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    短編連作ホラー小説 完結済み

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匿名短文元神童企画ちょこっと全感想

【はじめに】私の主催する匿名短文企画第4弾『匿名短文元神童企画』が始まりました! 今回は第1弾の胸キュンと同じく39作品もご参加頂きました! あと少しで投票できる作品が4作になったんですが……皆さん悩みに悩んで3作に投票してください!!!!! これから全ての作品にちょこっと感想をしたためていきますが、自分の作品もあるのでサラッと自画自賛します。 一応ネタバレに配慮してはいるんですが、ぜひ本文をお楽しみいただいてから感想をご覧下さい! 《企画概要》 1,000〜2,0

    • 匿名両片想いな二人短編企画ちょこっと全感想

      【はじめに】柴野いずみ様主催の、『#匿名両片想いな二人短編企画』に参加しました。 "両片想いの二人"を主軸として、"短編の面白さ"をしっかり描かないといけないということでめちゃくちゃ難産でした……提出した今も、果たしてあれで良かったのか……?と不安に包まれています。うーん。 きっとこの企画もたくさんの方が感想を書いてくださると思うので、自作への感想を糧にしていきたいと思います! というわけで、匿名企画ですので自作へもカモフラージュ感想していきます。すっとぼけて褒めます。

      • プチ三題噺企画 『空欄』『花火』『死体』ちょこっと全感想

        【はじめに】三衣千月さま主催のプチ三題噺企画 『空欄』『花火』『死体』に参加させていただきました。 8月8日17時〜24時までの提出期間だったにも拘らず、30作も集まってて笑うしかない。 みんなすごすぎるぅ! というわけで簡単ではありますが感想をしたためたいと思います。 これは匿名企画ではありませんので、作者様のお名前も併記させていただいております。 南雲のもあります(あれー?) 匿名ではないのに自分の書いたものに感想を書くのは恥ずかしすぎるので、そこは書いた時に何考えてた

        • ホラー冒頭博覧会ちょこっと全感想

          【はじめに】 私の主催する『ホラー冒頭博覧会』。  そもそも苦手な人が多かったりして、読まれないなんてことも多いホラー作品。  けれど最近では雨穴さんであったり、近畿地方であったり、ホラーにスポットが当たることも増えてきました。  興味を持って読みにきてくれた読者様を、冒頭部分で一気に惹き込んで離さない、そんなホラーを目指して立ち上げた企画です。  もしよろしければ皆様も遊びに来てください。  そして、この冒頭を読んだら続きが気になって仕方ない!と思う作品を教えてくださ

        匿名短文元神童企画ちょこっと全感想

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        • 秘密の探検隊
          30本

        記事

          最終話 『神の戯れ』

           何度春を迎えただろう。  康平は病院のベッドで目を覚ました。  ぼんやりとした視界が次第に像を結び、心配そうに覗き込む娘と目が合う。  妻には、先立たれてしまった。  和斗と、茜にも。  妻は七年前、肺に癌が見付かった。  既に病状は進行していて、しばらく健康診断に行っていなかったことが悔やまれた。  子供にも孫にも恵まれ、だから延命治療は望まないと妻が言った。  康平は言う通りにしてやった。  娘には反対されたし、康平も本当のところは受け入れ難かったが、ずっと康平の

          最終話 『神の戯れ』

          第二十九話 『森の管理小屋』

          「新入生代表、木上桃花」 「はいっ」  時は流れ、康平は娘が自分の通った中学校の入学式に出るのを感慨深げに見つめていた。  何故だか新入生代表の挨拶をすることになってしまって、右手と右足が同時に出そうなくらいに緊張している娘にビデオカメラを向けながら、上手くいきますようにと必死で願う。  自分が中学生だった頃にはもっと広かったように感じられる体育館が懐かしかった。  今もまだ、この体育館の七不思議は語り継がれているのだろうか。  入学祝いに妻の作った豪華な夕食とケーキを食

          第二十九話 『森の管理小屋』

          第二十八話 『善意と悪意』

           また、見られている。  いつからか、家の中に彼女が一人になると感じるようになった視線。  壁と棚の隙間、その棚に並ぶ食器の隙間、壁と扉の隙間、ベッドと布団の隙間、隙間隙間隙間、ああ、あの隙間から、見られている。  誰にも相談できなかった。  信じてもらえないに決まっている。  父にはこっそり冗談交じりに話してみたことがあるが、流行っている創作怪談の類だと思われて話すのをやめた。  母はこの手の話を、というより無駄なものを嫌う。テストや模試の結果を話すことしか許されていな

          第二十八話 『善意と悪意』

          第二十七話 『前に進むために』

           部屋の中にはもう目に見えないものは何もいないのだと、康平たちは理解できた。  今までより少しだけ広がった世界が悲しくて、康平と和斗はもちろん、茜の瞳からも涙がこぼれ落ちていた。  康平の母が焼き立てのクッキーを持って部屋にやってきて、全員が泣いているのを見て仰天した。  かなりの大声で話していたと思ったが、怜二か神様が声が周囲に漏れないようにしていたのだろうか。  今ここに怜二がいたのだと、そして消えてしまったのだと泣きながら話す康平たちに、母も目を潤ませた。  ハンカ

          第二十七話 『前に進むために』

          第二十六話 『あの日の約束』

          「ねぇ、小学生が飛び降り自殺したって聞いた?」 「小学生っていっても、学校には行ってなかったんでしょ?」 「そうらしいね」 「あのビル、毎日横通るんだよー、時間が違ったら見ちゃったかと思うとさー」 「えー、じゃあ今日も通ってきたってこと?」 「ううん、それがあってからは道一本変えたー」 「それがいいね」  下駄箱に靴を入れて上履きに履き替えながら、女生徒がそんな会話をしている。  会話が聞こえてしまった怜二は、気持ちが急降下していくのを感じていた。  あれは自殺なんかでは

          第二十六話 『あの日の約束』

          第二十五話 『魔法少女になりたくて』

           少女にそれを与えたのは、ほんの気まぐれだった。  少女の母はシングルマザーで、多数の男と関係を持ちながら生活をしていた。  父親はもともと水商売の客で、母を店から上がらせてはくれたものの、子供ができたと分かるとすぐに新しい女に乗り換えた。  捨てられた母は再び水商売の世界に戻ることはせず、以前の上客に狙いを定めて金を搾り取ることに決めたらしかった。  少女の家は安いボロアパートで、母は毎日違う男と出かけて行った。  毎日タイプの違う化粧をして、違う服を着て、まるで別人の

          第二十五話 『魔法少女になりたくて』

          第二十四話 『幽体離脱』

           彼女が自由に幽体離脱できるようになったのは最近のことだった。  キッカケは授業中のいねむり。  前日に発売された乙女ゲームにどハマりして夢中でプレイした結果、睡眠時間がほとんど取れなかったのだ。  そして運の悪いことにその日は天気がよく、窓際の彼女の席はものすごく暖かかった。  さらには、通常時でも居眠りを誘発する喋り方で有名な先生の日本史が五限目にあり、眠ってしまったのはもはや必然と言えるだろう。  給食を食べた後の、ちょうどいい満腹感。  昼休みに机に突っ伏して多少

          第二十四話 『幽体離脱』

          第二十三話 『楽しいお菓子作り』

           結局、廃工場での一件以来、康平たちの足は心霊スポットから遠ざかっていた。  情報収集は変わらず続けていたし、地図の付箋も増えたけれど、今日の放課後にどこどこに行ってみよう、みたいな会話が減っていることを、全員が分かっているのに口にすることはなかった。  怜二はそんな三人を見つめながら、複雑な気持ちでいた。  三人の命を危険に曝したいわけではもちろんない。  けれど、普通の中学生の日常を送ることで私に飽きられる可能性を考えてしまうのだ。  私は私で怜二以外にもそれなりに興

          第二十三話 『楽しいお菓子作り』

          第二十二話 『ゆめ』

          「どうして怖い思いはたくさんしてるのに、肝心の幽霊は見えないんだろう……」  康平は学校からの帰り道、一人呟いた。  この間の缶詰工場は本当に死ぬかと思った。  幽霊屋敷も病院も、カボチャも、森も洞窟も、なんだかんだでいくつも怖い思いをしているのに、肝心の幽霊には会えないのだ。  茜には、幽霊が見えているという。  けれど茜も、生きている人間と間違えるくらいにリアルな幽霊は見たことがないと言っていた。もしかしたらそういうリアルな幽霊というのは作り話の中にしかないのではない

          第二十二話 『ゆめ』

          第二十一話 『缶詰工場』

           缶詰工場が廃業になったのは、人肉缶詰を作っていたからだ。  ありがちな都市伝説だが、まさか自分たちの住む場所で聞くことになるとは思わなかった。  それは康平が聞いてきた話で、放課後いつものように机の上に広げた地図に付箋を貼った。  特に付箋の貼られていなかった地域の噂で、黄色の付箋が目立つ。  全員そんな場所に廃工場があったことは知らず、思ったほど遠くなかっため、次の休みに行ってみようということになった。  廃工場で何かに出会ったような話は聞かなかったし、そういうことがあ

          第二十一話 『缶詰工場』

          第二十話 『呼ばれた子供』

           康平たちの暮らす町では、秋に祭りが行われる。  元々この周辺にあった田畑の豊作を祝い、願う祭りだったのだが、今ではもうこの辺りには住宅が立ち並ぶばかりだ。豊穣を祝うことも願うことももうないのだが、祭りだけが形式的に残っている。  町の北側にある神社の境内が、祭りの中心となっていた。  本来であればその年に採れた米や農作物を祭壇に捧げ、実りが多ければ感謝の祈りを、実りが少なければ来年への豊作の願いを祈るのである。  今は町で採れるものがないため、なるべく近くの場所で採れた米

          第二十話 『呼ばれた子供』

          第十九話 『闇営業』

           彼がクリーニング屋を始めたのは、自分の才能に気付いてしまったからだった。    不本意な才能ではあったが、稼ぎの良さに目が眩み、気付けば立派なクリーニング屋の店長になっていた。  地域密着型のクリーニング屋であり、利用客のほとんどは近くの団地や住宅街に住む主婦たちだ。持ち込まれる服のクリーニングは基本的には雇っている社員たちが行う。  どうしても落とせないシミがあった時だけ、彼が呼ばれるのだった。  彼は、シミ抜きの才能があった。  特に、血液の。  元々は、ただの不良

          第十九話 『闇営業』