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【読書】最近こんな本読んでます

【読書】最近こんな本読んでます

電子書籍の時代と分かっていても本屋さんに行くのはやっぱり楽しみ。肩の凝らない本を読みたくなって3冊買ってみた。

まずは女優、中谷美紀さんの『オーストリア滞在記』

中谷さんのご著書はインド旅行記も大変充実していたので迷わず手に取った。462ページにもわたるコロナ禍での2ヶ月の日記だがその内容は単なる日記というには素晴らしすぎる。

2016年にご結婚されたビオラ奏者のご主人様との日常を美文で綴ら

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おもしろいと思ったらベストセラー小説でした。

おもしろいと思ったらベストセラー小説でした。

本の断捨離をしたという友人から段ボールいっぱいの文庫本を譲り受けてからなかなか手を付けられずにいたのにようやく読んでみようと思えたのは資格試験が終わったから。それからひと月、私はタイムマシンで江戸時代を生きている。その本は『あきない世伝 金と銀』

幼くして呉服店に奉公に出た幸という主人公の成長記を堪能している。いる、というのも今12巻まで出ていて完結はしていないから。文章は方言や古典的な言い回し

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願わくば一日ごろごろ読み続けたい

願わくば一日ごろごろ読み続けたい

『あきない世伝 金と銀』はそう思わせてくれる小説。時代小説ではとびきり人気のみをつくし料理帖を書かれた高田郁さんのシリーズなので面白くないはずがない。のに長らく本棚に並べてあった。2巻から8巻を人から頂いたので。

この度晴れて1巻目を購入して手に取った。やっぱり最初から読みたいですよね。そして読み始めたら面白いのなんのってテンポがいい。兵庫の村から女子衆として大坂に出てきた主人公幸の成長記。九つ

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昨日はこんな本を買いました。

昨日はこんな本を買いました。

お勉強ばかりしていてはカラダに悪いのでお散歩にいきました。

お散歩道にあった本屋さんは残念ながら松屋に代わってしまったので、BOOKOFFに行きました。試験が終わったら読みたい本が家にたくさんあるにもかかわらず、8冊も購入。またまた楽しみが増えました。

右上から見てみますと、

各チャプターごとに名言が添えられていて、このページには

若い者は美しい。しかし、老いたる者は若い者よりもさらに美し

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【読書】『定年オヤジ改造計画』

【読書】『定年オヤジ改造計画』

垣谷美雨さんのご著書はそのタイトルが単刀直入というか身も蓋もないというかキャッチーというかセンセーショナルというか、とにかく気になるものが多い。今週末から上映される話題の『老後の資金がありません』というのもその一つ。

他にも『うちの娘が結婚しないので』『夫の墓には入りません』『うちの父が運転をやめません』『あなたの人生片付けます』などなど、切実すぎて手を伸ばすかどうか悩んでしまうほど。

何冊か

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【読書】人は何冊まで並行読みできるのか。

【読書】人は何冊まで並行読みできるのか。

何冊も本を同時進行で読むのが脳に良いという話を聞いたことがありますか?時々図書館に行くとつい借りすぎて思わぬチャレンジになることがあります。

読む物がたくさんあるのに図書館に行くのには深いような浅いようなわけがあります。大学生の娘がピアノのレッスンに行くのですが、自分で運転していくと一日自動車保険を800円でかけることになりますが私が送り迎えすると保険料がかからないのです、我が家の保険には年齢制

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【読書】悲しみこそが人を優しくする

【読書】悲しみこそが人を優しくする

ひと月余りで『流転の海』シリーズを読み終わった。9巻4500ページ。それが速いのか遅いのかわからないけれども昭和22年からの20年ほどの時空の旅が終わり無事帰着。

熊吾という作者・宮本輝氏の父上をモデルにした主人公が50歳で四人目の奥さんに初めて子どもができてからの後半生を描いたこの小説は重厚長大にして深く、どちらかというと暗い。悲しみに満ちている。悲しみこそが人を優しくするということを私に教え

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【読書】夢中になってしまう長編小説

【読書】夢中になってしまう長編小説

主婦である私が近頃洗濯をドラム式洗濯機に、掃除をルンバとブラーバにお任せして何に時間を割いているかというと作家宮本輝さんのファミリーヒストリーである『流転の海』シリーズ9巻を読むことです。一巻が500ページもある大作で、記憶にある限りこんなに長い小説を夢中で読んだことがありません。

幸いだったことは最終巻が刊行されるまでこの本を知らなかったことだと言えます。35年余りかけて執筆されて数年に一度発

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積読本ばかりが増える

積読本ばかりが増える

良い季節はイケマセン。あれこれ見るものがあり落ち着きません。人のせいにしてもいけませんが、最近家族に取られる時間も何気に多い。これもまた幸せというものでしょうが、ゆっくり本を読む時間が全くありません。

読書は時間が必要なだけではなく、気力体力脳の処理能力心で感じる余裕がないと成り立ちません。パラパラページをめくるだけになります。枕元に本棚から取り出した本が増えてきたので箱に入れて整理しましたが当

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湊かなえ『母性』を読んで

湊かなえ『母性』を読んで

ごきげんママ♡は怖い話が嫌いだ。夜寝る前に読むと夢に出てきたりして具合が悪い。テレビでも殺人のニュースやドラマはすぐにチャンネルを変える。それなのになぜ湊かなえ?「ママ」としての28年をもう一度見直そうと「母性」というキーワードで検索すると出てきてしまったのだ。

2、3ページ読んだだけでしまった、とんでもないものに手を出してしまった、と思った。読みやすいのだ。さらさらと読めてしまう。多分この作者

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『アニバーサリー』窪美澄著を読んで考える未来のこと

この著者の作品は数冊読んだことがあるが、今回の長編は考えさせられることが多かった。

物語は東日本大震災の頃に子を産む主人公真菜と、お節介なマタニティスイミングの先生晶子を中心に描かれる。美人料理研究家の母を持つ真菜は灯りのついた家で自分を待ってくれるお母さんがいる家庭に生まれたかった。母の活躍と比例して増える夫婦喧嘩から逃れるように援助交際を重ねる。カメラマンになって、雇い主に恋し捨てられた後に

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田辺聖子さんの『残花亭日暦』を読んでまた人生の楽しみが増えた

田辺聖子さんの『残花亭日暦』を読んでまた人生の楽しみが増えた

しばらく手にしていなかった田辺聖子さんの、日記形式のエッセイを読みだすと止まりませんでした。どなたかが「小説やエッセイを読むのは消費でビジネス書を読むことは投資だ!」と書かれているのを見てなんともったいないことよ、と思ったのを思い出しました。魂のこもった著作に触れることはどれほど人生を豊かにしてくれることでしょう。軽く異議を申し立てたい気分です。

この日記は2001年6月に始まり翌年2月まで、仲

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秋の夜長に桐野夏生さんの“I’m sorry,mama” はいかがでしょうか。

秋の夜長に桐野夏生さんの“I’m sorry,mama” はいかがでしょうか。

古い友人に1日一人は人が死なないと気が済まない、という人がいます。もちろんミステリー小説の中での話です。かつては深窓の御令嬢で今は名家の大奥様です。ご一緒するのが気恥ずかしくなるほどの丁寧なお話しの仕方をなさいます。その上ヨーロッパの言語に通じ、待ち合わせの時も原書で小説を読んでおられたりします。

片やベッドタイムにほっこりする小説だけを選んで読む友人もいます。ごきげんママ♡はどちらかと言うとそ

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