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#書店員
ハードボイルド書店員日記【192】
<いずれにせよ>
荻窪にある本屋Titleの店主・辻山良雄さんが書いた「しぶとい十人の本屋」(朝日出版社)が売れた。購入したのは眼鏡をかけた女性。
Titleは私にとって理想的な本屋のひとつだ。思わず話し掛けようとし、カウンターへ置かれたもう一冊に気づく。寄藤文平さんの本。「しぶとい~」の装丁は彼と垣内晴さんの仕事である。
本を買う目的や理由はひとつじゃなくていい。いずれにせよありがとうございま
「全国チェーン」「街の書店」「コミュニティ」
6月14日にオープンした「八重洲ブックセンター グランスタ八重洲店」へ行ってきました。
JR東京駅で降りるのは久し振り。「八重洲地下中央口」を出たら「ゴディバ」や「ゴンチャ」のある方へ向かい「ゴンチャ」の横を通って右折すると右手に見えてきます。他にも「中央口」という名の付く改札があるので注意してください。
同じような広さの他店と比べ、コミックが少な目でした。場所柄や客層に合わせたのでしょうか。
「読書家レスラー」と「7年前の確信」
「みんなが本を読めば争いごともなくなると思います」
↑は新日本プロレスの社長・棚橋弘至選手のコメント。書店で働く本好きににとって励みになる一言です。ありがとうございます。
彼はかなりの読書家です。確信したエピソードをひとつ紹介させてください。
2017年の夏に開催されたG1クライマックス。棚橋選手はバッドラック・ファレ選手にリングアウトで勝ち「枯れた技術の水平思考」というコメントを出しました
「それだけが正解じゃないよ」とささやいてくれる一戦
2016年の夏。
プロレスラー・鈴木みのる選手が経営するアパレルショップ「パイルドライバー」へTシャツを買いに行きました。
店番をしていたのは、佐藤光留(さとう ひかる)選手。当時彼は全日本プロレスで青木篤志選手と抗争を繰り広げており、世界ジュニアの王座戦を控えていました。
「自分と青木篤志の試合は、プロのレスリングなんです」
この一言、ずっと覚えています。
先日後楽園でおこなわれたエル
「失われた時を求めて」を巡る冒険②
数日前に↓を読了しました。
まさに名作文学。人間描写の厚みというか、誰もが秘める二面性のリアリティが素晴らしかったです。たとえば貴族に批判的でありつつ、実はいわゆるスノッブ(上級国民に憧れ、連中の真似をしたがる俗物根性みたいな意味)の顔も持つルグランダン。しかし語り手は、彼を不誠実な人物とは考えていません。
己のウィークポイントや課題を、案外自分がいちばんわかっていない。
権威を批判し、前例
「人生初のシェア型書店」で出会った2冊
心地良い空間でした。
直木賞作家・今村翔吾さんが、神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」です。先日行ってきました。
シェア型書店へ足を踏み入れるのは初めての経験。ひとつひとつの棚をじっくり眺めました。
時代小説、純文学、ミステリィ、ビジネス書、歴史書、絵本、料理書、旅行書、写真集、アート関連、コミック……想像していたよりも多様なジャンルの本が置かれていました。版元は大きい会社もあるし初
イチ書店員が「町で唯一の本屋」に思うこと
嬉しいニュースです。
北海道・南西部の白老町(しらおいちょう)に、町の本屋「またたび文庫」がオープンしました。同町に本屋ができるのは30年ぶりらしいです(5年前までは文具店が一部書籍を扱っていたとか)。
↑いわく「話題の小説など新刊約800冊を扱い、学術書などの専門書や児童書、実用書の古書も約1000冊置く」とのこと。町で唯一の本屋だから、あらゆるジャンルをひと通り押さえている感じでしょうか。
「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊
GWも終盤ですね。
前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。
大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動くことは、連日稼動し続けるのとは違ったしんどさを伴います。
年中無休の書店で働く身です。しかし営業マン時代は、年末年始に1週間弱のお休みがありました。年明け最初の朝礼で社訓を叫んだら声がガラガラ。驚きました。毎日やっている時は平気だ
本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」
暇な時間にレジで同僚と話をします。
基本的には本に関することだけ。ちょっとした一言が選書や仕事への取り組み方を見直すヒントに繋がります。
数年前、純文学好きの同僚と某作家の話をしました。好きだけど「面白い?」と訊かれて「面白い」と返せる本ではない。不遜にもそう伝えたら、彼は軽く笑ってこう返しました。
「それが文学のいいところじゃないですか?」
たとえばある書籍が「さほど売れそうにない」と評
「新しい環境でモヤモヤを抱える」人へオススメの一冊
4月もそろそろ中盤です。
新しい環境に馴染めず、もしくは「思ってたのと違う」と戸惑い、モヤモヤを抱える人が少なからずいるはず。私もそうでした。
新卒で入った営業会社。朝8時スタートで帰宅は早くても夜10時半。出社時間はまだしも、帰りがここまで遅いとは面接で言われなかったし募集要項にも書かれていなかった。しかも休みは週1日。
同期が初オーダーを挙げた直後に「義理は果たしたよ」と言い残して去った
「毎月4日」はホントにしんどいけど
↑は集英社「週刊少年ジャンプ」の公式サイトです。
4日に発売されるジャンプコミックスの一覧を見て言葉を失いました。
「僕のヒーローアカデミア 40」
「Dr.STONE 27」
「呪術廻戦 26」
「SAKAMOTO DAYS 16」
「チェンソーマン 17」
「ダンダダン 14」
「怪獣8号 12」
ちょっとしたドリームチームです。
入ってくる梱包の数を想像しただけで寒気を覚えます。と同
私の職場は「気骨ある書店」ではないかもしれないけど
入荷したのを見て「読みたい」と思いました。
「本屋のない人生なんて」というド直球なタイトルが潔い。出版社は光文社で定価は税込2090円、著者は「真夜中の陽だまり ルポ・夜間保育園」で知られる三宅玲子さんです。
「北海道から九州まで、全国の気骨ある書店を訪ね歩いたノンフィクション」とのこと。
登場している11店のラインナップを見て、一気にテンションが上がりました。「本屋Title」は、行くたび
「現場を大事に」と「経営者目線」を併せ持ちたい
考えるヒントをいただきました。
大阪と佐賀で書店を経営する直木賞作家・今村翔吾さんのインタビューです。次は神保町でシェア型書店の1号店をオープンするとか。
最も驚いたのは「取次を変えると在庫を清算し、現金に換えることができる」というくだり。恥ずかしながら知りませんでした。
一方で「在庫管理が難しい」「気がついたら大赤字を食らっている」は末端の非正規雇用である私にも理解できます。
在庫は抱え
ハードボイルド書店員日記【176】
「ピーターラビットの500円を5枚、1000円を3枚。1枚ずつ包装ね」
図書カードがやけに売れる月末の昼。今度はサングラスをかけた常連の老紳士だ。レジを打とうとしたら「あと1500円を7枚」と言われた。
「1500円のものはございませんが」
「知ってる。だから1000円と500円を1枚ずつで7組」
ならば「1000円を10枚、500円を12枚」と伝えてくれる方が助かる。組み合わせは包む段階で教え