椿あやか (Tsubaki Ayaka)

●文学修行中●第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞●少し不思議なショートショート書きます◆ショートショートで単著を出すのが夢です。★ショートショートガーデン→https://short-short.garden/author/807946

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      ぺらいち(400字以上)のショートショートを纏めていきます。

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      ぺらいちショートショートまとめマガジンです。 ※ぺらいちショートショート  →原稿用紙一枚400字前後のショートショート(造語)です。

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    【note始めました】

    【note始めました】 こんにちは。椿あやかと申します。 noteを始めてみたはいいものの、なかなか更新出来ずにおりました。反省。 改めまして、こちらのコンテンツでは ・SS(ショートショート) ・イラスト&コラム ・マンガ などをコンパクトに纏め、順次掲載して参りたいと存じます。できれば新規作品も。 お越し下さいました皆さまに楽しんでご覧戴ける様な空間を目指します。 まだまだ手探りですが応援の程、 (サポート(投げ銭)・ご購入・ご依頼)、宜しくお願い申し上げま

      • ショートショート『神ノ音』

        ショートショート 『神ノ音』  カチ・力チ・カチ……。  チ・チ・チ・チ・チ……。  いつの頃からか「その音」は世界に響きわたっていた。 「その音」が鳴り響くと世界から突如として「何か」が消え、あるいは「何か」が現れるのだ。  それは一個の家の場合もあれば、巨大な建造物の場合もある。  そうかと思えば道路や森などの場合もあるし、巨大な樹が突如として現れる場合もある。  ある村は一夜にして消え、かと思えばある村は一夜にして現れた。  人々は恐怖した。 「その音」の対象は徐々

        • ショートショート『アインシュタインの蝶』

          ショートショート 『アインシュタインの蝶』 【 昆蟲宝石専門店・インシュタインの蝶】――そう刻まれた店の看板の前に若い男女が 硝子ケースのようなものを抱き、佇んでいた。  空は墨色と藍色。闇のグラデーションに染め上げられ、夜も深い。  闇だけではなく誰もが最も眠りの深い時間帯だ。  店先に灯っている 燈りはマーブルの色ガラスがなんとも妖しく美しい雰囲気を醸し出している古色めいた 洋燈である。  どこに潜んでいたのか、ゆらぐ燈りに誘われるように絶え間なく羽蟲が集っては、去って

          • ショートショート『蚕珠サマ』

            ショートショート 『蚕珠サマ』  初めて蚕珠サマを目にしたのは小学校、確か三年生の頃だったと思う。  ウチは貧乏で、そのうえ父親も早くに死んで居なかったけれど、母親が妙にのほほんとした性格だったせいか悲壮感は無く、また俺自身が時には高学年に間違われるほどガッチリとした体格だったので、いじめられたりする事もなくごくごく普通に暮らしていた。 ある年のクリスマス・イブの事である。 「実。これクリスマスプレゼント」  父さんが死んでからというもの我が家でクリスマスプレゼントを貰え

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            ショートショート『視線の星』

            ショートショート 『視線の星』  或る星で大規模な疫病が流行った。  私を含む一握りの生存者たちは已むなく生まれ故郷の星を棄て、余所の星へ移住すべく旅立った。  ――チキュウ。  目的とすべき星は彼らの文明よりもだいぶ遅れをとっていたが、彼らが住む星とあまりにも環境が似ていた為、文明が成熟するまで侵略せずにおいたのが功を奏した。 這う這うの体でチキュウに降り立った十人に満たない男女──私たちは、その瞬間から好奇の視線が降り注いでいる事や先住人たちの「気配」を感じてはいたが、

            ショートショート『真昼の月』

            ショートショート 『真昼の月』 あの人に連れられてこの部屋にやって来たのは桜が終わり、新緑の季節に移ろう頃だったわ。  小さな公園にたくさん植えられた灌木の側で、いつもぼんやりと空を見上げて真昼の空に浮かぶ白い月を眺めていたっけ。 私はひとりで居るのが好きだった。  だって自分が醜いとわかっていたから。  公園に遊びにくる男の子達がいつも私に向かって「気持ち悪いヤツ」「本当だ! キモー」などと囃し立て、とりまきの女の子達も一緒になってきゃあきゃあ騒いで随分私を悲しい気持ち

            近況報告です。

            お久しぶりでございます。椿あやかです。 noteの更新が滞っていて申し訳ございません。 創作をサボっていたわけではございません。 なんと ◆第18回 坊っちゃん文学賞の大賞を受賞致しました。 受賞作品は松山市HP、もしくはダ・ヴィンチ 2022年4月号にてご覧戴けます。 ★松山市/坊っちゃん文学賞 ★ダ・ヴィンチ 2022年4月号 今後もショートショートや短い作品を主に単著が出せるよう頑張ってまいりますので応援のほど宜しくお願い申し上げます。 また、 一番

            ぺらいちショートショート⑳『夢の摘蕾 (ゆめのてきらい)』

            ぺらいちショートショート⑳ 『夢の摘蕾 (ゆめのてきらい)』  ──ち。ち。ち。ぷつり。  赤い花。青い花。白い花。  ──噫。なんて美しいんだろう。  ──噫。なんて馨しいんだろう。  同じ道行の者たちが咲かせた夢の大輪。  先人たちが咲かせた花を、憧れ愛でるも楽しいが、私はいつの頃からか、自分の花を咲かせてみたいと思っていた。  ──私が咲かすべきは、この花木──この蕾。  唯これ一つだと信じ、一生を費やすのだ。  大きく咲かせる為、一輪にのみ愛と栄養を注ぐ

            ぺらいちショートショート⑲『人魚の檻』

            ぺらいちショートショート⑲ 『人魚の檻』  海岸からほど近いそのお寺は、山に抱かれるように建っていた。  苔むした階段を登りきると山門があり、※※寺と書かれた扁額が掲げられていて、振り返ると海を一望する事が出来た。  境内には草木に隠れるように朱色の格子戸が嵌った岩窟があった。 『この格子で閉ざされた途は海へと続く』という伝承があるらしい。  すぐ側には小さな塚があり『人魚塚』と書かれていた。  シーグラスや貝など見目麗しい物が供えてあり、海の寺の風習なのかと面白く思

            ぺらいちショートショート⑱『おかしな競技』

            ぺらいちショートショート⑱ 『おかしな競技』  ででん。と僕らの前に立ちはだかる青々としたJellyは富士山みたい。  ふわふわたっぷり。生クリームは入道雲のよう。  てっぺんに真っ赤なチェリーが一粒。  お日様みたいに輝いている。  ジェリーフラッグ、三時大会。  ひとつのジェリーを交互に食べて、先にチェリーを落とした方が負け。  緊張するけれど、ここで匙を投げだすわけにはいかない。 「位置について──用意」  ──パァン!!  クラッカーが鳴るやいなや大

            ぺらいちショートショート⑰『蛹カプセル』

            ぺらいちショートショート⑰ 『蛹カプセル』  20××年。美容整形業界に新技術が登場した。  ──蛹カプセル。  今、僕の目の前でオパールの様な遊色を放っている、寝袋のような形状のモノがそれである。  芋虫が蝶に変わる技術を応用したものだそうだ。  それを壁に立てかけ、中に入り一週間寝る。  すると7日目の朝に、誰でも美しく生まれ変わって出てくるのだ。  今朝は被験者第一号の女性患者がカプセルから羽化する日である。  僕と院長は今か今かとその時を待っていた。  ─

            ぺらいちショートショート⑯『なれそめ (御縁がありますね/昭和)』

            ぺらいちショートショート⑯ 『なれそめ (御縁がありますね/昭和)』  初めてその方に逢ったのは、女学校に通う路面電車の中だったわ。  次に会ったのは停留場内。  品のいい書生さんで目が合って会釈をされて、ドキンとしたわ。  私、学校帰りに喫茶店に行って珈琲を飲みながら空想の世界に浸るのが好きだったの。  喫茶店に入るのは保護者同伴でないと本当はダメなんだけれどね。  ある日、カランとドアが開いて、その方が入って来て「やぁ」と云いながら私の向かいに座ると自分も珈琲を頼ん

            ぺらいちショートショート⑮『なれそめ (御縁がありますね/令和)』

            ぺらいちショートショート⑮ 『なれそめ (御縁がありますね/令和)』  初めてその人に逢ったのは通勤の電車内だった。  次にその人に逢ったのは駅構内。  同じ駅に住んでいるのかな? ちょっぴりドキンとした。  言葉を交わすでもないけれど、何となく意識しはじめたのもこの頃だ。  休日、近所のカフェでひとり昼食をとっているとカランとドアが開いて、なんとその人が入ってきたの。  私、びっくりして思わず「あ!」って声を出しちゃったわ。  そうしたらその人が近づいて来て「奇

            ぺらいちショートショート⑭『顔(Face)』

            ぺらいちショートショート⑭ 『顔(Face)』  2019年4月某日。夜。  長らく続いた平成が終わり、新しい時代──令和が始まろうとしている。  女の携帯が振動した。『彼』からのメッセンジャーだ。  円く切り取られたアイコン。男の美しい顔に女の胸は高鳴る。  ──会った事も無いのに『結婚したい』だなんて、変な男だと思うかい?  ──ううん。私たち、心は通じ合っているわ。  ──嬉しいよ。令和は僕たちの年にしよう。  ──私も嬉しい。そう云えばお札も一新するけど

            ぺらいちショートショート⑬『白猫さん。黒猫さん』

            ぺらいちショートショート⑬ 『白猫さん。黒猫さん』  最近は黒猫が流行っているらしい。  なんでもお洒落でカッコイイからだそうだ。  昔は縁起が悪いだの魔女の使いだのと悪く言っていたくせに、人間は本当に勝手な生き物だ。  流行りに乗じて中にはわざわざ黒く染める輩もいるらしい。  軽薄なことこの上ない。  ──いやぁ。色ムラが出来ないように維持するの、けっこう大変なんだぜ。  と、黒猫。  ──なんだお前、染めていたのか。  と、白猫。 (了) #ショートショ

            ぺらいちショートショート⑫『女狐の窓』

            ぺらいちショートショート⑫ 『女狐の窓』  化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。  化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。  化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。 「こうして呪文を三回唱えて、両手で印を結ぶでしょう?そんで、その穴から覗きますと、狐狸妖怪の類いが人間様に化けてても、見破れるってぇまじないなんですわ。」  兄貴は美人女将が作った料理を喰いもせず、彼女の手をベタベタ触りながら『狐の窓』の組み方を教えている。  この山小屋が運よく見つから無ければ