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離婚式

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離婚式という社会通念が生まれて久しい。 両家がきっぱりと縁を分つために。 その縁を切る範囲は、現代では広すぎるので。 社会のモラルとして、結婚したら離婚保険に入るのは常識になって…
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記事一覧

離婚式 45

 予兆は朝からあった。  乳首が痛いほど充血していた。  この下種がボクの下着を剥ぎ取ると…

百舌
6日前
12

離婚式 44

 まだだ。まだ流出していねえ。  画面に獣のような交尾がある。  誰が見ても犯罪の臭いがす…

百舌
3週間前
11

離婚式 43

 緩慢な動作だけど。  ゆっくりと身を起こした。  まだ弛緩があちこちに残ってる。  この…

百舌
2か月前
9

離婚式 42

 乱暴に突いてくる。  でも苦痛じゃない。  後で沁みるかもね。  それでもこの肉棒はとま…

百舌
2か月前
14

離婚式 41

 倒し込んだ。  形だけの抵抗があるが、頓着しない。  わかるぜぇ、こんな手合いは。  取…

百舌
3か月前
7

離婚式 40

 城砦のような建物だと思った。  コンクリート壁に囲まれた瀟洒なビル。  身持ちの固い女の…

百舌
3か月前
11

離婚式 39 I 手のひらの恋

 不思議だと、思った。  脳内に複数の人格が共存してる。  怯える神崎はかつて愛していた。  困惑して、鬱に陥ったのは寧々。  それらの人格を呑み込んだ補助脳がこの身体にある。彼らの意識はボクが統括し、牛耳っている。そしてこの肉体は、男性の身体に女性を接ぎ木した造り物だ。どちらから見ても蝙蝠のような歪な距離感にある。  高校生を迎えたときは男子であり、同級生に告白をされたこともあった。稚拙な恋は瑞々しいだけではなかった。手のひらに収まるような淡い恋は、欲望に突き動かされて、大

離婚式 38

 口角が弛緩している。  目に哀願の色が強い。  情けない男だと思う。  なぜ惹かれていた…

百舌
5か月前
11

離婚式 37

 後ろ手に拘束されている。  手首に血液が満足に通っていない。  手首ばかりか親指を纏めて…

百舌
5か月前
10

離婚式 36

 洞窟のような場所にいた。  光を感じない漆黒の視界。  全裸なのか、何かを着ているのかも…

百舌
5か月前
7

離婚式 35

 エレックカーに並んで座っている。  腕をりょうは絡めているが、隙間に金属製の何かを突き…

百舌
5か月前
10

離婚式 34

 深呼吸をして心を整えた。  この一夜で、罪をいくつ積み上げるのか。  この一夜で、無垢の…

百舌
6か月前
10

離婚式 33

 チャイムが鳴った。  天井照明が紫色に変化する。  それは警戒警報の色だった。  おれは…

百舌
6か月前
8

離婚式 32

 女の首を絞めた。  それが愉しいらしく、軽く伸びをして寧々はもっと首を差し出した。妖にして艶な雌の顔をして、接吻を求めた。  それに嫉妬をした。  女の肉体は窒息の苦痛さえ、快感に変換してしまう。  この造り物の肉体とは、違う。  痛みしか生まないこの肉体とは、違う。  本源的な相違は、生き物を産み出せないこの身体に依るものだと思う。男性として生を受けてきた事実を、メスを入れてまで捻じ曲げてきた半生を、すべて否定するのがこの痛みだ。  男性器を模した凶器を、肉体から抜く。