離婚式 39 I 手のひらの恋
不思議だと、思った。
脳内に複数の人格が共存してる。
怯える神崎はかつて愛していた。
困惑して、鬱に陥ったのは寧々。
それらの人格を呑み込んだ補助脳がこの身体にある。彼らの意識はボクが統括し、牛耳っている。そしてこの肉体は、男性の身体に女性を接ぎ木した造り物だ。どちらから見ても蝙蝠のような歪な距離感にある。
高校生を迎えたときは男子であり、同級生に告白をされたこともあった。稚拙な恋は瑞々しいだけではなかった。手のひらに収まるような淡い恋は、欲望に突き動かされて、大