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夕遊の映画座

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マガジン機能の練習中。見て良かった映画の感想をまとめています。おすすめを紹介していただけると、喜び踊ります。
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2020年11月の記事一覧

年末にしみる映画はきっと名作。映画『容疑者Xの献身』2008年。

年末にしみる映画はきっと名作。映画『容疑者Xの献身』2008年。

福山雅治と柴崎コウのポスター&予告編から、なんとなく『踊る大捜査線』みたいな楽しい映画かと思っていました。でも、どうやら一部方面にとんでもなく受ける映画らしいということがわかって、俄然見に行きたくなりました。例えば、こちら。

というわけで、期待値MAXで、友達と娘と3人で映画館へ。予想以上に、最初から最後までシリアスだったけど、とても丁寧に作られていてよかったです。あたりまえですが堤真一の演技が

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舞台が原作。ラジオドラマもあり。映画『笑の大学』2004年。

舞台が原作。ラジオドラマもあり。映画『笑の大学』2004年。

 三谷幸喜原作の映画『笑の大学』は、もともと演劇(一番はじめはラジオ劇)だったものを別の監督さんが映画化したもの。舞台をそのまま映画にしたような感じで、ちょっと笑うのが難しかった。映画の良さがあんまり生かされていないように思う。これなら、演劇ビデオの方がよかったかも。

 舞台は、昭和十五年(1940)秋、警視庁保安課の取調室。主役は二人。浅草の劇団「笑の大学」の座付き作家・椿一と、警視庁検閲係の

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それでも人生は美しい。映画『神様の思し召し』イタリア、2015年

それでも人生は美しい。映画『神様の思し召し』イタリア、2015年

 心臓外科医のトンマーゾが主人公。天才的な技術を持つけれど、性格は傲慢で、病院の後輩の医師や看護師に威圧的な嫌な人。彼が期待する息子のアンドレアは医大生なのに、勉強がちっとも進まず、いつも友達とどこかへ出かけてしまう。ある日、トンマーゾが後をつけると、彼の行く先はキリスト教の集会。アンドレアは集会で話をする神父ピエトロにあこがれ、とうとう神父になるから神学校へ行くといいだす。

 アンドレアの神学

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ときどき確認したい、愛することの基本形。映画『I am Sam』アメリカ、2001年

ときどき確認したい、愛することの基本形。映画『I am Sam』アメリカ、2001年

知的障害を持つ父と、小さくてかわいい娘のドラマ。 偶然父親になったけれど、知的レベルは7才のサム。パートナーだったはずの彼女は、子供を育てることができずに逃げてしまいます。サムは、同じくいろんな精神障害を持つ仲間とともに、娘のルーシーを育てますが、彼女が成長するにつれて知的レベルでは父親を上回り、学校が心配して児童福祉施設が親権をとりあげようとする事態に。

困ったサムは、弁護士のリタに依頼しよう

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明日への希望、希望の歌。『シング・ストリート 未来へのうた』アイルランド・アメリカ・イギリス、2016年

明日への希望、希望の歌。『シング・ストリート 未来へのうた』アイルランド・アメリカ・イギリス、2016年

アイルランドのジョン・カーニー監督の3作目。
『はじまりのうた』も『ONCE ダブリンの街角で』もよかったので、今回のもの期待していました。そして、期待通りにとてもよかったです。

1985年のダブリン。父親の失業に両親の不仲。授業料の安い高校に転校させられた、線の細い主人公。絶望的な環境に戸惑うけれど、音楽を通じて少しづつ友達を見つけ、憧れの女性と出会い、夢に向って走っていきます。

ひどい家庭

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実話ベースの映画ってのが信じられない。映画『LION 25年目のただいま』オーストラリア・アメリカ・イギリス、2016年。

実話ベースの映画ってのが信じられない。映画『LION 25年目のただいま』オーストラリア・アメリカ・イギリス、2016年。

何度かTwitterでおすすめされていたので、見てみました。意外に最近の映画でびっくり。もう少し、古い映画だと思っていました。そして、LIONというので単純にアフリカの映画だと思っていた。すみません。

ストーリーの舞台はインド。田舎で母と兄と妹と暮らしていたサルーが、兄の出稼ぎに無理やりついていき、駅ではぐれ、そのまま回送列車に乗ってカルカッタまで行ってしまいます。言葉も通じず、途方にくれてあち

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プロの仕事、経験、プライド。映画『ハドソン川の奇跡』アメリカ、2016年。

プロの仕事、経験、プライド。映画『ハドソン川の奇跡』アメリカ、2016年。

イーストウッド監督は、実話にもとづいた映画が好きで、いくつも作品をつくっています。今回の元ネタは、2009年の1月15日にニューヨークの西側を流れるハドソン川に旅客機が着水・不時着した事件。確か、私も当時、ニュースでみた記憶があります。

空港から離陸した直後の飛行機でエンジントラブルが発生し、機長がきっちりハドソン川に不時着させて、一人の犠牲者もでなかったすごい話。もし、機長がハドソン川に着水し

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音楽がある人生って素敵。『オーケストラ・クラス』フランス、2017年

音楽がある人生って素敵。『オーケストラ・クラス』フランス、2017年

なんだかドキュメンタリー映画みたいだけど、実はちゃんとしたシナリオがある映画。フランスの音楽教育プログラムのお話。

パリ19区の小学校講師になったバイオリニストのシモン。音楽家活動が行き詰まっていたシモンは、気難しくて子供が苦手なくせに、この仕事を断れず、6年生にバイオリンを教えることになる。でも、楽器にさわったこともない、いたずら盛りでやんちゃな彼ら。シモンは振り回されて、自信喪失。クラスの中

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やわこい男の子がいっぱしの男に成長する物語。映画『ジョジョ・ラビット』アメリカ、2019年

やわこい男の子がいっぱしの男に成長する物語。映画『ジョジョ・ラビット』アメリカ、2019年

評判がよかったので、気になって見に行きました。
夫と2人だと夫婦割でかなり安くなるので、最近は2人で行くことが多くなった気がします。予想は、もう少しコメディ寄りだったのですが、子供視点とはいえ、かなりシリアスな部分もあってドキドキしました。最近、本当に怖いシーンが苦手です。

ストーリーは、ナチ時代のドイツ。第二次大戦中が舞台の映画なので、ちょっと怖くてハラハラするのですが、基本的に弱虫の男の子、

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あふれる愛情と勇気のインド映画。『パッドマン 5億人の女性を救った男』2018年。

あふれる愛情と勇気のインド映画。『パッドマン 5億人の女性を救った男』2018年。

最近のインド映画は本当に素敵。予告編を見て、絶対に娘(中学生)を連れて行くと決めて、2人で見に行きました。ものすごくよかったです。

愛があり、笑いがあり、涙あり。とても前向きになれる映画です。『ダンガル』同様、弱音を吐きたくなるたびに、何度も観たくなります。大きなインドには地域ごとに習俗風習が違って、女性や子どもたちは弱い立場におかれている。もちろん、男性だって強くないといけない。

大勢の人が

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蒼井優と高橋一生を堪能する。映画『スパイの妻』2020年。

蒼井優と高橋一生を堪能する。映画『スパイの妻』2020年。

久しぶりの邦画です。黒澤清監督で、蒼井優が出ていて、戦前のレトロな感じの映画ってことで、これは大体間違いないだろうと家族で見に行きました。もとはNHKのドラマで、それを映画版として公開したとか。驚きです。

舞台は神戸。主人公は、洋館に住むような奥様の福原聡子(蒼井優)。夫(高橋一生)は貿易会社を経営していて、お育ちもいいし、頭も良くて、羽振りもよさそう。映画撮影が趣味で、妻を撮影して会社で上映す

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孤独な男が築いた帝国。伝記映画『J・エドガー』アメリカ、2011年。

孤独な男が築いた帝国。伝記映画『J・エドガー』アメリカ、2011年。

FBIを創設した男、初代長官ジョン・エドガー・フーバーの半生を実話にもとづいて映画化。監督はクリント・イーストウッド。これを聞いただけでも、見応えありそう(=私の好み)だということがわかります。

1919年、アメリカ司法省の共産主義過激派を逮捕して、国外追放する特別捜査チームの責任者に抜擢されたJ・エドガー・フーバーは、若干24歳。そのの若さで、その後徹底した科学的捜査で証拠をつかみ、州を超えて

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