宵待昴

かわいいもの、不思議なもの、怖いものが好きです。絵を描いたりお話を書いたりもします。

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マガジン

  • 短夜怪談

    ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。

  • 剣と盾の怪奇録

    見た目の強い叔父と冷静な甥の出会う怪異を書いた、短編ホラーをまとめてます。 大体1話完結です。

  • イラストおきば

    今まで描いてきたイラストをまとめています。ほのぼの、かわいいもの多めです。

  • 佐和商店怪異集め

    短編連作の創作小説「佐和商店怪異集めシリーズ」をまとめています。 夜はお化けがわんさか出るコンビニで働く女子大生・芽吹菫と、呑気な先輩おじさん・榊晃次郎は、どちらも霊感ありの凸凹コンビ。二人がてんやわんやしてます。

  • 僕と

    僕とシリーズの小説をまとめています。霊感有りの男子高校生とクールな友人の話。更新は不定期です。

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宵待昴(よいまちすばる)です。 サークル名「宵待庵(よいまちあん)」で活動中。 小説とイラストを書いています。 小説は、ホラーや不思議なお話多め。 イラストは、可愛かったりほのぼのしたもの多め。 今のところのメインは ●「佐和商店怪異集め」:お化けが出るコンビニでしっかり者女子大生と暢気なおじさんの凸凹バイトコンビがてんやわんやする話 ●「短夜怪談」:いろいろな形の短編ホラー ●「僕と」:霊感ありの男子高校生とクールな友人のホラーな日常短編連作。 この3本です

    • 【短編ホラー小説】短夜怪談「見上げる」

      「先輩、いつも思うんですけど。このビルに何か用でもあるんですか?」 「いや別に。何で?」 「何で、って。いつもしばらく見上げてるじゃないですか。店とか入ってなさそうすけど」 先輩は会社の外に出る度、近くの特定のビルをしばらくじっと見上げる。声を掛けてようやく我に返るのだ。 「そんな見てるか?でも何か、気付くと見上げちゃうんだよなあ」 「通行の邪魔になりますよ。戻りましょう」 「おう」 あのビルから飛び降りたらしい女が、今なお飛び降り続けていること、それが先輩の足元に叩きつけら

      • 【短編ホラー小説】短夜怪談「雨の日の帰り道」

        雨の降る深夜。 帰宅中、道を急ぎ足で歩いていると、後ろからびちゃびちゃと足音がする。わざと水溜まりに足を入れて音を立てているような、不快な足音。深夜だし気持ち悪いので、先に行ってもらおうと思った。少しずつ私は歩調を緩め、背後の足音は変わらぬペースで私を追い越した。どんな人か見てやろうと、顔を上げる。白いレインコートに、透明なビニール傘を差した人。男か女か分からない。その人がバシャバシャと急に小走りになったと思うと、ほんの数メートル先でフッと消えた。開いたままのビニール傘が、地

        • 【短編ホラー小説】短夜怪談「赤い紫陽花」

          幼少の頃、私が住んでいた母の実家には、庭に紫陽花があった。青い紫陽花で、私はその紫陽花を見るのが好きだった。ある年、青い紫陽花の花々の中に、染めたように真っ赤な紫陽花を一つ見つけた。 「おばあちゃん、あの真っ赤な紫陽花なあに?」 聞いてその紫陽花を一目見た祖母は、血相を変えてあちこちに電話をし始める。 「あれが咲いた。しばらく無かったから……そう……くれぐれも気をつけて……」 どの相手にも、こんなことを言っていたように思う。その年、親戚の一人が若くして亡くなった。突然死だった

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        • 短夜怪談
          57本
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          13本
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          8本
        • 佐和商店怪異集め
          60本
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          14本
        • わたしのはなし
          3本

        記事

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「ゲームセンター」

          「タテちゃん!ゲームセンター行こうぜ!」 「ヤマト。何、突然」 学食でお昼を食べた後、本を読んでいたら、友人のヤマトーー矢的豪太ーーが隣に騒々しくやって来た。金髪に、金色の丸いイヤリングや、じゃらじゃらしたイヤーカフがうるさい見た目の男だ。黒シャツにジーパンと、服装はいつもシンプルなのに。 「置いてるゲームが、全部古すぎてヤバいゲーセンがあるって聞いてさー。面白そうだから行ってみたい!」 「ヤマト、友達たくさんいるじゃん。そっちで行ったら?」 「やだ。絶対こういうの好きな連中

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「ゲームセンター」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「おつかい」

          夜。 家に帰って来た途端、スマホが鳴った。仕事に行っている叔父さんからだ。 「もしもし?」 “旭か?今家か?” 「はい。今帰って来たとこです」 “帰って来たとこ悪いが、俺忘れ物してさ。店まで届けてくんない?” 「忘れ物?良いですけど」 居間に置いてある風呂敷包みだと言うので、通話しながら居間に向かう。確かに、居間のテーブルの上には、言う通りの荷物があった。多分これだろう。 「見つけました。紫色の風呂敷包みですよね?」 “そうそう” 「中身って割れ物ですか?」 “瓶の酒だけど、

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「おつかい」

          ライブイベントに行って来ました!まだ余韻が全然あるので明日も休みたい

          ライブイベントに行って来ました!まだ余韻が全然あるので明日も休みたい

          【短編ホラー小説】短夜怪談「メッセージ」

          友人と談笑中。 手元のスマホに、通知が来た。メッセージアプリ。 『深夜二時に行く』 唐突過ぎるメッセージに、友人に断り、アプリを開く。 「あれ?いたずら?何で目の前にいるのに、こんなメッセージ送んの?」 今正に目の前にいる友人からのメッセージだった。笑っていた友人の顔が、真顔になる。 「そんなの送ってないよ。何、深夜二時に行くって」 そのままポケットからスマホを確認して、顔を青くする。 「送信してる……」 「そういやスマホ、出してなかったな」 「そうだよ。いじってない」 友人

          【短編ホラー小説】短夜怪談「メッセージ」

          とても良い誕生日でした…。また一年無事に過ごしていきたいです。

          とても良い誕生日でした…。また一年無事に過ごしていきたいです。

          おばけとチューリップ

          おばけとチューリップ

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「破魔弓」

          最近、夢見が悪い。 よく覚えてないけど、鳥のようなものが纏わりついてきて、攻撃される。何となく、嫌な感じのする夢なのだ。そんな日は、目覚めると机に置いてあるお気に入りの硝子細工の亀が、枕元にある。最初は驚いたけど、同時に見守ってくれている気がして、ホッとした。 ある日。 縁側でうとうとしていたら、またあの悪夢を見た。真っ黒で大きな鳥が、低く嗄れた声で鳴きながら、攻撃してくる。うんざりして、無理やり目覚めた。目を開けたら、ギラリと光る赤い目と会う。あの鳥だ。仰向けに寝ている僕の

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「破魔弓」

          【創作小説】佐和商店怪異集め「間違わない」

          夕方の佐和商店。 「ーー榊さん」 (ん?) 客のいない店内で、榊は一人、棚の整理をしている。不意に聞こえた声に、手を止めた。屈んだ姿勢から立ち上がり、ぐるりと店内を見渡す。誰もいない。ざあざあと、外の雨音だけが響いて来る。 「気のせいか」 声に出して呟き、榊は作業に戻る。 「榊さん」 今度は真後ろから。聞き慣れた声。素早く立ち上がり、榊は振り向いた。 「お、」 そこには菫が一人で、立っていた。榊は、表情を変えず、頭の先から爪先まで一滴も濡れていない菫を一瞥し、にやっと笑う。

          【創作小説】佐和商店怪異集め「間違わない」

          【創作小説】僕と「柏餅」

          放課後。 僕と友人の満寛とで駄弁っていたら、同級生でオカルトコンビの十朱と芝が入って来た。 「購買に柏餅売ってたから、食べようぜ〜」 「五個入りしか無かったから、最後の一個はじゃんけんで買った人が食べよう」 「ありがとう」 僕の机に柏餅を広げ、皆で食べ始める。最近見た心霊動画の話で盛り上がっていると、芝があれ、と声を上げた。 「残ってた柏餅は?」 四人で、机の中央を見る。容器に入っていた柏餅が、消えていた。 「どこいった?今俺たちしかいないのに。落とした?」 机の真ん中にあっ

          【創作小説】僕と「柏餅」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

          近所に、水が綺麗な小川がある。 散歩でそこに掛かる橋を通った時、川の中に鮮やかな青い鯉のぼりが泳いでいるのが見えた。誰が水に晒しているのか、綺麗なもんだと足を止める。そこへ、小さな男の子が、鯉のぼりだ!と叫びながらじゃぶじゃぶと川へ入って行った。鯉のぼりに触れたかという瞬間、それが急に飛沫を上げて伸び上がり、男の子を一口で丸呑みにする。そのまま川へ潜り、悠々と泳ぎ去って行った。あっという間のことだった。水面には、男の子の靴が浮かんでいる。慌てて川へ下りたが、着いた時にはその靴

          【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

          会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛けた。だが、一つだけ、いつ見ても誰も座っていないベンチがある。周りのベンチはどれも人で埋まっているというのに、だ。ある日の昼休み。後輩を伴って食べに出る。件の公園に差し掛かった時、後輩の顔が曇った。 「どうした?」 「この公園のベンチ、嫌なんですよね。奥にあるやつ」 「ベンチ?」 言われて、公園内のベンチを見る。あの、誰も座っていないベンチが直ぐ飛び込んで来た。 「どっかの家か、建物の廃材

          【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「手鏡」

          「旭、それ最近多いけど、自覚してやってんのか?」 「はい?」 居間で、少しぼんやりしていた。最近予定が立て込んでて、忙しない。あまり休む間もなく、寝不足だ。突然叔父さんに話しかけられて、気の抜けた声しか返せない。叔父さんは、僕の背後にあるドアに寄りかかっている。青地に、真っ白な何本もの白い手の柄のシャツ。綺麗だけど、気味が悪い。左耳には、変わらず大きな朱い金魚が揺れている。 「それ、って何ですか?」 「手のひら、じっと見てんの」 叔父さんの目が、細くなる。真剣な目。 「手のひ

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「手鏡」