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エッセイ

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名探偵コナンの正体

名探偵コナンの正体

『名探偵コナン』で目暮警部が真に疑うべきは、コナンがいつも殺人事件に絡んでいることではなくて、犯人たちの決定力の高さだ。殺人はそんな簡単に成功しない。でも誰もミスしない。コナンが真犯人だという説は実は違っていて、本当は犯罪コンサルタントではないか?クライアントに的確な犯行計画をアドバイスする仕事だ。コナンのように星の数ほど殺人事件に遭遇すれば、馬鹿でも勘が磨かれる。事件が起こる前に血の気配を察知し

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神様がいない理由

神様がいない理由

地球上のどこを探しても神が見つからないのはなぜだろう。それは神が人間を愛しているからかもしれない。救命ボートが一艘しかないとき、男は愛する女を乗せて、自ら死を選ぶ。決断に迫られた神は、人間をこの惑星に託し、己を犠牲にしたのかもしれない。人類が宇宙を目指すのは、神様を連れ戻したいからなのかもしれない。

『重力ピエロ』で春の母が審査員の尻を叩いた理由

『重力ピエロ』で春の母が審査員の尻を叩いた理由

『重力ピエロ』のワンシーン。まだ幼い春が、自分と父親の関係性(=血が繋がっていないこと)に嫌味を言う失礼な審査員に向かって絵の額で襲いかかる。慌てて春の母親が割って入り息子の乱暴を静止したかと思えば、今度はその母親自身が春に変わって審査員の尻を叩くというシーンがある。原作の小説と映画版の両方にこのシーンは存在する。しかし、小説と映画版では描き方がだいぶん異なるように思う。映画版は小説を踏襲せずに、

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音楽家の政治的役割

音楽家の政治的役割

西暦2016年、平成28年、皇紀2676年 6月23日 脱稿
西暦2017年、平成29年、皇紀2677年 1月9日 投稿

”音楽と政治” 
これは、実に難しいテーマである。

たとえ話をしよう。
政治的に重要なひとつのトピックについて、賛成派と反対派が議論をしている。やがて議論はヒートアップし、お互いがお互いを罵り合うまでにエキサイトする展開になった。みんなが平和を望んで議論しているのに

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冬物語の終わり方あるある

冬物語の終わり方あるある

ひとひらの雪に気づき、手のひらで受け止める登場人物A。

A「あ、雪…」

Aは空を見上げる。Aと会話していた相手Bも空を見上げる。

カメラが引いて、勢いを増す雪。

音楽ドーン

END

妄想カバーライブ

妄想カバーライブ

自分の大好きな歌手が、他の歌手の名曲をカバーして歌う様子を想像して楽しむ脳内ライブ。

自分の好きな歌手の場合、歌い方の特徴は知り尽くしている。AI業界のワードを借りれば、大量の教師データが頭にストックされているということ。ファンなら、たとえば言葉の語尾を叩きつける癖に始まりラ行の発音の仕方に至るまで忠実に再現することができる。

お笑い芸人はよく「もしも〇〇が〇〇を歌ったら」といったネタを大

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SUN IS UFO side-B

SUN IS UFO side-B

 小学生だった頃、図書室で借りたオカルト本をきっかけにUFO探しに嵌まったことがありました。「宇宙人はときどき地球にやってきている。しかも、しかるべき手順を踏んで、空にテレパシーを送れば、宇宙人がUFOに乗って君に会いにきてくれるぞ」というような煽りを真に受けたのです。その本の出版社は、忘れもしません、小学館でした。子どもながらに情報源から信憑性を探ろうとしたのでしょう。小学館という名前なら、きっ

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SUN IS UFO side-A

SUN IS UFO side-A

 古代より信仰の対象だった太陽。夕暮れの定めに逆らえず地平線の彼方へ没しても、必ず甦り、ふたたび東の空を照らし始める姿に、人々は不死と復活のイメージを抱き、崇めてきました。

 宗教が没落し、科学が神となった現代であっても、人間は太陽の存在を欠いて生きることはできません。太陽が無ければ、人間は凍え死にます。つまり、太陽は人間の生命そのものです。ですから、今、ぼくたちの生命があるということ。それは、

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『となりのトトロ』論

『となりのトトロ』論

映画『となりのトトロ』の一番重要なシーンは、冒頭のシーンである。

さて、そのシーンを覚えているだろうか?

物語は、皐月とメイとお父さんが田舎に引っ越してくるシーンから始まる。主人公たちの家族を乗せたトラックが、先を走る自転車を追い越すシーンだ。追い抜く時に、トラックと横並びになった自転車に向かって皐月とメイが手を振ってみせる。自転車を漕いでいたオジサンは、それに気づいて、姉妹に優しく手を振

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三島由紀夫『鏡子の家』に合うBGM

三島由紀夫『鏡子の家』に合うBGM

時折、小説と音楽が妙にシンクロすることがある。まるでその曲が小説のテーマ曲として作られたのではないかと推察してしまうほどに。ひと度、二者の共鳴に気づいてしまったらば、次に小説を手に取るときには、その曲をバックグラウンドで再生することが欠かせなくなる。あるいは、そればかりではなく、音楽を聴く際に、小説の台詞や情景が浮かんできてしまう。

ぴったりの小説、ぴったりの音楽が見つかることはとても珍しいこと

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青春論−幻の刃から現実の命を護れ

青春論−幻の刃から現実の命を護れ



青春。

この漢字二文字の放つ花火のような眩しさが、一体どれほど多くの人間を不幸にしただろう。凶器のように心を傷つけただろう。人生を否定しただろう。

(拙詩「青春」より)

***

青春という言葉には特定のイメージが纏わりついている。それは、二人乗りで朝方を駆け抜ける自転車であり、学校の屋上で齧る焼きそばパンであり、夏の線香花火だ。
よりエッセンスを抽象して言えば、気の置けない仲間と

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ファンクラブビジネス

ファンクラブビジネス

好きなバンドのファンクラブイベントに行った。
握手会の時、運転免許証を見せた。
「今日、実は誕生日なんですよ」
「お、ほんまやん。おめでとう」
「おめでとう!」
「えー、すごーい、おめでとう」
カツアゲじゃない。
こっちは年会費払ってんだ。

もしもニッポンの読み方が無かったら

日本。

もしもニッポンの読み方が無かったら。

もしも読み方がニホンだけだったら。

サッカー日本代表の応援歌は「オ〜ニッポン」ではなく、「オ〜ニーホン」と歌われる。
ニーハオみたいに聞こえる。
対戦相手が中国なら、ただの挨拶だ。

小学校で起きた面子(メンコ)ブームの話

面子に夢中だった。平成の世だというのに、暖房器具がストーブ一つしかない極寒の教室で、皆、面子を叩いていた。ストーブの隣に集まって面子を叩いていた。小学生の頃の話だ。

面子がブームになるなんて思ってもみなかった。最初は、男子のうち一部の仲良しグループが、牛乳瓶のふたを使って面子遊びをしていたに過ぎない。ところが、段ボールの切れ端を使い始めた頃から人気に火がつき、段ボールの切れ端を二枚重ねたものをガ

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