Shomin Shinkai

小説を楽しんで頑張って書いている者です!旅行記や短編小説をコツコツと投稿中

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マガジン

  • タイで遊ぶ

    タイでの1週間の気ままな旅をお送り致します。

  • 中国への旅行その②

    再び中国へ 合肥、南京、蘇州、杭州、上海 盛りだくさん

  • 春の沖縄いいね!

    沖縄に行くなら春でしょ! その理由が詰まった旅行記です。

  • 中国旅行楽しい①

    初めて中国旅行に行った時のお話!

  • 短編小説集

    短編小説大集結 すぐ読めるものばかりなのでぜひ

最近の記事

短編小説『ツナ渡り』

 マグロは一生を止まらずに泳ぎ続けて駆け抜ける。まるで自分の行く道がわかっているかの如く。しかしながら、マグロにも当然個体差というものがあって、誰よりも速く目先に広がる一本道を泳ぎ抜けようとするマグロもいれば、自らの性質に疑問を抱き、ノロノロとしか泳げないマグロもいるのだ。 「よぉのろま!」 「相変わらず遅いなぁ」 「相変わらず不安な泳ぎだなぁ」 「止まっているのと大差ない泳ぎじゃないか」 「マグロのくせにねぇ」  サバにも、マンタにも、遅さの代名詞であるカメにも、地面をノロ

    • 短編小説『人類滅亡からの人類誕生』

       イェーガーは深淵から突如呼び起こされた。意識はまだ闇の中で寝込んでいたが、体は習慣と反射で機敏に動き、銃を構えて臨戦態勢をとった。  手元に銃はない。横たわっていたのは戦地の地面ではなく、冷たい手術台のような直方体だった。 「起きたか」  機械の声がイェーガーの意識をも常闇から呼び起こした。 「俺は死んだはずだ」 「あぁ、死んだ」 「じゃあ何故生きている?」 「私が生き返らせた」  AIは平然とそう言った。 「は?」 「どうして生き返らせたんだよ。俺は人間だぞ」  人間と

      • 短編小説『雨の色』

         部屋を出たと同時に、隣の部屋の扉もまた開く。  エレベーターの中に、二人。しかも右角と、対極の左角。  朝の人混み。黒、黒、黒、金。  黒、黒、黒、金、黒、黒、黒、黒、駅のホーム。  怪物を育てる小さな箱がやってきて、口を開けた。  どうして。どうして僕は、こんな些細なことでイライラしてしまうのだろう。そんな自分が本当に嫌だ。  肩と肩がぶつかって、僕は謝罪の会釈をするが、そいつ――その人は、スマホから目を離さない。ゲームか、アニメか、ラインか……恋人との。 夜を通してアル

        • かめきち!!

          半年前、我が家に小さなカメがやってきました。 母がお店のお客さんから貰ってきたそうです。カメを店員に渡す客というのは、いささか頭のネジが飛び散っているような気もしますが、小さなイシガメがやってきてくれたのです。....確かイシガメだったと思います....。 最初は片手で握り潰せるような、小さくて弱々しい姿でした。うちはもう一匹ミシシッピアカミミガメという外来のカメを飼っているのですが、今や巨体となったそいつと比べると、本当に小さくて可愛いです。ミシシッピアカミミガメよりもな

        短編小説『ツナ渡り』

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        • タイで遊ぶ
          7本
        • 中国への旅行その②
          10本
        • 春の沖縄いいね!
          9本
        • 中国旅行楽しい①
          11本
        • 短編小説集
          17本
        • 小説『サークルアンドエコー』
          19本

        記事

          漫画感想『NARUTO』少年篇

          電車の中で少年漫画を堂々と読むのは何だか気恥ずかしいですが、巻が進むにつれてどうでもよくなってきました。 ナルト少年篇、面白いですね。 ナルトの馬鹿で真っすぐな言動で物語が予想外の方向に、けれども不思議なことに王道さは失わない方向に進んでいくのが面白くて、何度も読んでいるはずなのに熱中してしまいました。 岸本先生の魅力はやはり絵とキャラですね。ストーリー展開やバトルの驚きも、プロットのおかげというよりは、絵とキャラのおかげ、という気がします。 岸本先生は、カメラをどこ

          漫画感想『NARUTO』少年篇

          (涙)友人、僻地へ飛ばされる

          ある晩、仕事を終えて疲労困憊の最中にあった中、友人であるデブから晩御飯の誘いが来ました。 ちょうどお腹が空いていたので、いつも通り暇なもう1人の友人サイコパスと一緒にデブと合流し、なじみの中華料理屋へ行きました。 そこで、デブの口から衝撃的な話が飛び出したのです。 なんと、デブの職場が、我らが地元から遥か彼方と離れた極寒の地へと決まったというのです。 話を整理しますと、僕とデブは4月に社会人となりました。しかし、それぞれが働いている会社は全く傾向が違います。僕の会社は

          (涙)友人、僻地へ飛ばされる

          小説感想『チェルノブイリの少年たち』

          フィクションならどれだけよかったでしょう。 思わずフィクションだと思い込んでしまいたくなる心理状況まで追い込まれました。 もちろん、フィクションだと思い込むことは可能です。何故なら、真実はソ連によって隠されていて、この小説はあくまでドキュメント・ノベルだからです。ですが、ソ連がチェルノブイリにまつわるあれこれを隠していたのは事実です。最初は原発事故自体を、次に放射能量を、町の被害を、そして犠牲者の数と、チェルノブイリにいた人々の存在そのものを。 チェルノブイリで原発事故

          小説感想『チェルノブイリの少年たち』

          映画感想『スピード』

          若いキアヌ・リーブスが真剣な顔で馬鹿みたいな行動を取り続けるアクション映画です。 ネタバレ気にせず 僕の友人のサイコパスが、ジョン・ウィックシリーズを観た後に、何故かマトリックスシリーズを観ることなく、今作を観るという阿保極まりない行動を取りました。 キアヌの出世作と呼ばれている作品ですが、今時の若者は髭の生えたロン毛のキアヌか、黒いサングラスとコートを纏ったキアヌしか知りませんから、マイナーな映画という認識が僕にはあります。 実際僕も観たことはなかったのですが、今回、

          映画感想『スピード』

          映画感想『MEG ザ・モンスターズ2』

          なんじゃこりゃ ネタバレ気にせず ジェイソンステイサムが大きいサメと戦う物語の第二弾ですが、なまじ人気が出たせいで無理やりニ作品目を作ったのが丸わかりの、とんでもないメチャクチャな映画でした。 まず、サメがほとんど怖くありません。なにせ、そこら辺に普通にいるからです。一匹は人間によって半分調教されていますし、前作に比べて大きさも小さくなったような気がします。深海に行けば何匹もいますし、光を出さなければ襲ってくることもありません。 序盤から中盤にかけてはむしろ、主人公たち

          映画感想『MEG ザ・モンスターズ2』

          映画感想『メッセージ』

          ネタバレ気にせず SFかと思いきや、壮絶な運命論にまつわる思考実験のような映画でした。 ありきたりかもしれませんが、この映画を観て考えるのは、これ以上考えるのはやめてとにかく頑張ろう、という一種逃避のような決意です。 僕は僕の人生を現在進行形で切り開きたいと考えています。いつかより良い小説を書けるように今もパソコンに向かい続けますし、より良い生活ができるように日々を生きています。それは全て、今の行動が将来に影響を与えると信じているからです。 しかし物理の世界で言われて

          映画感想『メッセージ』

          口の痛み

          疲労やストレスが溜まると、唇に口内炎や口唇ヘルペスが出来やすい体質にある僕ですが、今回は人生の中でも1番か2番を争う酷さになったので、唇に文句を言おうと思います。 まずはヘルペスが唇にできてしまいました。上唇に痛みを感じ、1日後くらいに気泡のようなものがそこに発生し、ピンク色を帯び、膿んで黄色のようなものも周囲に生まれ、中途半端な痛みがことあるごとに襲ってきます。ちょっと触ると血や膿が出てきて、発狂したい気分になります。 しかもこいつの厄介なことは、油断すると増えることです

          足の痛み

          僕の人生は、足の痛みとの戦いの歴史といっても過言ではありません。 といっても、靭帯損傷や半月板損傷、ハムストリングの肉離れなどといった大きな怪我はありませんけどね。 最初の痛みとの出会いは、小学生の頃まで遡ります。 僕はサッカーをやっていたのですが、足の捻挫癖がついてしまったのです。少しの段差でも足首があさっての方向に捻れ、苦痛と共に足を引きずるのが一種の十八番のようになっていました。ひどい時には内出血を起こし、くるぶしが赤紫色になったこともあります。 まぁ足にテーピ

          小説感想『私の名前はルーシー・バートン』

          エリザベス・ストラウトさんによる小説です。 ネタバレがあっても読むことに関係はないと思いますが、ネタバレ気にせず。 自分の人生を語るということは、自分の周りの環境や、当時の自分の国の状況や、周囲に根付く信仰や考え方をなぞっていくということです。 主人公ルーシー・バートンは、過去を思い出します。それは世界史の授業のように紀元前から始まってページをめくるごとに次の時代に進んでいくような、理路整然とした回帰ではなく、ところどころを突然つまみ出すような、混沌の回帰です。時には風

          小説感想『私の名前はルーシー・バートン』

          映画感想『ジョーズ』

          ネタバレ気にせず 一匹のサメに敬意を 怖そうだったから観てこなかったジョーズを、ついに勇気を出して観てみました。 結果、怖いというよりは、感動に近い感心を抱きました。 観る前は、人喰いザメに襲われるパニックホラー映画だと思っていましたし、前半部はわりとそれに近い感覚でしたが、なんだか後半にかけては、サメを倒すという目的以外の、別の意味が生まれてきているようで、単純な映画の見方ができなかったのです。もちろん良い意味です。 まず、サメ一匹を尊重して大切に扱っていたのが印

          映画感想『ジョーズ』

          締めくくりの旅 天橋立

          伊根町に行った勢いそのままに、天橋立にまで突撃してしまいました。無論、せっかくきたんだから、と、最後だから、が合言葉です。どうせ行くのなら最初からここでもよかったのではないか、という疑問は野暮でしょう。 天橋立は京都にある日本三景の一つで、4キロ近い砂州に松の木がぎっしり詰まっている珍しい地形が、天にかかる橋のようだということで、天橋立と言われているようです。 我々は、天橋立が一望できる展望台を目指していました。天橋立の中に入って散歩することもできるそうです。 展望台付近ま

          締めくくりの旅 天橋立

          締めくくりの旅 伊根

          大学生というのは恐ろしいもので、時間はありますし、お金もそこそこありますし、何より若さゆえの愚かさを持っています。 しばしばニュースなどで取り上げられるのはその愚かさの悪い例ですが、時としてその愚かさは、青春という呼び名に姿を変えて、年をとってからも心に残る、良き若気の至りとなり得ましょう。....多分 どこで遊ぶかという議論をしていた時に、一度天橋立という意見が出ました。しかし、場所は素敵なものの、1泊2日では遠すぎるということで、却下されました。 しかしどうでしょう、こ

          締めくくりの旅 伊根