アグニェシュカ・スモチンスカ『ゆれる人魚』ダークでグロテスクでパンクで官能的

 水にはなにゆえこんなにも死とエロスが漂っているのだろう。
 本作品に限らず、例えばイエジー・スコリモフスキ『早春』の水のイメージも死とエロスに満たされていた。確かフランシス・ポンジュは、水は「低位に位置している」といった趣旨のこと、いわば低位にとどまるがゆえの上昇の否定、生成にもつながる上昇などありえないかのように述べていた。水はわたしたちの生命維持に欠くことのできないものなのだが、それが水面と

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ホモサピエンス、陰謀により長寿になる

「うっうっうっ……」
「ひどい、ひどいわ」
「こんなのってひどすぎるわ」

太古、ある海では、連日のお葬式がひらかれた。というのも、近頃の陸上の生きものは彼女たちが不老不死であると気がつき、ならばその効力にあやかろうとなんと彼女たちを狩っては食べることを覚えたからだ。
おかげで、日向ぼっこの岩礁は使えなくなるし、浅瀬で姉妹たちでたわむれるなど、もってのほか。銛を携えた『かれら』はどこぞから現われて

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人魚のご近所の金魚さん

ぷくぅ、とバブルリングを海に産み落とすぐらい、人魚にだってお手のものだ。したからうえにまわりながら、ぷくぅ、とリングを描く。イルカが水族館でやるやつだ、と人魚は知らぬが、イルカは海でもよくこうして遊んでいるから、イルカたちの見よう見まねなど簡単だった。

地上では、地上の人魚のような人魚でない二足歩行の人魚っぽい生物たちによるお祭りが(人魚は知らぬが)人間の夏祭りが開催されていた。

わあわあ、に

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ありがとうございます♥
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人魚と猫写真家

猫が溺れていた。ので、これを海底から見上げるなどしていたある人魚は、人間と同じである両手を用いてこの猫を救出した。側面を両手でつかんで、ざばぁっと海から出した。その状態で浅瀬へとすすんで、猫を陸地へと逃してあげる。

ところで猫は魚を食べるのが好きだ。魚の匂いには敏感だ。溺れてパニックしている猫など目を白黒させてばびゅんと逃げてしまうのがほとんどであるが、たまに、人魚が慈悲と好奇心で救助したにも関

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あの時「それ」はいたのだろうか?

この記事にとって本当はタイトルを示すだけで十分だと思う。私はこの映画を偶然にも映画館で観れた。

上映時のパンフレットもちょっと古いながらもとてもすっきりして美しかった。そして、実際に観るまで私は頭の中でこの映画のタイトルを何度も反復して思い浮かべた。日本語でも英語でも。

この1センテンスになっているタイトルはは一体何を言っているのだろう?作品の中で、それは幻影のような体験として描かれるのだろう

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人魚になりたい⭐️

今夜は
人魚になりたい

人魚になったら
あの歌を
歌ってくれるかしら

海の奥深く…深く…

私は泳ぎながら
あなたの歌声を聴く

手をのばしたら
そこには
あなたがいるわ

マリンブルーと
あなたと
魚たち

優しく
包みこんでいてね

私は
人魚になりたい

人魚になったら
たくさん
愛してくれるかしら

海の奥底まで…ずっと…

深い深い愛を
あなたと共に

微笑みかけたら
そこには
あな

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人魚大海戦

人魚とは、海棲とされる幻の動物である。上半身は人間とおなじように見えて、下半身はイルカやジュゴンなどにそっくりであるとされる。過去、太古には存在したらしき痕跡があるが、現代ではとんと見かけない。ジュゴンが実は人魚の正体であって、人間が勘違いしたという説が主流だ。あるいはマナティーなんかが実は人魚と囁かれる。

しかし、実はどれもまちがいだ。
人魚はいる。

しかし、もはや世界に一匹か二匹、あるいは

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音痴の人魚に歌を教える譚

 ある日の夕暮れ、とある国の北の果て。

 大海原を望む断崖のふちに、一人の男が腰掛けておりました。豊かに蓄えられた白髪、顔に走る幾筋もの皺。薄汚れた粗末な衣服もあいまって、遠目に見れば崖縁に引っ掛かった雑巾といった風情です。

 男は、眼下の岩場に散る波飛沫をじっと眺めておりましたが──やがて意を決したように、懐から笛を取り出しました。かつては都でも当代随一と謳われた吹き手として、奏でずにはいら

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海が太古の好奇心

今よりも海は濃く、どろりとして海水は緑色をしていた。それは人間たちが生まれる前の話で、世界は後の恐竜と呼ばれる複雑巨大な生物が闊歩していた頃である。はたして、その時代の海は、超巨大・巨大・特大の魔獣が当たり前に存在する魔窟であった。その巨大ぶりは地上の生命とは比べものにならない。体重という枷が外れた海の生きものたちは、人間社会のビル建築のような巨体をあますことなく成長させ、海を泳ぎまわっていた。

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