宵待昴

かわいいもの、不思議なもの、怖いものが好きです。絵を描いたりお話を書いたりもします。

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マガジン

  • 僕と「文披31題」

    7月に参加させていただいた、綺想編纂館 (朧)様(@Fictionarys)のTwitter企画「文披31題」をまとめています。今年は、僕とシリーズで書きました。フリーダムに思いついたまま書いています。

  • 剣と盾の怪奇録

    見た目の強い叔父と冷静な甥の出会う怪異を書いた、短編ホラーをまとめてます。 大体1話完結です。

  • 短夜怪談

    ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。

  • イラストおきば

    今まで描いてきたイラストをまとめています。ほのぼの、かわいいもの多めです。

  • 佐和商店怪異集め

    短編連作の創作小説「佐和商店怪異集めシリーズ」をまとめています。 夜はお化けがわんさか出るコンビニで働く女子大生・芽吹菫と、呑気な先輩おじさん・榊晃次郎は、どちらも霊感ありの凸凹コンビ。二人がてんやわんやしてます。

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note始めました

宵待昴(よいまちすばる)です。 サークル名「宵待庵(よいまちあん)」で活動中。 小説とイラストを書いています。 小説は、ホラーや不思議なお話多め。 イラストは、可愛かったりほのぼのしたもの多め。 今のところのメインは ●「佐和商店怪異集め」:お化けが出るコンビニでしっかり者女子大生と暢気なおじさんの凸凹バイトコンビがてんやわんやする話 ●「短夜怪談」:いろいろな形の短編ホラー ●「僕と」:霊感ありの男子高校生とクールな友人のホラーな日常短編連作。 この3本です

    • 仕事辞めるかも…年末まで続く自信無い…

      • 【文披31題】僕と「水の琥珀糖」(5日目・琥珀糖)

        神社に出ていた店で、綺麗な水色の琥珀糖を買った。 それは甘くて美味かったけど、食べてから俺は世界から消えてしまった。誰にも見えず、触れられず、記憶からも消え、俺を知る人は居なくなってしまった。透明人間みたいだ。好奇心で、学校に行ってみた。俺の席は空席で、でも誰も疑問にも思っていない。ぐるりと教室を見渡して、気付いた。宗也がじっと、俺の席を見ている。いつもの、何か考え込んでいる顔で。まさかと思いつつ、昼休みにメッセージを送ってみる。学食裏のテラスでまだ考え込んでいる、宗也の目の

        • 【創作小説】剣と盾の怪奇録「弥命のバースデー・イブ」

          八月が叔父さんの誕生月であると知ったのは、つい最近だった。 今月である。何も用意出来ていない。プレゼントを貰っても喜ぶような人なのか怪しいけど、この家に住まわせて貰っているし、いろいろお世話になっているのは事実だ。何か用意したい。良いプレゼントの候補が何も浮かばないまま、僕はとりあえず外出した。 大学の方へ向かって歩いていると、見たことの無い店に会った。木製の古いドアに、『開店中』の掠れた文字のプレートが掛かっている。骨董屋。気付いたら、ドアを開けていた。 中は薄っすらと暗

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        • 僕と「文披31題」
          5本
        • 剣と盾の怪奇録
          15本
        • 短夜怪談
          59本
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        • 佐和商店怪異集め
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        記事

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「押し売り」

          庭から、幽霊画の押し売りが来た。 断っているのに、弥命さんが良いと言っている、と言って縁側に座り、ゴリ押して来る。叔父さんのことを知っているなら知り合いなのかもしれないが、本人が不在の時に来なくても。若草色の着物を着た、六十代くらいの男性。しゃっきりしているけど、にこにこ笑う顔は、素人の僕からしても怪しく見える。そもそも、庭から来ないでほしい。商人は、頼んでいないのに、掛け軸を広げ始める。 「こいつは、男の幽霊画なんですけどね」 見れば、青白いガリガリの着物姿の男性の絵が描い

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「押し売り」

          【文披31題】僕と「骸骨人魚」(4日目・アクアリウム)

          宗也は、校外学習で水族館を訪れている。 暗い館内と青の世界は暑い外とは違い、心身を涼しくしてくれる。道に迷って班のメンバーとはぐれた宗也は、一人で回っていた。キラキラと照る水の中、軽やかに泳ぐ魚たちを見ているのは癒やされる。宗也はどの水槽も、ゆっくり見ていた。メインの巨大な水槽まで来て見上げた宗也は、目を丸くした。水の中に、真っ白な人魚らしきモノがいる。らしきモノ、というのは、上半身が真っ白な骸骨で、下半身の魚であろう部分も白い肉と、その肉から骨が半分ほどむき出しになっている

          【文披31題】僕と「骸骨人魚」(4日目・アクアリウム)

          【短編ホラー小説】短夜怪談「不味い部屋」

          お盆時期、亡くなった祖父の部屋で物を食べると、煎餅でもスイカでもアイスでも、何でも気が抜けたような薄いような、妙な味になる。 初めて気付いた幼い頃、それを祖母に言うと、祖母は笑ってこう言った。 「じいちゃん、食いしん坊だったからね。元気だった頃は、この部屋で何でも食べてたよ。今でも、帰って来たら、仏間よりこの部屋で一緒に食べてるんだろうね」 「じいちゃんが食べてるから変な味なの?」 「半分こ、の味になってるんだね。たくさん食べたら、じいちゃんも喜ぶよ」 正直、不味くなるから嫌

          【短編ホラー小説】短夜怪談「不味い部屋」

          【文披31題】僕と「紙飛行機」(3日目・飛ぶ)

          放課後。 一人で少し残って、課題を進めていた。集中していた僕の耳に、気付いたらコツンコツンと、窓に何かぶつかる音が入って来る。顔を上げて見てみると、真っ白な紙で折られた一つの紙飛行機が、叩くように何度も窓にぶつかっていた。まるで意思があるみたいに。僕は呆気に取られてしばらくそれを見ていたけど、段々可哀想になって来た。静かに歩いて行って、窓を開ける。真っ白な紙飛行機は、すうっと真っ直ぐに、まだ明るい空へと飛んで行った。 「ーーありがとう」 耳元で、誰かが囁く。ハッとして周りを見

          【文披31題】僕と「紙飛行機」(3日目・飛ぶ)

          【短編ホラー小説】短夜怪談「心霊スポットの」

          真夏の深夜。 心霊スポットに突撃して来ます!と元気に飛び出して行った後輩が、ものの三十分ほどで帰って来た。何かあったのかと聞けば、 「いやー、さっき話した病院の廃墟行ったんすけど。入る部屋入る部屋全部に、さっき点けたばっかみたいな新しい蚊取り線香が置いてあったんすよ。こりゃやべーと思って直ぐ逃げて来たわけです。他に誰も居なかったと思うんですけどね?居ても、どのみち怖いすけど」 行く前と変わらずへらへら笑う後輩には、ほのかに線香の香りが纏わりついていた。

          【短編ホラー小説】短夜怪談「心霊スポットの」

          【文披31題】僕と「水色のワンピースの女」(2日目・喫茶店)

          満寛と、駅前の喫茶店で待ち合わせをしている。 これから大きな本屋へ行くのだ。早く着いた僕は、入口側の席でメロンソーダを飲みながら、のんびり過ごす。ふと顔を上げると、視界に水色が目に入った。奥の席から、ゆらゆらと、水色のワンピース姿の若い女性がこちらに歩いて来る。途中、全てのボックス席の客一人一人の顔を覗き込んで見ていた。そんなことをされているのに、誰も何の反応もしない。視えていないのだ。こちらへ向かって来る。どうしよう。何も思いつかないまま、女性は僕の隣の席まで来た。隣には、

          【文披31題】僕と「水色のワンピースの女」(2日目・喫茶店)

          【短編ホラー小説】短夜怪談「プールサイド」

          小学五年生くらいの頃。 プールの授業中、体操着姿の子が一人、バタバタとプールサイドを走り回っていた。足音がうるさく、しかも楽しげにゲラゲラ笑ってもいる。泳いでいる内は気にならないが、随分目立つし先生に怒られないのが不思議だった。 「今日見学してた子、ずっと笑いながらプールサイド走ってたけど何だろうね」 友達に聞いたら、首を傾げられた。 「今日、見学の子は一人もいなかったじゃん。走り回ってる子なんて見てないよ」 他の級友たちも同じ答え。確かにそうだった。点呼の時、先生が見学者無

          【短編ホラー小説】短夜怪談「プールサイド」

          【文披31題】僕と「図書室のベランダ」(1日目・夕涼み)

          僕は夕方の図書室に向かった。図書委員をしてる満寛の仕事も終わる頃。ベランダに、黄昏れている友人を見つける。ベランダへのガラス戸を開けたら、微かな風が頬を撫でた。 「宗也」 振り向いた満寛の隣に、僕も並ぶ。三階のこの場所からは、校庭で部活中の生徒たちがよく見えた。 「お疲れ様。夕涼み?」 「あんま涼しくないけどな」 「そうだね」 確かに、風はさほど涼しくなかった。満寛の不機嫌そうな声に、僕は笑って返す。ふと。上から、僕の前を黒い影が落下して行った。音も無いそれを、僕は目で追う。

          【文披31題】僕と「図書室のベランダ」(1日目・夕涼み)

          【短編ホラー小説】短夜怪談「見上げる」

          「先輩、いつも思うんですけど。このビルに何か用でもあるんですか?」 「いや別に。何で?」 「何で、って。いつもしばらく見上げてるじゃないですか。店とか入ってなさそうすけど」 先輩は会社の外に出る度、近くの特定のビルをしばらくじっと見上げる。声を掛けてようやく我に返るのだ。 「そんな見てるか?でも何か、気付くと見上げちゃうんだよなあ」 「通行の邪魔になりますよ。戻りましょう」 「おう」 あのビルから飛び降りたらしい女が、今なお飛び降り続けていること、それが先輩の足元に叩きつけら

          【短編ホラー小説】短夜怪談「見上げる」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「雨の日の帰り道」

          雨の降る深夜。 帰宅中、道を急ぎ足で歩いていると、後ろからびちゃびちゃと足音がする。わざと水溜まりに足を入れて音を立てているような、不快な足音。深夜だし気持ち悪いので、先に行ってもらおうと思った。少しずつ私は歩調を緩め、背後の足音は変わらぬペースで私を追い越した。どんな人か見てやろうと、顔を上げる。白いレインコートに、透明なビニール傘を差した人。男か女か分からない。その人がバシャバシャと急に小走りになったと思うと、ほんの数メートル先でフッと消えた。開いたままのビニール傘が、地

          【短編ホラー小説】短夜怪談「雨の日の帰り道」

          【短編ホラー小説】短夜怪談「赤い紫陽花」

          幼少の頃、私が住んでいた母の実家には、庭に紫陽花があった。青い紫陽花で、私はその紫陽花を見るのが好きだった。ある年、青い紫陽花の花々の中に、染めたように真っ赤な紫陽花を一つ見つけた。 「おばあちゃん、あの真っ赤な紫陽花なあに?」 聞いてその紫陽花を一目見た祖母は、血相を変えてあちこちに電話をし始める。 「あれが咲いた。しばらく無かったから……そう……くれぐれも気をつけて……」 どの相手にも、こんなことを言っていたように思う。その年、親戚の一人が若くして亡くなった。突然死だった

          【短編ホラー小説】短夜怪談「赤い紫陽花」

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「ゲームセンター」

          「タテちゃん!ゲームセンター行こうぜ!」 「ヤマト。何、突然」 学食でお昼を食べた後、本を読んでいたら、友人のヤマトーー矢的豪太ーーが隣に騒々しくやって来た。金髪に、金色の丸いイヤリングや、じゃらじゃらしたイヤーカフがうるさい見た目の男だ。黒シャツにジーパンと、服装はいつもシンプルなのに。 「置いてるゲームが、全部古すぎてヤバいゲーセンがあるって聞いてさー。面白そうだから行ってみたい!」 「ヤマト、友達たくさんいるじゃん。そっちで行ったら?」 「やだ。絶対こういうの好きな連中

          【創作小説】剣と盾の怪奇録「ゲームセンター」