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短夜怪談

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ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。
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記事一覧

【短編ホラー小説】短夜怪談「見上げる」

「先輩、いつも思うんですけど。このビルに何か用でもあるんですか?」 「いや別に。何で?」 …

宵待昴
5日前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「雨の日の帰り道」

雨の降る深夜。 帰宅中、道を急ぎ足で歩いていると、後ろからびちゃびちゃと足音がする。わざ…

宵待昴
6日前
10

【短編ホラー小説】短夜怪談「赤い紫陽花」

幼少の頃、私が住んでいた母の実家には、庭に紫陽花があった。青い紫陽花で、私はその紫陽花を…

宵待昴
8日前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「メッセージ」

友人と談笑中。 手元のスマホに、通知が来た。メッセージアプリ。 『深夜二時に行く』 唐突過…

宵待昴
1か月前
11

【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

近所に、水が綺麗な小川がある。 散歩でそこに掛かる橋を通った時、川の中に鮮やかな青い鯉の…

宵待昴
2か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛…

宵待昴
2か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「コピー」

中学生の頃、親戚のおじさんが突然亡くなった。 家族が無く、私たち家族が事務手続きなどに奔走することとなったのだ。提出する書類が大量に発生し、父の命で近所のコンビニへコピーを取りに行った。何種類もの書類を順調にコピーしていき、最後の一種類。原稿をセットし、無事に出て来た紙には、原稿の上から真っ赤な手形がついている。 「ひっ!」 急いでコピー機の蓋を持ち上げて確認しても、何も無い。恐る恐るコピーし直しても、やはり手形がついている。元の書類にも、手形なんて無い。怖さと訳の分からなさ

【短編ホラー小説】短夜怪談「歩道橋の下に」

駅へ向かう為、歩道橋を歩いていると、柵の向こうを何かが並行してゆっくりこちらへ向かって来…

宵待昴
3か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「教室の花」

ある朝。 Dさんが一番乗りで教室に登校すると、教卓を含めたクラス全員の机に白い花が飾られて…

宵待昴
4か月前
11

【短編ホラー小説】短夜怪談「犬の散歩」

夜の帰り道。 ぴかぴかに点滅する首輪をした犬の散歩に遭遇した。犬はとても楽しそうだ。何気…

宵待昴
4か月前
8

【短編ホラー小説】短夜怪談「ドリンク」

社内に、無料で紙コップドリンクが出る自販機がある。休憩中、ココアのボタンを押し、さて出来…

宵待昴
4か月前
6

【短編ホラー小説】短夜怪談「空調の蓋」

昔、中途で入った会社に勤めていた頃の話。 ある時、一人で残業することになった。この会社は…

宵待昴
4か月前
10

【短編ホラー小説】短夜怪談「靴紐」

「おかしいなあ〜」 運動場で、同級生のAがしきりに首を傾げながら、屈んで靴紐を直している。…

宵待昴
4か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「雪の日の足跡」

ある年、大雪が降った。 足首ほどまでの積雪となり、交通機関が遅れに遅れた。職場から自宅の最寄り駅に着いたのは、深夜。周囲には、誰もいない。雪に世界の音を奪われたように、しんと静まり返っている。やり場の無い怒りでヤケクソ気味に歩いていると、背後から雪を踏む音がした。誰か知らんが同士がいるようだ。勝手に親近感を覚えていると、さくさくと軽快に素早く音が近付いて来る。この積雪でよく普通に歩けるな、猛者かよ。ひょいと振り向くと、誰もいなかった。ぎょっとして足下を見ると、真新しい雪の上を