小説感想「さよならの次にくる(新学期編)」

2週間くらい前に読んだ似鳥先生の市立高校シリーズ二作目、「さよならの次にくる(卒業式編)」の続きとなる小説「さよならの次にくる(新学期編)」を読みました。

相変わらず読みやすく、ページがさくさく進みました。

以下、ネタバレ注意!







控えめに言って、滅茶苦茶良かったです。前編の「卒業したらもういない」がローペースで単調な謎解きだったので不安だったのですが、ハードルを下げるまでも

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小説感想「箱庭図書館」

2013年に発刊された、乙一先生の短編集です。

この短編集、特殊なのがネタの全てを乙一先生が作ったわけではなく、乙一先生が読者から募った「没原稿」をリメイクした作品だという事です。

仮にもプロの作家が素人からアイデアを募るという手法は、界隈では賛否が分かれていたと聞きますが、いざこうして中身を読むと、元が没原稿だとは思えないくらいには完成された物語ばかりで、乙一先生の作家としての構成力が光るい

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最近読んだ本【虚無への供物】【匣の中の失楽】

※ネタバレ有り

※個人の感想です。

日本の三大奇書の内の1つ、虚無への供物。あと2つはドグラマグラと黒死館殺人事件だが、これらよりも複雑では無いし物語然としていて読みやすい。黒死館殺人事件はお洒落すぎる。

藍ちゃんがかわいい。

最後の蒼司の殺した動機がすごく刺さった。死をそんな風に捉えるのかと。

ゲイバアやらシャンソンやら触れた事の無い文化が書かれていて興味深かった。宝石や九星気学やらは

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感想「5分後に意外な結末 ベストセレクション」

本屋でいい感じの雰囲気を醸し出していたので、ろくに調べもせず思わず手に取ってしまった一冊です。

調べてみたところ、どうやら児童書として有名なシリーズらしく、累計250万部売り上げているという、かなりのモンスターコンテンツのようでした。

しかし児童書と言えど、一概に子ども向けというわけではなく、こうして文庫化して一般向けとして出版されるくらいには層を選ばない傑作なのだとか。

さてこの小説、形式

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【感想と考察】「風の歌を聴け」ハートフィールドについての創作的考察

感想

 軽やかで自由、気負うところがなく、書きたいように書いている、という感じの小説でした。村上春樹のデビュー作で、これも7年前とかに読んだ本だけど、心に残っていた印象的なフレーズも結構あったなあ。
村上春樹が文章の殆ど全てを学んだけど、全ての意味で不毛だったデレク・ハートフィールドという作家については気になったので、どんな人だったんだろ、と思い一冊本を読んでみました。

印象的なフレーズ

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川端康生の古都読んだ

ぼくにとってはバージン川端でした。
いやね、文体ヤバいんですよね。
なにこれ、本当に文章として成り立っているの? っておもうんですよ。
いやぁ崩れすぎじゃない? そんでもって句読点多すぎうち、、、、
読みにくいったらありゃしないってかんじでしたね。

あとがきを読んで理由を把握。どうやら川端氏はこの作品を書く時情緒不安定に陥っており、睡眠薬を服用しながら書いていたとか。
なるほど、そりゃ文体めちゃ

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好きありがとうございます!
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感想「愚物語」

西尾維新先生著の小説、「物語シリーズ」第19作、愚物語を読みました。

最新作から数えると随分前の巻なのですが、個人的にまだそこまで追いついていないので、今回はこの巻の感想を語りたいと思います。

その前に、簡単に物語シリーズの概要を述べておきます。

・あらすじ

主人公の阿良々木暦は、高校三年生の春休みに吸血鬼に遭遇し、紆余曲折の末に吸血鬼もどきとなった。それを境に、自らを襲った吸血鬼と同様の

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”手紙”を届けるということ、それ即ち……~ヴァイオレット・エヴァーガーデン~

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(著:暁佳奈、イラスト:高瀬亜貴子)上巻及び下巻を読了。
以下に簡単に感想を綴る。
筆者は京都アニメーション制作のアニメ版は未だ視聴していないため、原作小説のみの感想であることを留意されたし。

◆あらすじ◆

『自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)』その名が騒がれたのはもう随分前のこと。
オーランド博士が肉声の言葉を書き記す機械を作った。
当初は愛する妻

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【感想と考察】「1973年のピンボール」でのピンボールとは

読了後の感想

7年ぶりくらいに読んだけど、思ったよりも面白く読めたし、最後のピンボールとの会話のシーンは、読んでる途中で、まじかあ、と顔をあげて感慨にふけってからまた読み進める、みたいなことになりました。
他の村上春樹の作品と比べて、若い人(自分も含めて笑)が読むには決して読みやすい小説ではないけど、なんか分かるなあ、という気持ちには辛うじてなれる。出版と同時に村上春樹と同年代の人が読んだらすご

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感想「さよならの次にくる(卒業式編)」

似鳥鶏先生の小説「市立高校シリーズ」の第二作目です。第一作目を読んでからかなり時間が経ってしまいましたが、面白かったです。

・あらすじ

前作「理由あって冬に出る」から時間が遡って秋。ふとした事から遠出をしていた葉山は、帰り道に小学校時代の古い友人と出会う。古い友人が掘り起こした在りし日の葉山が残した謎に、件の名探偵伊神が挑む……

シリーズものとして前作を紹介しているので、ネタバレ無しの前置き

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