これ。なんと背中のフードに赤ちゃんを入れておんぶできるのです。ほっこり。

イヌイト(イヌイット)とはイヌイットとは、カナダやグリーンランドなどの極北地域にすむアジア系の人びとのことです。以前はエスキモ

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衣装をめぐる旅|ナーナイの花嫁衣装がかわいすぎてもう|北海道立北方民族博物館

衣装をめぐる旅|ナーナイの花嫁衣装がかわいすぎてもう|北海道立北方民族博物館

旅が好きで、服をこよなく愛していて、ウェディングドレスをつくる仕事をしていて、おまけに通信制大学で「博物館学芸員資格過程」を履修していて、できることならば生きているうちにできるだけたくさんの服飾系博物館に行きたいと願っているわたしが、ことしいち興奮した衣装をお伝えしたいと思います。

北海道立北方民族博物館で出会った、ナーナイの花嫁衣装です。

ナーナイの花嫁衣装こちらの衣装です。なんてかわいらし

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東京都庭園美術館「奇想のモード」展の鑑賞記を小説風に

東京都庭園美術館「奇想のモード」展の鑑賞記を小説風に

不思議な館のヴンダーカンマーその屋敷は森の中にあった。美しい早春の森だ。

小雨のなか、桜の花びらがはらはらと降る庭を、僕は招待状を手に森を進む。黒い招待状には青いコルセットと玉虫色の甲冑襟の写真があしらわれ、鮮やかなショッキングピンクの文字で「MODE SURREAL」と印字してあった。超越のモード。屋敷のヴンダーカンマー(驚異の部屋)への招待状だ。

森を抜けると、やがて目当ての館が現れた。お

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「インドを旅してしあわせに服をつくった話」を小説に書いています

「インドを旅してしあわせに服をつくった話」を小説に書いています

ただいま電子書籍本に掲載する短編小説に挑戦中です。題材は「インドを旅してしあわせに服をつくった話」です。そもそもわたしは文芸を学ぶ(大人の)大学生という身分であり、ただでさえ小説を書くことに苦労しているというのに、どうしてこんなことになったのでしょうか。

それは、こういうことがあったからです。小説を書けないと悩む → 娘に励まされる → とにかくなんでもいいから書こうと頑張ってみる → 電子書

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ファッション × 英語学習 「LANVIN」の創設者 ジャンヌ・ランバン

ファッション × 英語学習 「LANVIN」の創設者 ジャンヌ・ランバン

ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。noteでフェイスブックの投稿をシェアできるようになったので、早速。バースファッションミュージアムの、クリスマスにぴったりなモミの木みたいなジャンヌ・ランバンのドレスの投稿をシェアします。

ゴージャスなグリーンのシルクタフタドレスが私たちをお祭り気分にさせてくれます。こちらは1919年、ジャンヌ・ランバンによる「ローブ・ド・スタイル※」のドレスです。シンプルなボ

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