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ディオール夢のクチュリエ展 イギリスと東京ではどうちがう? ロンドンV&Aレポート

この記事では2019年にロンドンで開催されたクリスチャン・ディオール「DESIGNER OF DREAMS展」の展覧会レビューと、会場となったV&A(ヴィクトリア&アルバート)博物館の旅のレポートをお届けします。

クリスチャン・ディオール(Christian Dior, 1905-1957)はフランスのオートクチュール・デザイナー、またファッションブランド「クリスチャン・ディオール」の創業者。第二次世界大戦後の1947年にオートクチュール(高級仕立服)コレクションを初開催し、のちに「ニュールック」と呼ばれる新しいライン(コロルライン)を発表する。

Dior「DESIGNER OF DREAMS展」V&A博物館、2019年 撮影:takechihiromi

展示される国ごとに異なるキュレーションが話題になっている「DESIGNER OF DREAMS展」(「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」)

パリ、ロンドン、上海、成都、ニューヨーク、ドーハなどで開催されてきた展覧会が、現在(2023年5月28日まで)東京都現代美術館で開催中です。

「DESIGNER OF DREAMS展」は国ごとにちがう演出

同展は、イギリスでは2019年にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催されました。たまたま別件で渡英するタイミングだったわたしも、日本からチケットを予約して観に行きました!

ヴィクトリア&アルバート博物館(2017年撮影)

じつはこのDior展、その前身ともいうべき大規模な展示を以前他国で観ていたことがあって、イギリス展を観たとき、ああやっぱりお国柄が出ているなあと思ったのでした。そのポイントはのちほどくわしく語りますね。

Dior「DESIGNER OF DREAMS展」V&A博物館、2019年より 左:Christian Dior - Raf Simons (b.1968) Haute Couture Autumn-Winter 2012 Silk (organza, chiffon) Dior Héritage collection, Paris. 2013.74 撮影:takechihiromi

このレポートでは、わたしが学びのうえで得てきた服飾史的な見解をもとに、オートクチュールとは、メゾンとは、ジョン・ガリアーノやラフ・シモンズなどの歴代デザイナー(クリエイティブディレクターと最近はいう)、コレクションとは、みたいなことにもさらっと触れながら、しかしあくまでも個人的な旅先での展覧会レビュー&感想&体験記としてお届けしたいと思います。あ、その前にまず参考文献を記載しておきますね。

・展覧会カタログ『Christian Dior 』V&A Publishing、2019年
・林洋子編『近現代の芸術史 造形篇Ⅱ 』藝術学舎、2013年
・キャリー・ブラックマン『ウィメンズウェア100年史』トゥーバージンズ、2020年
・成実弘至『20世紀ファッションの文化史ー時代をつくった10人』河出書房新社、2007年
・マリー=フランス・ボシュナ『memoire de la mode Dior』光琳館出版、1996年
・川島ルミ子『ディオールと華麗なるセレブリティの物語』講談社、2004年

参考文献

この記事は服飾史や、博物館の学びに関わることなので、メンバーシップ限定記事としていますが、有料記事として単品でもお読みいただけます。

それでは、2019年のロンドン、V&A博物館へいっしょに参りましょう〜! 

左側にあるのがV&A博物館 (2017年撮影)

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