満月の夜話(8) - ミラクルムーン -
シャーペンの芯が折れた。
シャーペンをカチカチとノックした後、再び書き出そうとするが芯は力なくフニャりと引っ込んでしまった。
「シャーペンの芯、まだあったかな・・・?」
そう独り言をつぶやいて、机の上の筆箱を手元に寄せた。
その時、この春に初めて買ってもらったケータイ電話が目に入った。
ケータイ電話の画面には『23:55』と表示されている。21時から始めたはずのテスト勉強だったが、こんなにも時間が経っていた事に、私は初めて気が付いた。夜更かしも夜遊びも知らない田舎町の女