見出し画像

SUN IS UFO side-B

 小学生だった頃、図書室で借りたオカルト本をきっかけにUFO探しに嵌まったことがありました。「宇宙人はときどき地球にやってきている。しかも、しかるべき手順を踏んで、空にテレパシーを送れば、宇宙人がUFOに乗って君に会いにきてくれるぞ」というような煽りを真に受けたのです。その本の出版社は、忘れもしません、小学館でした。子どもながらに情報源から信憑性を探ろうとしたのでしょう。小学館という名前なら、きっと小学生を対象にしている出版社なんだろう。公共性がある風だし、子ども騙しの嘘は書いたりしないだろう。そう思い、信じ、騙されました。

 遅刻王だったぼくが、毎朝、誰よりも早く学校に行き、奇妙な動きを取りながら空を見つめていたので、当然のこと、担任の先生から問い質される羽目になります。今思えば、「そんなの嘘っぱちだぞ」と真実を明かされたり、馬鹿にされたりしそうなものですが、おそらく、じきに飽きると踏んだのでしょう。放っておいてくれました。先生には感謝しています。

 UFOは、いっこうに姿を見せません。それでも僕は冬空の下、CDを両手に持って、キラキラ光る盤面を空に向けて振り回し、「応答せよ、応答せよ」と唱え続けました。たしか一週間くらい。

 言いたいことは、何か。要するに、ぼくの制作活動の理想形は、UFOを呼べると信じて、空に祈りを捧げていた馬鹿な少年だということです。デタラメを盲信し、突き進むあの頃の自分は、今と違って輝いていました。

 ぼくは早起きが大の苦手です。今では、どんなに素晴らしい、まっさらなアイデアが降ってきたとしても、寒い朝、早起きして小説を書くことはできないでしょう。UFOは、ぼくの太陽です。

(この文章はSUN IS UFOと名付けた西部湯瓜のウェブサイトからの引用です。)