就活ゾンビ。
……うーん、、なんか見覚えある感じ。
面接会場に着いた私は、
エントランスの前で、足を止めた。
…そして、後ろを振り返った。
スーツを着た人間が、次々にやって来る。
同じ服、 同じ髪型、 同じ顔…
…なんだっけ、これ、、
なんか見覚えあるんだけどなぁ。
虚ろな目をした人間が、
次々と、エントランスに吸い込まれていく…
あっ、、
そう、これはまさに、
ゾンビゲームだ…。
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…えっ、えぇ、、みんな大丈夫なの?
…ちゃんとご飯食べた?
と、声を掛けたくなるような顔。
面接会場の控え室。
右にも左にも、ゾンビ。
前にも後ろにも、ゾンビ。
大量のゾンビが、一つの部屋に収容されている。
そして皆、
俯きながら、何やら呪文を唱えていた。
(…ザワザワ…ザワザワ…)
…私の強みは
…御社で実現したいことは
…働くということは
必死に呪文を唱え続ける、ゾンビ達。
どうやら、
この呪文を唱え続けると、
人間に戻ることが出来るらしい…。
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次は、私の番だ。
とうとう、順番が回ってきた。
___コンコンコン。
ドアをノックして、部屋に入る。
パイプ椅子の隣に立って、前を向く。
……すると、突然、
部屋の蛍光灯が、チカチカ点滅し始めた。
…なんだなんだ? 何が起こってるんだ?
周りを見渡して、焦っていると、
目の前にいる面接官が、冷淡にこう言った。
「…あなた、、大丈夫ですか?
顔が、緑色になってますよ…。」
( …ガフフ、ガフ、ガフ、ヴゥゥゥゥ!! )
……知らなかった。
ゾンビになっていたのも、
呪文を、必死に唱えていたのも、
全部 、「私」自身だったなんて…。
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