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人魚伝説!?  春弦サビ小説



人魚伝説!?    
【1300字くらい】

「師匠、PJさんどちらにいらっしゃったんでしょう」
ミモザが汚いものでも見るように、だらしない寝姿?ではなく萎んだ大きなPJのバッグを見下ろした。
「なに、もうすぐ戻ってくるさ。海にでも行ってるんだろう」
「海ですか?」
「人魚にはみんな会いたいんだよ」
「ところで師匠、お宝って楽器のことだったんですか?」
「まあね、そこはいろいろと」
「あ、まくらさんのとこ、ライブハウス始めたそうじゃないですか。うちもどうでしょう」
「そんなの無理だよ。音楽は提供できるが、飲み物がね」
「そんなの氷の中に何か入れときゃ大丈夫ですよ。食事は私、作りますから」
「そうだなぁ。まくらさんとこに協力する方がいいと思うね」
「何をするんです?」
「メニューでも書かせてもらおうかな」
「あ、それいいです、師匠。紙はあります?」
「車のトランクにストックがあると思うよ」
「ああ、ありましたね。あの動かない車の中に」
「あれはガソリンがないから動かないだけだよ」
「キー回しても、はい!ともいいえ!とも言いませんでしたけど」
「ウンともスンともでしょう。バッテリーも上がっちゃったかな」
「とりあえず紙ですね」
ミモザは如何にも気が乗らない顔をした。その視線の先にまたバッグがあったから。
「PJさんの、どんなお宝か気になります」
「私が楮(こうぞ)で漉いた和紙を頼んでおいたんです」
ミモザはますます興味の失せた顔をした。
「なーんかもっと気の利いた宝物ってないんでしょうか。檸檬ちゃんが喜ぶような」
「君が喜ぶようなだろ?きっとそんなものはないよ。でも彼のウクレレを聴いたら、きっと君の今の言葉は撤回したくなると思うよ」
「ああ、そうそう。師匠、人魚姫伝説はご存知?」
「知ってますよ。ここの村の人はみんな知ってる」
そういうと、つるさんは背もたれに預けていた背中を起こした。

あるところにお爺さんとお婆さんとすーぷという孫娘が住んでいました。
「ちなみにあるところって、ここなんだけどね」
お爺さんはかわいい孫娘を連れて海辺を散歩するのを楽しみにしていました。お爺さんは散歩する時は歌を歌っていました。


ある日、いつものように浜辺を歩いていると大波が二人を攫っていきました。
途方に暮れたお婆さんは、それから毎日、海に通いました。
そしてお散歩の歌を歌いました。すると波が伴奏をするように打ち寄せるのです。そして日の光が海を舞台のように照らすのです。

それから一年ほど経ったある日、いつものようにお婆さんが歌い始めると、海の上にいくつもの突起が現れました。
そして歌い出したのです。


お婆さんが呆気に取られて見ていると、その突起はだんだんと人の形に変わっていきます。
「ああ、すーぷや、帰って来てくれたのかい」
「いいえ、お婆ちゃん。私は海の国で人魚姫になりました。幸せだから心配しないで」
そう言うと、また歌い始めました。
「そうかいそうかい。それならよかった」
お婆さんは胸を撫で下ろしました。
「ああ、お爺さんは?」
「海の藻屑となりました」
「ああ、そうかいそうかい。それはそれは」
お婆さんは少し悲しそうな顔をしましたとさ。

まぁこんな伝説だよ。
おもしろい!
私、断然お話が書きたくなりました。人魚のお話・・・

なんだかミモザさんで埋め尽くされてしまいました
もしかしたらミモザさんって人魚なのかも・・・



春弦サビ小説
PJさん、よろしくお願いいたします


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