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日本以外のアジアに関する本のレビュー集

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日本以外のアジア諸国、地域に関する本のレビューを集めてあります。日本については、「日本史に関する本のレビュー集」に集めました。
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2022年12月の記事一覧

世界の魔女と幽霊 (世界民間文芸叢書 (別巻))

世界の魔女と幽霊 (世界民間文芸叢書 (別巻))

世界の魔女と幽霊 (世界民間文芸叢書 (別巻))

 世界各国の、魔女や幽霊にまつわる話を集めた本です。
 魔女や幽霊に限らず、吸血鬼、人狼、夢魔、食人鬼、鬼火、悪魔の猟犬なども載っています。要するに、妖怪の話を集めています。

 それも道理です。本書は、同じ三弥井【みやい】書店から出ている『世界の妖怪たち』という本の続巻です。
 本書を読んで、面白かったならば、『世界の妖怪たち』も、お勧め

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神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

 おそらく二十世紀最高の神話学者だったジョーゼフ・キャンベルの、すごさがわかる本です。

 ジャーナリストのビル・モイヤーズとの対談、という形を取っています。モイヤーズが問いかけることによって、キャンベルの知性と教養とが引き出されています。
 単なる知識というにとどまらず、キャンベルの思考は、「智慧」というレベルに達しています。

 ただし、これは

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ブッダの生涯―ガンダーラ美術にみる

ブッダの生涯―ガンダーラ美術にみる

ブッダの生涯―ガンダーラ美術にみる

 題名のとおり、ブッダの生涯を紹介した本です。
 同じような解説本は、いくつもあります。その中で、本書は、「ガンダーラの彫刻で、ブッダの生涯を解説」という点で、一歩、抜きんでています。

 ほぼすべてのページに、ブッダの生涯にまつわるガンダーラの彫刻が載っています。
 文章ばかりを読むのが苦手な人でも、大丈夫です。彫刻のキャプションを拾い読みするだけで、

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地上から消えた動物

地上から消えた動物

地上から消えた動物

 絶滅した動物たちを、紹介した本です。
 一九八三年に出た本ですが、二〇一一年現在に至るまで、ロングセラーのようです。

 類書は、日本で、何冊も出ています。それらの中で、本書は、やや抜きんでた存在だと思います。
 なぜなら、文章が上手いからです。感傷的になり過ぎず、それでいて、二度と帰らない動物たちへの愛惜に満ちています。
 人間の手で動物を滅ぼすことが、いかに罪深

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シャーマニズム―エクスタシーと憑霊の文化

シャーマニズム―エクスタシーと憑霊の文化

シャーマニズム―エクスタシーと憑霊の文化

 シャーマニズムについての、コンパクトでわかりやすい解説書です。
 シャーマニズムを知りたいなら、最初に選ぶ一冊として、お勧めです(^^)

 とはいえ、二〇一一年現在、本書は絶版のようです。古本屋で入手するか、図書館で借りて読むしかありません。とても残念です。

 一九八〇年に出た本ですが、「日本語で読めるシャーマニズム入門書」として、いまだに、

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ペルシアの神話―「王書」(シャー・ナーメ)より (泰流選書)

ペルシアの神話―「王書」(シャー・ナーメ)より (泰流選書)

ペルシアの神話―「王書」(シャー・ナーメ)より (泰流選書)

 ペルシアの古書『シャー・ナーメ』を翻訳した本です。
 『シャー・ナーメ』は、日本語では『王書』と翻訳されます。その名のとおり、ペルシアの歴代の王(シャー)のことを書いた本です。

 『シャー・ナーメ』は、現代的な意味での歴史を書いてはいません。神話的な王朝の様子を書いています。日本の『古事記』や『日本書紀』のようなものです。

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怪物の友―モンスター博物館

怪物の友―モンスター博物館

怪物の友―モンスター博物館

 博物学者、荒俣宏さんの「荒俣節」全開の本です(^^)
 実在しない怪物たちと、実在する怪物たち(!)とを取り上げています。

 「実在する怪物」というのには、三つの意味があります。

 一つは、実在しない怪物と、同じ名で呼ばれる生き物です。例えば、ヒヒなどがそうです。
 「ヒヒ」とカタカナで書いた場合には、普通、実在する動物を指しますね。サルの仲間のヒヒです

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世界の花と草木の民話

世界の花と草木の民話

世界の花と草木の民話

 日本以外の国々の、植物に関する民話を集めた本です。

 題名に『世界の』とありますが、ほとんどがヨーロッパの民話です。
 それに、アジアと、北米、中米が、少し入っています。アフリカとオセアニアの民話は、一つもありません。南米の民話は、コラムで取り上げられているだけです。
 「世界」というには、偏りがあるのが、ちょっと残念です。

 それでも、植物に関する民話が、こ

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