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東京大学2024年国語第1問 『時間を与えあう―商業経済と人間関係の連環を築く「負債」をめぐって』小川さやか
前年の2023年第1問と同じく、文化人類学をあつかった説明文であり、東大第1問のあらたな傾向のあらわれかと思われる。
一方で、女性の書いた文章が第1問に採用されることはきわめてまれであるように思う。
2023年は古文の第2問も第4問も女性の書いたものであった。ほとんど男性の著者しか想定できない漢文が出題される第3問をのぞけば、女性によって書かれた問題文ばかりとなったことになる。
問題文はこ
東京大学2022年国語第4問 『影絵(ワヤン・クリット)の鏡』武満徹
第4問では随想がとり扱われることが多く、著者も圧倒的に詩人をはじめとする文筆家が多いが、今回のように他の分野の芸術家が採用されることもある。これまでには、写真評論家、演出家、映画監督などがいた。本問においては、著名な作曲家である武満徹である。
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(一)「私のひととしての意識は少しも働きはしなかったのである」(傍線部ア) とあるが、それはなぜか、説明せよ。
第5段落中には、「巨
東京大学2021年国語第1問 『ケアと共同性―個人主義を超えて』松嶋健
東大現代文の題材に医療福祉がとりあげられるのはそれほど多くない。問題文の趣旨は明確で、設問もひねったものはないため、素直に、かつていねいに論理関係を整理し、解答に反映させる必要があると思われる。
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(一)「ケアをする者とされる者という一元的な関係とも家族とも異なったかたちでの、ケアをとおした親密性」(傍線部ア)とはどういうことか、説明せよ。
傍線部アについては、第3段落に「す
東京大学2018年国語第1問 『歴史を哲学する―七日間の集中講義』野家啓一
筆者の野家啓一は、つねに論理にもとづく地道な文章を書く哲学者である。歴史を題材とする本問題文でも、丁寧すぎるくらい、論拠がくりかえし述べられているため、理解しやすく、解答もしやすいといえるだろう。
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(一)「その痕跡が素粒子の『実在』を示す証拠であることを保証しているのは、量子力学を基盤とする現代の物理学理論にほかなりません」(傍線部ア)とはどういうことか、説明せよ。
傍線部