マガジンのカバー画像

取材者の心絵(ココロエ)

26
東洋経済オンラインやOCEANS、AlpenGroupMagazine、キングギア などの媒体に寄稿しているスポーツライター、瀬川泰祐が取材・執筆活動の中で、日々感じている取材か… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

SNSの正しい使われ方

SNSの正しい使われ方

少し前にも触れたが、7月15日の海の日を前に、東洋経済オンラインで公開された記事が、週間のSNSのいいね・シェアランキングで一位になった。

この記事を読んでいただいた、ある媒体の社会部記者の方が、

「海水浴における事故は“自己責任”、“自業自得”といった言葉がついてまわるせいか、メディアではなかなか取り上げられない現状がある」

と教えてくれた。

なるほど、僕はこの時、一本の記事が、たく

もっとみる
「吉本報道」で欠如していた反社会的勢力の実態と救うべき弱者の存在

「吉本報道」で欠如していた反社会的勢力の実態と救うべき弱者の存在

僕のNoteは基本的にスポーツの話題を扱うことが多いが、自分の考えを明確にしたり、考えを整理できる上質なテーマがあれば、スポーツに関わらず、書いていく。さっそく、今回は、吉本興業の一連の報道で感じたことをまとめてみたい。

一連の吉本報道の欠陥僕は、これまで吉本興業の一連の報道について、誰に対しても一切の意見を言わずにきた。なぜなら、一連の報道と周囲の反応が感情論に流され、時が経つに連れて、その論

もっとみる
元サッカー日本代表GK・南雄太選手取材のウラ話

元サッカー日本代表GK・南雄太選手取材のウラ話

この企画はある男の依頼から始まった37.5歳からのファッション・ライフスタイルマガジン「OCEANS」で掲載された、横浜FCの正ゴールキーパー、南雄太選手のノンフィクション。

SNSを中心に拡散していただき、多くの人に届けることができたのだが、この取材が実現したのは、ある男からの依頼がきっかけだった。

その男とは、ヴァンフォーレ甲府やロアッソ熊本で活躍した元Jリーガーの宇留野純だ。

2018

もっとみる
BTS騒動にみる報道の役割と日本人としての行動

BTS騒動にみる報道の役割と日本人としての行動

一連のBTS騒動。

前提として、僕は親韓でも反韓でもない。だが、これらの騒動は決して、気持ちの良いものではないと感じる。

この騒動自体が、だ。

僕には、韓国人の友人も、もちろん、いる。一方で、剥き出しの反日感情を示された行動がニュース番組で流れると、大勢の韓国人の姿勢に対しては、嫌気がさしている自分も、いる。

まずはこちらの記事を読んでみてほしい。一連のBTS騒動のことが書かれたものだ。

もっとみる
戸田和幸取材のちょっとした「ウラ」話

戸田和幸取材のちょっとした「ウラ」話

2002年ワールドカップ日韓大会で、初のベスト16入りを果たしたサッカー日本代表で、影のMVPと言われた男。

戸田和幸。

彼を題材にした記事が今朝、東洋経済オンラインにて掲載された。

赤いモヒカンヘアーと荒々しいプレーで相手のエースを潰し、中盤に立ちはだかる姿に、大きな安心感を覚えたことを今でも思い出す。

その戸田和幸が、最近「裏解説」を始めたと知り、大きな関心を持っていた。

裏解説とは

もっとみる
ライター業界の現実

ライター業界の現実

ライターという職業。

これは、自分で選択した肩書きであり、自分で掴み取ったものだ。

だが、僕にとっては誇り高き職業であっても、一般的にライターの価値は著しく低い。これは、ライターとして活動してきたこの何年間かで痛感してきた事実だ。

ライターと解説者の共通点先日、サッカー解説者の戸田和幸さんとお会いして、深く話をしていくうちに、解説者という職業は、多くの点でライターと似通った性質があることがわ

もっとみる
キッカケは突然に

キッカケは突然に

「モデルの女の子のトレーニング風景を取材するんだけど、瀬川さん、カメラお願いできますか?」

僕がはじめて、ある媒体の編集者から依頼を受けた時の言葉だ。

それまで僕がやってきたことは、その編集者には事前に伝えていた。おおよそ以下のような内容を伝えていたと思う。

・ヤフーで企画職に就いていた頃、ウェブマガジンを立ち上げて編集業務も行っていたこと
・プライベートワークとして、地元のローカル媒体を立

もっとみる
自分の表現を渡すな。

自分の表現を渡すな。

スポーツ記事は、エンタメか報道か。

最近、このことを考える機会が多い。

エンターテインメントの世界では、例えば写真は、オフィシャル素材の利用しか許されないことも多いし、記事についても、マネージメントの許諾を取らずに情報を流通させることが非常に難しい世界だ。

つまり記事を公開する際には、必ず権利元の許可を通すのは暗黙の了解であり、ビジネス上の習慣として日々行われている。

これは権利ビジネスの

もっとみる
秋冬物の商品を店に並べることの重要性

秋冬物の商品を店に並べることの重要性

ファッションショップでは、いま、秋冬物が店頭に並んでいる。

「瀬川さんの記事は、いまの時期に春夏物の商品を店に出そうとしているようなものだ」

これは、少し前に、ある編集者に言われた言葉だ。

たしかに僕の記事は、特定の人たちにしか届かない記事だという自覚はあった。フットサルをはじめとするマイナースポーツを題材にすることが多いのに、それが一部の人にしか届かないのだとすれば、僕は、専門メディアで書

もっとみる
フェンシング界賞賛記事のウラ側

フェンシング界賞賛記事のウラ側

本日、東洋経済オンラインで、フェンシング協会会長の太田雄貴さんの改革への挑戦を書いた記事が公開された。

これは結果論でしかないのだが、多くの人に記事が届けることができた。社会に一石を投じるという、マスメディアに記事を書くことの役割を果たすことができたのは、僕にとって大きな成果だった。

では、なぜ僕の書いた記事は、ヤフートップに掲載されたのだろうか?

また、なぜ僕の書いた記事は、SNSでバズ

もっとみる
人を動かすもの

人を動かすもの

「人を動かすのは、モノやおカネではなく、心」

サニーサイドアップの創業者である高橋恵さんの言葉だ。

サニーサイドアップといえば、あの中田英寿や前園真聖、北島康介らのアスリートマネージメントを手掛けていた時期もあり、スポーツビジネス界でその名を知らない人はいない。つい先日には、東証二部上場を果たし、さらに次なる目標へ向かって進んでいる日本No.1のPR会社だ。

高橋さんが42歳の時に創業したこ

もっとみる
マスメディアで書くということ

マスメディアで書くということ

「あぁ。瀬川さんも、その課題にぶつかりましたか」

僕が、このところずっと感じていたライターとしての課題を話したところ、編集者のAさんはこう言った。

なるほど、いま僕が持っている課題はマスメディアで書く多くの書き手がぶつかる課題なのかと、すぐに悟った。

僕は、せっかく書いた記事は、多くの方々に読んでもらいたいし、次にまた読んでもらうためにも、一人でも多くの人に認められたいと願う。

だけど、い

もっとみる
ドリブルの入り口とフウガドールすみだの入り口

ドリブルの入り口とフウガドールすみだの入り口

フウガドールすみだというチームの育成コンセプトの一つに「EMOTION」というキーワードがある。

僕はこのコンセプトに惹かれて、息子をフウガドールすみだのスクールに通わせた。

小学校5年生の時に、埼玉のド田舎から、電車を乗り継ぎながら、1時間半近くかけて、週2回もフットサルスクールに通うのを横目で見て、我が子ながら、息子もよく通っているなと思っていた。

当時の息子の課題と、スクールの育成方針

もっとみる
爪痕を残す

爪痕を残す

「めちゃくちゃいいピヴォだね」

僕の隣で観戦していたスポーツライターの仲間が、ある選手に視線を向けながら、こう言った。

その視線の先にいた選手の名は、岡村康平(31)。現在、フウガドール すみだに所属するフットサル選手だ。

岡村は、30歳の時に初めて日本代表合宿に呼ばれたが、それまでFリーグでの出場試合数も決して多くはなく、下積みがとても長い選手だった。

この日、僕は友人たちとFリーグの

もっとみる