ショートショート『人魚飴とおしゃべりな姫』
ショートショート
『人魚飴とおしゃべりな姫』
「如月ってさ、喋らないと美人だよな」
──なんというタイミングの悪さだろう。
忘れ物をとりに学校に戻り、まさに教室の扉を開けようとしたその瞬間、クラスの男子の雑談が聞こえてきたのだ。
そして私の想い人である小林渚くんが、私、如月真帆の事を「喋らないと美人」と言っていた。
──美人。褒められているようだが全くそんな事は無い。しっかりと「喋らないと」と釘を刺されている。
そう、私はお喋りだ。
更にいうと“無口な美人”は私が最