宵待昴

始めたばかりです。かわいいもの、不思議なもの、怖いものが好きです。絵を描いたりお話を書…

宵待昴

始めたばかりです。かわいいもの、不思議なもの、怖いものが好きです。絵を描いたりお話を書いたりもします。

マガジン

  • イラストおきば

    今まで描いてきたイラストをまとめています。ほのぼの、かわいいもの多めです。

  • 剣と盾の怪奇録

    見た目の強い叔父と冷静な甥の出会う怪異を書いた、短編ホラーをまとめてます。 大体1話完結です。

  • 佐和商店怪異集め

    短編連作の創作小説「佐和商店怪異集めシリーズ」をまとめています。 夜はお化けがわんさか出るコンビニで働く女子大生・芽吹菫と、呑気な先輩おじさん・榊晃次郎は、どちらも霊感ありの凸凹コンビ。二人がてんやわんやしてます。

  • 僕と

    僕とシリーズの小説をまとめています。霊感有りの男子高校生とクールな友人の話。更新は不定期です。

  • 短夜怪談

    ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。

最近の記事

  • 固定された記事

note始めました

宵待昴(よいまちすばる)です。 サークル名「宵待庵(よいまちあん)」で活動中。 小説とイラストを書いています。 小説は、ホラーや不思議なお話多め。 イラストは、可愛かったりほのぼのしたもの多め。 今のところのメインは ●「佐和商店怪異集め」:お化けが出るコンビニでしっかり者女子大生と暢気なおじさんの凸凹バイトコンビがてんやわんやする話 ●「短夜怪談」:いろいろな形の短編ホラー ●「僕と」:霊感ありの男子高校生とクールな友人のホラーな日常短編連作。 この3本です

    • おばけとチューリップ

      • 【創作小説】剣と盾の怪奇録「破魔弓」

        最近、夢見が悪い。 よく覚えてないけど、鳥のようなものが纏わりついてきて、攻撃される。何となく、嫌な感じのする夢なのだ。そんな日は、目覚めると机に置いてあるお気に入りの硝子細工の亀が、枕元にある。最初は驚いたけど、同時に見守ってくれている気がして、ホッとした。 ある日。 縁側でうとうとしていたら、またあの悪夢を見た。真っ黒で大きな鳥が、低く嗄れた声で鳴きながら、攻撃してくる。うんざりして、無理やり目覚めた。目を開けたら、ギラリと光る赤い目と会う。あの鳥だ。仰向けに寝ている僕の

        • 【創作小説】佐和商店怪異集め「間違わない」

          夕方の佐和商店。 「ーー榊さん」 (ん?) 客のいない店内で、榊は一人、棚の整理をしている。不意に聞こえた声に、手を止めた。屈んだ姿勢から立ち上がり、ぐるりと店内を見渡す。誰もいない。ざあざあと、外の雨音だけが響いて来る。 「気のせいか」 声に出して呟き、榊は作業に戻る。 「榊さん」 今度は真後ろから。聞き慣れた声。素早く立ち上がり、榊は振り向いた。 「お、」 そこには菫が一人で、立っていた。榊は、表情を変えず、頭の先から爪先まで一滴も濡れていない菫を一瞥し、にやっと笑う。

        • 固定された記事

        note始めました

        マガジン

        • イラストおきば
          8本
        • 剣と盾の怪奇録
          11本
        • 佐和商店怪異集め
          60本
        • 僕と
          14本
        • 短夜怪談
          53本
        • わたしのはなし
          3本

        記事

          【創作小説】僕と「柏餅」

          放課後。 僕と友人の満寛とで駄弁っていたら、同級生でオカルトコンビの十朱と芝が入って来た。 「購買に柏餅売ってたから、食べようぜ〜」 「五個入りしか無かったから、最後の一個はじゃんけんで買った人が食べよう」 「ありがとう」 僕の机に柏餅を広げ、皆で食べ始める。最近見た心霊動画の話で盛り上がっていると、芝があれ、と声を上げた。 「残ってた柏餅は?」 四人で、机の中央を見る。容器に入っていた柏餅が、消えていた。 「どこいった?今俺たちしかいないのに。落とした?」 机の真ん中にあっ

          【創作小説】僕と「柏餅」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

          近所に、水が綺麗な小川がある。 散歩でそこに掛かる橋を通った時、川の中に鮮やかな青い鯉のぼりが泳いでいるのが見えた。誰が水に晒しているのか、綺麗なもんだと足を止める。そこへ、小さな男の子が、鯉のぼりだ!と叫びながらじゃぶじゃぶと川へ入って行った。鯉のぼりに触れたかという瞬間、それが急に飛沫を上げて伸び上がり、男の子を一口で丸呑みにする。そのまま川へ潜り、悠々と泳ぎ去って行った。あっという間のことだった。水面には、男の子の靴が浮かんでいる。慌てて川へ下りたが、着いた時にはその靴

          【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

          会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛けた。だが、一つだけ、いつ見ても誰も座っていないベンチがある。周りのベンチはどれも人で埋まっているというのに、だ。ある日の昼休み。後輩を伴って食べに出る。件の公園に差し掛かった時、後輩の顔が曇った。 「どうした?」 「この公園のベンチ、嫌なんですよね。奥にあるやつ」 「ベンチ?」 言われて、公園内のベンチを見る。あの、誰も座っていないベンチが直ぐ飛び込んで来た。 「どっかの家か、建物の廃材

          【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「手鏡」

          「旭、それ最近多いけど、自覚してやってんのか?」 「はい?」 居間で、少しぼんやりしていた。最近予定が立て込んでて、忙しない。あまり休む間もなく、寝不足だ。突然叔父さんに話しかけられて、気の抜けた声しか返せない。叔父さんは、僕の背後にあるドアに寄りかかっている。青地に、真っ白な何本もの白い手の柄のシャツ。綺麗だけど、気味が悪い。左耳には、変わらず大きな朱い金魚が揺れている。 「それ、って何ですか?」 「手のひら、じっと見てんの」 叔父さんの目が、細くなる。真剣な目。 「手のひ

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「手鏡」

          【創作小説】佐和商店怪異集め「ゲーム」

          「すみちゃん、最近そのゲームずっとやってるな。どんなゲームなんだ?」 休憩中。事務所にやってきた榊さんが、私のスマホ画面をちらりと覗き見る。 「『脱出!メイプルちゃん』てタイトルで、お化け屋敷から脱出する、うさぎのぬいぐるみのゲームです」 「ゲームでもそんなことやってんの?」 感心したような呆れたような声に、私は苦笑いを返すしかない。そりゃそうだ。 「うさぎがかわいいんですよ。それに、」 時折哀愁も感じるうさぎが、何となく他人事とは思えなくて。 「それに?」 「これは脱出ゲー

          【創作小説】佐和商店怪異集め「ゲーム」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「呪い紙」

          旭の叔父・弥命は、最近調子が悪い。倦怠感と夢見の悪さが続いているだけなのだが、原因が分からず困っていた。 そんなある日の夕方。旭は家に帰って来て、門扉をくぐったところで気付く。 「紙が埋まってる……?」 足下の地面に、白い紙切れが埋まっているのが見えた。旭は気になって、その紙を掘り出す。少し汚れてはいるが白く正方形で、字が書いてある。 『御剣弥命』 「叔父さんの名前?」 旭は首を捻る。御剣弥命。弥命のフルネーム。それが記されていた。旭には、見覚えの無い字。 (何か、気持ち悪い

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「呪い紙」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「迎えに」

          ※前話「シキの駅」https://note.com/subaru9010/n/nd1b0eb496376?sub_rt=share_pw とセットの話です。 「甥君が幽世に向かわれておりますよ」 「は?」 宵の口。 弥命は、自宅の縁側で煙草を吸っている。見るともなしに庭を見ていると、和服姿の女が夜気へ滲むように現れた。鮮やかな青い着物に、紅い珊瑚の簪を挿した黒髪の女は、目を伏したまま、微笑んでいる。弥命は、鋭い視線を彼女に向けた。 「あんたは誰だ」 「甥君が助けた者に仕え

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「迎えに」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「シキの駅」

          ※次話「迎えに」https://note.com/subaru9010/n/n303cc7b563a1?sub_rt=share_pw とセットの話です。 外出からの帰り。 電車で最寄り駅に降り立った瞬間、目が眩んだ。 「あれ……?」 目に痛いほどの日差し。花が咲き乱れ、あざやかな緑が覆い茂っている。知らない駅のホームだった。理解が追いつかず、僕は立ち尽くしたまま、瞬きをする。外に面したホームは無人だ。暖かくも寒くもなく、心地良い風が吹いている。焦りやら恐怖やらの気持ちが

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「シキの駅」

          動画を投稿した話

          こんばんは。宵待です。 いつも記事、作品を閲覧いただきありがとうございます。 制作中だった、現在執筆中の短編ホラー小説【短夜怪談シリーズ】の機械音声朗読動画が完成&公開しました。(下記リンクより視聴可能です) 今回は一話「幽霊画」を投稿。 今後、定期的に投稿していく予定です。 https://youtu.be/hOkYLgaw3_U 何本かストックを溜めてから、と思っていたのですが、結局三話分までしか作れていません。先が今から怖いですが、機械音声の方は十話以上作成済みな

          動画を投稿した話

          【短編ホラー小説】短夜怪談「コピー」

          中学生の頃、親戚のおじさんが突然亡くなった。 家族が無く、私たち家族が事務手続きなどに奔走することとなったのだ。提出する書類が大量に発生し、父の命で近所のコンビニへコピーを取りに行った。何種類もの書類を順調にコピーしていき、最後の一種類。原稿をセットし、無事に出て来た紙には、原稿の上から真っ赤な手形がついている。 「ひっ!」 急いでコピー機の蓋を持ち上げて確認しても、何も無い。恐る恐るコピーし直しても、やはり手形がついている。元の書類にも、手形なんて無い。怖さと訳の分からなさ

          【短編ホラー小説】短夜怪談「コピー」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「歩道橋の下に」

          駅へ向かう為、歩道橋を歩いていると、柵の向こうを何かが並行してゆっくりこちらへ向かって来る。それは、頭部が異様に大きい背の高い人間だった。柵の下ギリギリに頭が見える。人間と呼べる背丈や頭では無かったが、人の形だった。固まっていると、それが不意に上を、こちらを向く。魚のような、ぎょろりと濁った目。 「……疾く去ねよ。降るぞ」 低い声でそれだけを言うと、ゆっくりと顔を前に戻し、歩き去って行った。後ろ姿を追うと、車道に足をつけて歩いている。着ているものは袈裟に見えた。それからすぐ、

          【短編ホラー小説】短夜怪談「歩道橋の下に」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「埋めた話」

          夕方。 縁側に座ってぼんやりお茶を飲んでいたら、いつ現れたのか、庭先に、白い着物を着て、ガリガリに痩せこけたほぼ骸骨みたいな老人が立っている。泥棒なのか徘徊老人なのか。老人は僕に気付くと、ニタリと嫌な笑みを浮かべて近付いて来る。身体が強張った。 「青い髪の男を預かったぞ。お前の身内だろう」 青い髪。叔父さんの顔がすぐ浮かぶ。預かった、って何だ?老人は僕が答えるより前に続ける。 「返してほしくば、そこの廃寺の脇にある路地に来い」 「ちょっと、」 キヒヒ、と嫌な笑い声を残して、老

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「埋めた話」