百舌

様々の人生を経て、現在では離島に移住してのひとり暮らし。 それでも毎日の糧に感謝して楽…

百舌

様々の人生を経て、現在では離島に移住してのひとり暮らし。 それでも毎日の糧に感謝して楽しんでおります。 教え子に手を引かれて、再び執筆することに致しました。 楽しんで頂けると幸いです。

マガジン

  • 恋愛掌話

    ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。

  • 長崎異聞

    橘醍醐は、女心が分からぬ。 かれは次男であり家名は告げぬ。なので長崎奉行で小役を賜る。端役である限り無聊だけは売るほどある。 時は慶応26年、徳川慶喜の治世は30年近い。 その彼がまさか異国の娘に巡りあおうとは。

  • 離婚式

    離婚式という社会通念が生まれて久しい。 両家がきっぱりと縁を分つために。 その縁を切る範囲は、現代では広すぎるので。 社会のモラルとして、結婚したら離婚保険に入るのは常識になってる。 なぜなら離婚事故を起こすリスクがあるのだ。

  • COLD BREW

    都会の一角にある純喫茶。先代からの珈琲の味と香りを頑なに守り続ける男。彼の周りを織りなす女性たちの物語。

  • 伏見の鬼

    歴史小説の短編集を集めています。

最近の記事

  • 固定された記事

舞桜

 桜が散っている。  私のロードスターは、高台のパーキングに停まっている。  ふたり乗りのちっぽけなロードスター。  オレンジに塗られたボディに、漆黒の布製の幌が掛かっている。  急勾配の傾斜の途中に、巨人が指でつまんでこしらえたような平地が、虚空に向かって突き出している。そのパーキングのへりに平たく張りついている。  仕事がかさんでいる時期には、帰宅が深夜になることも、ままある。  エンジンの鼓動が止まり、車外に出ると、眼下には夜景が広がる。星が吹き散らされたような眺めだ。

    • 恋愛脳を紐解けば 3 | 忘れっぽい詩の神

       人生にはモテ期という時期があるらしい。  それは神話みたいなもので、私自身には縁遠く感じられたが、佳い女子を連れ回していると本当に彼女らはモテていた。非道い目にあったことも数回ある。  私にとっては恋愛脳の記憶野に、厳重に蓋をして封印していたのに。昨今の出来事によって夢見心地で蘇ってしまった。  男勝り、という表現が似合う娘と、跳ねっかえりという言葉がお世辞ではない娘に挟まれてしまった。その私は些か勉強は出来るものの、至って風変わりな男子であった。当時より原稿用紙の〼を埋

      • 伏見の鬼 I 創作大賞2024

        あらすじ 文久三年弥生、沖田総司は上洛した。  壬生の豪農宅で間借りをしている浪士隊において、彼は無聊を囲っている。ばかりか彼は、医者の出戻りの娘に懸想さえしている。    ある晩のことだ。  総司は娼妓に腕枕を貸していた。手持ちの路銀が乏しいので、度々と娼妓を買うこともない。僅かばかりの贅沢だ。  その女から伏見に鬼がでると聞いた。  彼にとっては気まぐれだったろう。  だが浪々としていても心根が腐るのみである。  さても、と。  総司は宵闇に紛れてゆく。       1

        • 恋愛脳を紐解けば 2 | 忘れっぽい詩の神

           鮮明に想い出してしまった。  脳の記憶野とされる海馬に施錠して封印されたものか、大脳皮質のファイルに厳重に挟んであったものかは知らない。  本人の意思としては極力、忘れようと努めていた。が、神さまの配慮であろうか消去されていなかった。  人間にはモテ期というものがあるらしい。  それは傍目からはよく見えてくるもんだ。  美人を日影で涼ませてジェラート🍨を受取りにいく間にも、デート中にも関わらず、誰かしらが声を掛けている。そんな娘を連れ回していると、その言葉の信憑性に裏書き

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        舞桜

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        • 恋愛掌話
          39本
        • 長崎異聞
          46本
        • 離婚式
          45本
        • COLD BREW
          30本
        • 伏見の鬼
          20本
        • 餓 王 鋳金蟲篇
          10本

        記事

          恋愛脳を紐解けば 1 | 忘れっぽい詩の神

           私自身ではモテ期などある訳ない。  確かに周囲には、目を惹くような娘は多かったけど。  私自身はイケメンでもないし、唯の風来坊だと思う。  それは写真素材のモデルを頼んだり、小説の題材を探したりで努力をして口説いた結果だと思う。  んでもモテ期という神話が、世間ではあるみたい。  若干のニュアンスは違うけど、徒然に書いてみよう。  最近では眠りが浅くて、深層心理に封印していた光景が、脂汗とともに蘇る夜が多い。忘却の檻に閉じ籠めていた筈なのに、夢に見る。  あれは小学5年生

          恋愛脳を紐解けば 1 | 忘れっぽい詩の神

          長崎異聞 43

           橘醍醐は武士である。  今様の言葉でいえば、士分である。  彼も芝居小屋の演じ物の如くに、戦さ場でおいて恩賞を上げ家名を上げることを、武士の本懐と信じていた。  然るに幼少期に覗き見ていた長州征伐において、腰が引けていたのは寧ろ旗本八万騎であり、主力として戦ったのは土農あがりの武士たちであった。  彼は勿論、病弱の兄ですら通った試衛館という道場がある。  塾頭であった近藤勇は勇戦し、その果報をもって男爵の位を給わっている。さらに兄を厳しく指導した土方歳三卿も、今や華族となり

          長崎異聞 43

          スープカレー🍛

           先日のBBQ🍖会で人気でした。  参加してくれたオバちゃんたちからレシピを聞かれました。  まあ、メモ📝代わりに残しておきます。  鶏もも3枚、玉ねぎ🧅大1個、人参🥕大1本。  ルウになってしまうので、じゃがいもやカボチャ等は使いません。  まず鶏ももにしっかりと塩胡椒で下味を。  そして大蒜🧄2かけ、生姜少々を摺り込んで。  そして玉ねぎ千切りをしながら、大蒜2かけを摺り下ろし。  キツネ色になるまで焦がさないように炒めます。焦げそうだったら白ワインを加えて。  鶏も

          スープカレー🍛

          ロスト・ショット

           今日はコバルトブルーの海でした。  GoProを忘れていくなんて。  この画像は別日のものです。  いやもうショックが大きい。  こんな日に限って、初見のお魚に出会うのです。  まずはミノカサゴですね。猛毒の針で武装している派手派手しいやつです。  さらに30㎝サイズのまだまだお子様のエイが、ひらひらと泳ぎ去っていきました。実に悔しい。  あんな光景をロストショットするなんて。  忘れ物厳禁で海に行かないとね。

          ロスト・ショット

          恋愛はdietにきくのか?

           冬場から5kg近く落ちてます。  もう夢の60kgゾーンに迫って来ています。  そうだなあ、若い時の65kgを目指していこうかな。  美味しいもの大好きで、取り立てて食事制限はしていません。ばかりか私の食卓をよく知る方はご存じでしょうが🤭  昨日は離島でのサークル活動でのBBQ🍖会でした。そのルールは何か一品持ってくる、というもの。  以前はBBQ用の収穫した野菜とか、おにぎり🍙くらいの素朴なものでした。  数年前から私が完成料理🥘を持ち込むので、段々と皆さんも🔥がついて

          恋愛はdietにきくのか?

          離婚式 45

           予兆は朝からあった。  乳首が痛いほど充血していた。  この下種がボクの下着を剥ぎ取るときにも、肌が細波を打つように官能の渦に戦慄いた。敏感になり過ぎるている。  ああ、これが女の性かと思った。  この疼痛と痺れが下腹部から両脚に及んでいる。  確かに何かの興奮剤、そして弛緩剤を盛られた。  それを超える変調は、女の摂理によるものだと。  ボクにとってもそれは、初めての経験であった。  自身の肉体は、シリコンで乳房を作り、癪な陰茎を落とし、造膣までして改造した贋物だ。けどこ

          離婚式 45

          お久しぶりね

           もう5年ぶりのミスド。  時代は変わったもんです。  離島に移住して縁遠くなったもんで。  郷里から訪ねてくれた友人がお土産に持って来てくれました。  そうそう、こんなの食べたかった。  陸地に上がるとさ、ちゃんとしたもんを食べたくて。となるとドーナツ🍩のように胃の中で主張してくるのは鬼門なんだよね。  美味しい珈琲を淹れて、いただきます。

          お久しぶりね

          離島に、友が来る

           今日は離島に同級生が来ます。  じっくりと会うのは高校生以来だろう。  私が島に🏝️いる間に訪問したかったんだと。  最近ではピンク🩷脳な私ですが、女性でなくとも真剣に料理🍳はするのよ。  まずビーフシチューは定番でしょう。私のディナーには。  そして夏野菜のラタトューユ。  コレを夏場は定期的に作るのだけど。先週はふんだんにあったズッキーニがない⁉️やっとこ朝市で入手できたよ。  最近の低気温で、出荷出来るほど育たないのだそうな。  アレンジ用にマリネを量産しておく。

          離島に、友が来る

          和華蘭ツーリング 5

           大村は扇状地である。  その扇の要が郡川の中流域にある萱瀬というエリアだ。  この場所は治水の要でもある。  島原を本拠とした有馬氏が攻めてきた中岳合戦の地である。  時代としては応仁の乱から、室町幕府の権威が失墜して、日本の地方政治が千々に乱れた時代である。  往時の権勢は大村純伊が担っていた。  諸説ある人物である。  大村純伊とその父である大村純治とは、実は同一人物という説がある。  若年期は純治と名乗り、後年になり純伊と改名したということだが。当時としては改名は珍

          和華蘭ツーリング 5

          和華蘭ツーリング 4

           大村で生まれた私で。  歴史好きであるのに。  大村氏の歴代墓所のある本経寺を始めて訪問した。  その本堂は1700年代の創建だという。  蝉時雨が頭上の梢で喧しいなか、この草萌える一角は涼やかな風がある。年季の入った苔が降り積もった年月を示している。  僅か3万石に満たない所領の大村藩にありて、これらの仏閣の威容は場違い過ぎる。  そこには禁教令に舵を切った江戸幕府に対しての、小藩の恭順の意が込められている。  大村純忠がローマ法王へと遣わした天正少年使節団が、長い航海

          和華蘭ツーリング 4

          和華蘭ツーリング 3

           今回のツーリングは取材も兼ねていて。  全てが恋愛ボケしているわけじゃない。  大村藩について、いつかは書いてみたいと思っていて。    大村純忠という、初のキリシタン大名がかつてこの地にいた。  彼はこんな枕詞を冠されているが、歴とした戦国大名である。  養父は大村純前であり、実子である貴明を後藤氏へ養子に出して、島原有馬氏から純忠を養子に迎えて家督を継承させる。純忠も血縁であり、甥にあたるのではあるが、父親としては罪なことをしたものだ。  そのために実子と養子とが骨肉

          和華蘭ツーリング 3

          和華蘭ツーリング 2

           初めてのコンテナホテル。  なんと開業して1週間しか経過していない新品ホヤホヤ。  汗だくになってのチェックイン。  すぐにシャワーでさっぱりしたくなるのは、バイクでの夏旅にはつきものですね。でもそうなるともう外出したくない。  それがこのホテルでは、冷食弁当がサービスでついてくる。  De'Longhiのcoffeeサーバーも自由に利用できる。さらにマダムが持たせてくれたクロワッサンがある。もう部屋に籠ることにする。  そもそもが佳い女子とのランチが重すぎて。  夜半にな

          和華蘭ツーリング 2