読書という栄養補給

受け身ではなく、自発の姿勢を揺るぎなく保てると、見える景色が変わるという話をいくつかして来た。人生の日常生活に起こる事柄の捉え方は、自分が変わることで変えられるからである。

静の活力をやしなえるこの空間が最高にすきだ。
刺激的な楽しい!とは違った、穏やかな内側から生まれる陽だまりみたいなあたたかさが巡る。
たまたま手にした小説の中で出逢えた言葉が、自分の人生に入って来る感覚が心地いい。懐かしい記憶と繋がることもあれば、今考えている事柄と結びついて、日常のヒントを受け取れたり新たな視点を見つけられたりする。
はたまた、自分の経験の範囲を超えていろんな人生を垣間見ることをができるのも読書のおいしいポイントだ。これは一生かかっても私は体験しないだろうなというようなシチュエーションや環境・境遇の主人公は、別の人生を軽く擬似体験させてくれる。いつだって自分の安全な日常に戻って来られる上、好きな時にまたその世界へお邪魔できるという、最高なシステムだ。こんなにも簡単に旅に出向けられることが他にあるだろうか。

小説を読みすすめる中で、お!という言葉と出会える時は、決まって心の書棚にコレクションをして何度でも撫でて慈しみたいと思う。私にとって素敵な言葉とは、確かな光のひとつなのだ。小さなプレゼントと変わらない。見えない贈り物を自分が選べた嬉しさや、このタイミングで出逢えたことへの縁を感じる。小説はただ活字を頭に取り入れているだけではない、心に響くこんぺいとうみたいな、ほどよいサイズの栄養に換わる宝石を目を通して体内(心)に取り込んでいる感覚だ。どんな経緯だろうと、この作品と今、出逢えたことは間違いなく私の人生を彩ってくれていると分かるからだ。それが嬉しい、小説と対話しているみたい。掌におさまる旅は心に広がりを与えてくれる。それぞれのページから感じる温度や色が心地良い。

“生きること”や“愛すること”を、想像の旅で主人公たちと一緒に体感することの楽しさは、小説を読むことでしか得られない。
まさに取って置いておきたい、とっておきのフレーズは、記憶の引き出しに眠っているこれまでの思い出たちと混ざって、新しい表現が自分の内側から湧いて来る。その瞬間、私はこうして新しい文章を紡ぎたくなる。読んだ文字の数だけ、また自分からも文を紡ぎたい。そうして新鮮な水が通っているが如く、インプットとアウトプットがリズム良く循環している体感とその全ての時間を愛でたいと思う。

#創作大賞2024

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