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お仕事系の記事たち

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#仕事

出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #3

出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #3

(前回)

中野区のさびれたキャバクラに勤務して1か月が経っていた。
薄給で衛生面も良くない、場末感のただようバイト先。

ゴミだめのような環境で僕が辞めずにいられたのには理由がある。
不思議なことに、可愛い女の子が多かったのである。

特に僕のお気に入りだったのはリタという源氏名の女の子だ。
モデルのように背が高く、日本人形のように黒髪を伸ばした清楚系だった(水商売に従事している時点で清楚系もへ

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出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #1

出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #1

「そういうことならいいお店を紹介してあげる」

と、マッチングアプリで付き合いのあったキャバ嬢が教えてくれた。

6月初旬、僕は金とネタに飢えていた。

前年の春、2年間勤めた出版社を退職した。ライターとして独立するというかねてからの夢を叶えるためだった。

しかし執筆業の依頼など、ほとんど回ってこないまま1年が過ぎていた。時間はあっても金がない。電気代が払えないため、電気の止まった部屋で一週間生

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怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #2

怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #2

(前回)

「お兄さん、めっちゃかっこいいですね」

胡散臭いスカウトマン(通称シド)におだてられ、僕は歌舞伎町の奥の奥にある雑居ビルの中に招き入れられた。
そこで待ち構えていたのは、夜の蝶たちがゆらゆらと飛び交う、眩くも汗臭い世界だった……。

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京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #2

京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #2

(前回)

この会社にいること自体がリスクなのか?

「ゆるブラック企業」とは、長時間労働や過剰な責任、精神的ストレスがない代わりに、仕事に対する意欲ややりがいを感じられない企業を指す。近年、ブラック企業の減少にともない、このような環境で働くことに不満を抱く人が増えてきている。
A氏もその一人である。彼にとって、年を取ってもスキルアップができないという現実が将来への不安材料になっているようだ。

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京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #1

京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #1

早朝のコンビニは騒がしい。客が入ってくるチャイムの音、店内を歩き回る音、コーヒーマシンの音、飲み物の補充音、全てが混ざり合う。コンビニでは、音を拾いながら動くことが大事だとA氏はいう。

今回話を聞かせてくれたA氏は京都大学を卒業後、大手インフラ企業に就職。1年目から駅ナカ事業(駅の中や周辺施設におけるビジネス展開)を担当する部署に配属され、駅構内での小売店の売上促進を担当している。

字面として

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ルポ・大企業人事~20代で年収1000万超え、勝ち組確定の企業を辞めます~

ルポ・大企業人事~20代で年収1000万超え、勝ち組確定の企業を辞めます~

「大企業で幸せに働くには、人の心を捨てる必要があります」
大手IT企業に人事として入社しながらも数年で退職、現在は小さな出版社で編集者として勤務するAさんはこう語る。

今回は、将来を約束されたはずの若者が、とある大企業から退職に追い込まれるまでの苦悩の日々を追った。

管理職候補として入社

Aさんの会社員人生は順風満帆に始まった。都内の有名私立大を卒業したのち、大手IT企業へと入社。就職人気ラ

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ルポ・通信社記者~朝起きると、家の前にヤクザが立っていたんです~

ルポ・通信社記者~朝起きると、家の前にヤクザが立っていたんです~

夜討ち朝駆けを繰り返す、刺激的な日々

通信社記者の日常は、想像を絶するほどにハードだ。
朝4時に起床、会社が手配してくれるハイヤーに乗り込み、警察・検察の要職の自宅へと向かう。彼らが出勤のために自宅を出る瞬間を待ち構えて話を聞くのだ。
運が良ければ、出勤のお供を許される。オフィスに到着するまでの限られた時間のなかで、口が固い官僚たちからどれだけ有益な情報が入手できるかが勝負だ。
その後、新聞各社

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