牧田 潤

大阪出身で、現在は首都圏在住。 神戸大学経営学部を卒業後、富士通、参天製薬、フィリップ…

牧田 潤

大阪出身で、現在は首都圏在住。 神戸大学経営学部を卒業後、富士通、参天製薬、フィリップス、ほか数社の外資系企業の人事部を経て、現在、人事コンサルティング、コーチングに携わっています。 ビジネスの世界に限らず、人と組織について考えていることを書いていきます。よろしくお願いします。

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  • 川崎フロンターレ(西原雄一)

記事一覧

大人の「学び」をアップデートする

はじめに人生100年時代の到来により、「学び」と「仕事」のフェーズが明確に分けられるのではなく、就労してからも「学び」が適宜必要になることを主張したのは、リンダ・…

牧田  潤
1年前
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よりよい本の読み方(ペース・リーディング)

5月18日付 日本経済新聞朝刊の「春秋」に、動画の倍速視聴のことが書かれていました。 そういえば、私も2年ほど前から、録画したテレビ番組の倍速視聴をしています。特に…

牧田  潤
2年前
8

GAFAは転換点にいる。そして日本企業は?

2022年5月17日に刊行された『なぜ日本からGAFAは生まれないのか』(山根節、牟田陽子著)をもとに、GAFAをはじめとする、アメリカのビッグ・テックの凄さと、これからの課…

牧田  潤
2年前
8

「懸命」から「賢明」へと考え方を変えれば、人生が変わる 【『エフォートレス思考』を読んで】

ずっと思っていたことを体系化して提示してくれている本に出会うことが、時々あります。 グレッグ・マキューン氏による『エフォートレス思考』がまさにそれです。 この本の…

牧田  潤
2年前
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資本主義を創り直す解は「フレキシキュリティー」か?【日本の論点 2022-23(大前研一)の書評とあわせて】

2022年1月1日の日本経済新聞朝刊の1面のタイトルは、成長の未来図 (1) 資本主義、創り直す 解は「フレキシキュリティー」でした。 この記事は次のように始まっています…

牧田  潤
2年前
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マーケティングの原点、それは人間中心の視点に回帰することだ【『コトラーのH2Hマーケティング』 を読んで】

2021年9月にコトラー教授の新著『コトラーのH2Hマーケティング』が出版されました。 コトラー教授は、マーケティングの大家としてあまりにも有名ですが、AIとの共存の時代…

牧田  潤
2年前
10

「仕組み」と「圧倒的な実行力」の両輪が長期的な競争力の源泉だ! 【Amazon Mechanismを読んで】

2021年11月に出版された『Amazon Mechanism』の書評と、そこから何を考えて学んだのか、を書きます。 書評は、それこそAmazon Reviewに投稿する予定ですが、そのレビュー…

牧田  潤
2年前
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『LIFE SHIFT2』の書評:      ライフシフトは、個人という「点」から、社会という「面」に展開するステージへ来ている

2016年10月にリンダ・グラットン教授らにより『LIFE SHIFT』(100年時代の人生戦略)が日本で刊行されてから5年の時を経て、2021年10月に『LIFE SHIFT 2』(100年時代の行…

牧田  潤
2年前
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彼こそ、日本を代表するオーセンティック・リーダーだ(元ソニー会長:平井一夫氏)

私はSONYが好きではありません。 それは関西出身なので、パナソニック(旧松下電器産業)により親しみを感じていることや、育った場所の近くにシャープ本社があったからか…

牧田  潤
2年前
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極めて個人的な、2021年本屋大賞の予想

1月21日に2021年 本屋大賞ノミネート作品が発表されました。 そして大賞が発表される4月14日まで1ヶ月を切りました。 小説ファンのひとりとして、ノミネート10作品を読み…

牧田  潤
3年前
5

そもそも、企業は成長しなければならないのか?

今年、2020年という未曾有の事態が起こっている年は例外かもしれませんが、通例の事業計画では売上前年比 xx % 増というように、成長することは、何の異論の余地もない、当…

牧田  潤
3年前
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「ネガティブ・ケイパビリティ」とCHRO(最高人事責任者)に求められる能力

本を読んだり、テレビのNHKやEテレを観ている時に、初めて目にする言葉やフレーズに心を揺さぶられることって、誰しもありますよね! 今回取り上げた「ネガティブ・ケイパ…

牧田  潤
3年前
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「アイデンティティ」にこだわりすぎない生き方

私は外資系メーカーで人事の責任者をしています。今、人事の世界でもっともホットなテーマの一つは「キャリア」です。 人事部門ではないビジネスパーソンでも、新聞、雑誌…

牧田  潤
3年前
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大人の「学び」をアップデートする

大人の「学び」をアップデートする

はじめに人生100年時代の到来により、「学び」と「仕事」のフェーズが明確に分けられるのではなく、就労してからも「学び」が適宜必要になることを主張したのは、リンダ・グラットン教授です。
同教授はそれを主にキャリアの文脈で語っていました。

一方で企業における「学び」、人事領域では「人材開発」、「人材育成」、「教育訓練」などと呼ばれている分野の議論や見直しが叫ばれるようになったのは、おそらくこの10年

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よりよい本の読み方(ペース・リーディング)

よりよい本の読み方(ペース・リーディング)

5月18日付 日本経済新聞朝刊の「春秋」に、動画の倍速視聴のことが書かれていました。

そういえば、私も2年ほど前から、録画したテレビ番組の倍速視聴をしています。特にニュース番組のたぐいはほとんど倍速なしでは耐えられません。
時々、ライブでニュースやバラエティ番組などを観ていると、そのスピードの遅さにイライラしてしまいます。そのうえ、民放ならCMを飛ばすこともできないし、興味のない話題をスキップす

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GAFAは転換点にいる。そして日本企業は?

GAFAは転換点にいる。そして日本企業は?

2022年5月17日に刊行された『なぜ日本からGAFAは生まれないのか』(山根節、牟田陽子著)をもとに、GAFAをはじめとする、アメリカのビッグ・テックの凄さと、これからの課題、そして日本企業はどこに活路を見出すことができるのかを考えてみたいと思います。

なぜアメリカでGAFAが生まれたのか
GAFAとは、「G:グーグル」「A:アップル」「F:フェイスブック(現メタ)」「A:アマゾン」のことです

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「懸命」から「賢明」へと考え方を変えれば、人生が変わる
【『エフォートレス思考』を読んで】

「懸命」から「賢明」へと考え方を変えれば、人生が変わる 【『エフォートレス思考』を読んで】

ずっと思っていたことを体系化して提示してくれている本に出会うことが、時々あります。
グレッグ・マキューン氏による『エフォートレス思考』がまさにそれです。
この本の書評に書いていること以上の思いを加えて、賢く考えることについて綴っていきます。

真の「働き方改革」とは?2019年12月に中国で新型コロナ感染症問題が発生して、2022年2月現在に
おいても、全世界が混乱の中にあります。このコロナ感染症

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資本主義を創り直す解は「フレキシキュリティー」か?【日本の論点 2022-23(大前研一)の書評とあわせて】

資本主義を創り直す解は「フレキシキュリティー」か?【日本の論点 2022-23(大前研一)の書評とあわせて】

2022年1月1日の日本経済新聞朝刊の1面のタイトルは、成長の未来図 (1)
資本主義、創り直す 解は「フレキシキュリティー」でした。
この記事は次のように始まっています。

この記事の概略を記すと、
資本主義と民主主義の両輪がうまく回らなくなっている。
日本は行き過ぎた平等主義により「国民総貧困化」の様相を呈している。
米国は経済成長率は高いものの、貧富の格差が許容範囲を超えている。
第二の経

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マーケティングの原点、それは人間中心の視点に回帰することだ【『コトラーのH2Hマーケティング』 を読んで】

マーケティングの原点、それは人間中心の視点に回帰することだ【『コトラーのH2Hマーケティング』 を読んで】

2021年9月にコトラー教授の新著『コトラーのH2Hマーケティング』が出版されました。
コトラー教授は、マーケティングの大家としてあまりにも有名ですが、AIとの共存の時代において、マーケティングの行きつくところは、人間中心への原点回帰だという結論が興味深いです。

本書は、その最新の理論だけでなく、それを実践の落としてどう活用するのかの手がかりを与えてくれています。
以降は、私がAmazon Re

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「仕組み」と「圧倒的な実行力」の両輪が長期的な競争力の源泉だ!

【Amazon Mechanismを読んで】

「仕組み」と「圧倒的な実行力」の両輪が長期的な競争力の源泉だ! 【Amazon Mechanismを読んで】

2021年11月に出版された『Amazon Mechanism』の書評と、そこから何を考えて学んだのか、を書きます。

書評は、それこそAmazon Reviewに投稿する予定ですが、そのレビュー・
タイトルは、
「日本企業では太刀打ちできない!アマゾンの圧倒的強さがよくわかる本」です。

この類の本は、内部の人やその企業に通じた人が書いた場合には良いこと、外部の人やその企業からネガティブな感情を

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『LIFE SHIFT2』の書評:      ライフシフトは、個人という「点」から、社会という「面」に展開するステージへ来ている

『LIFE SHIFT2』の書評:      ライフシフトは、個人という「点」から、社会という「面」に展開するステージへ来ている

2016年10月にリンダ・グラットン教授らにより『LIFE SHIFT』(100年時代の人生戦略)が日本で刊行されてから5年の時を経て、2021年10月に『LIFE SHIFT 2』(100年時代の行動戦略)が出されました。
この5年間には、現在進行形の新型コロナ感染症問題をはじめとして、私たちのキャリアと人生そのものについて真剣に考える時間や機会が多かったのではないでしょうか?

そのタイミング

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彼こそ、日本を代表するオーセンティック・リーダーだ(元ソニー会長:平井一夫氏)

彼こそ、日本を代表するオーセンティック・リーダーだ(元ソニー会長:平井一夫氏)

私はSONYが好きではありません。
それは関西出身なので、パナソニック(旧松下電器産業)により親しみを感じていることや、育った場所の近くにシャープ本社があったからかもしれません。
それよりも、何かすました感じや、この数年で業態を広げているため、この会社のアイデンティティが見えづらくなっていることもその理由なのかもわかりません。

そんななか、2021年7月に元CEOの平井一夫さんが書かれた『ソニー

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極めて個人的な、2021年本屋大賞の予想

極めて個人的な、2021年本屋大賞の予想

1月21日に2021年 本屋大賞ノミネート作品が発表されました。
そして大賞が発表される4月14日まで1ヶ月を切りました。

小説ファンのひとりとして、ノミネート10作品を読み終えたいま、個人的な好みは反映させますが、この賞の主旨である「全国の書店員が選んだ一番売りたい本」、言い換えると、読者人口が減りつつある中で、世の中にはこんなに面白くて、心を揺さぶられる本があるんだよ、とできるだけ多くの方に

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そもそも、企業は成長しなければならないのか?

そもそも、企業は成長しなければならないのか?

今年、2020年という未曾有の事態が起こっている年は例外かもしれませんが、通例の事業計画では売上前年比 xx % 増というように、成長することは、何の異論の余地もない、当然のこととして経営陣によって決められて、従業員もそれを受け入れているように思います。
成長の反対語が「衰退」であり、中立的な位置づけが「現状維持」であるなら、感覚的には成長を求めることのほうが自然だし、健全だとも思えます。
ですが

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「ネガティブ・ケイパビリティ」とCHRO(最高人事責任者)に求められる能力

「ネガティブ・ケイパビリティ」とCHRO(最高人事責任者)に求められる能力

本を読んだり、テレビのNHKやEテレを観ている時に、初めて目にする言葉やフレーズに心を揺さぶられることって、誰しもありますよね!
今回取り上げた「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉が、私にとっては昨年から今年にかけて出会った ”感動ワード” です。
どこかでこの言葉の魅力を伝えたいなと思っていたところ、人事パーソン御用達の『労政時報』(2020年10月23日号)の「人事部の未来」特集で、CHR

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「アイデンティティ」にこだわりすぎない生き方

私は外資系メーカーで人事の責任者をしています。今、人事の世界でもっともホットなテーマの一つは「キャリア」です。
人事部門ではないビジネスパーソンでも、新聞、雑誌、ネットなどで、キャリアやそれに関連する言葉はよく見聞きするようになっていると思います。

そしてそのキャリアを考えるときに切っても切り離せないのが、タイトルに書いた「アイデンティティ」という言葉です。

当たり前のように使われている言葉で

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