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Karma-Magazine

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昔やっていたバイヤー業のように、自分のアンテナで面白い作品を色々と集めたいと思ってます。
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文房具屋のおじいさん

文房具屋のおじいさん

2015年の春のこと。

わたしはまだ青木杏樹ではなく、ただ趣味で小説を書いている人でした。毎日毎日、400字詰め原稿用紙を20枚ワンセットを消費しては、文房具屋に買いに行きました。帰宅するとまた明け方まで20枚消費し、日が高くなる頃には買い足しに行く日々が続きました。

小説とは応募するもの、小説とは他人に読んでもらうもの、という考えがわたしにはありませんでした。

わたしの中には小さな世界がご

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ジョナサン・リヴィングストン

ジョナサン・リヴィングストン

ジョナサン・リヴィングストンという名前を聞いてピンと来る人は、きっと作家リチャード・バックの世界的なベストセラー「かもめのジョナサン」を読んだことがある人だろう。

好きな本を5冊挙げろと言われたら、私は「かもめのジョナサン」を必ず入れるはずだ。これまで何度読んだか分からない大好きな一冊だ。

この本の存在を知ったのは小学生の頃、手塚治虫の名作「ブラック・ジャック」を読んでのことだった。どんなエピ

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逆こんまりという生き方

逆こんまりという生き方

うちの奥さんはお片付けが下手なんです。片付けない訳ではないのですが、やり方が下手というか、どうにも片付けが苦手なようです。

片付けで世界を制したこんまりの真逆という意味で、うちの奥さんは生粋の逆こんまりタイプなのです。

逆こんまりなのは結婚前から分かっていました。しかし、結婚して一緒に生活するとなると、その逆こんまりぶりに少し驚くと同時にイラっときました。

私はどちらかというと整理整頓好きの

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なんちゃってヴィーガン

なんちゃってヴィーガン

少し前に約3ヶ月ほど中途半端にヴィーガン生活を試してみたことがある。

はやりに乗るには遅すぎるその行動。別にはやりはどうでもいいのだが、そのきっかけはNetflixで見たドキュメンタリー映画「The Game Changers」だった。

多分、この「The Game Changers」からのヴィーガン生活というパターンは割と多いんじゃないかと思う。「ためしてガッテン」を見て、翌日スーパーに塩こ

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スタンディング・ワーク

スタンディング・ワーク

2011年の2月東北の震災前に、いわゆる「エコノミークラス症候群」という血栓による疾患で出先で倒れ、そのまま1ヶ月以上入院生活をしていた私。退院した2011年3月以降かれこれ9年間、立ったまま仕事をしています。

安心して下さい。立ってるのは両足です。

スタンディング・ワークをはじめたきっかけは、命を守るため。血栓防止。日頃の不摂生もありましたが、3日間座ったまま徹夜仕事を続けたことが「エコノミ

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オブスキュア・ミュージックのススメ

オブスキュア・ミュージックのススメ

『オブスキュア(Obscure)』とは『あまり知られていない』『解しがたい』とかそういう意味ですが、音楽やアートの世界ではよく使われる言葉で日本でもここ数年はだいぶ通用するようになりました。『オブスキュア・ミュージック』というのは簡単に言えば『日の目を見なかった音楽』『無名な音楽』ということになります。

最近ではネットで新譜のサンプルも聴けますし、サブスクもあればYOUTUBE,bandcamp

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誰でもわかるコルビュジエ「前編 : 建築への目覚め (1887-1917)」

誰でもわかるコルビュジエ「前編 : 建築への目覚め (1887-1917)」

みなさん、建築家 ル・コルビュジエの作品についてどれくらい知っていますか?

突然ですが。この2つの作品は、コルビュジエの中でもかなり有名な作品なのですが、用途が違うといえど、正直、同じ人間が作ったとは思えないほど作風が大きく異なります。

それもそのはず、左のサヴォア邸(1931)と右のロンシャンの礼拝堂(1955)では竣工年の差が24年もあるのです。

コルビュジエは20歳で処女作を作ってから

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頭が悪くなるからテレビを見るな

頭が悪くなるからテレビを見るな

頭が悪くなるからテレビを見るな。私は親にそう言われて育ってきました。

家にテレビはあったのですが、ドリフなどのお笑い番組は基本的に禁止。それ以外に1時間以上連続して見てはいけないという決まりもあり、小学5年生くらいまでは、それを守っていました。

なので当時ノリノリだった志村けんの勇姿は、たまにおじいちゃんの家に遊びに行った時に親に内緒で見ていました。「いっちょめ、いっちょめ、ワーオ!」と叫ぶ志

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ナイキとかけてりゅうちぇると解く

ナイキとかけてりゅうちぇると解く

世の中、相変わらずスニーカーが流行っているようで、一部の賢くおバカな方々は、投資対象として「レアもの」スニーカーを保有しているそうです。すごい時代ですね。

かく言う私もスニーカーは大好きで、90年代はスニーカーを売るほど持っていましたし、実際に売っていました。正確には仕入れる側だったのですが、デッドストックと呼ばれる絶版スニーカーを探しに、危険な香りと視線がたっぷりなブロンクス(ニューヨーク)の

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Ossia – Get off your ass and stop making vanilla music, it’s time you sort your shit out and get real.

Ossia – Get off your ass and stop making vanilla music, it’s time you sort your shit out and get real.

以下に記すものは以前(2019年12月)ほかのところで出典したものを加筆修正したものである。

ブリストルといえばそこそこ昔ならロバート・ワイアット、キース・ティペット、マーク・スチュアート、リップ・リグ・アンド・パニック…ちょい昔ならMassive Attack,Tricky,Roni size,Smith&Mighty, Portishead 等々を輩出、今や実力の上ではイングランドで一番のミ

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いなばのタイカレーに捧ぐ

いなばのタイカレーに捧ぐ

朝型人間の私は、まだ家族が寝ているうちに朝ごはんを食べるという生活をしている。

朝から調理も面倒だし、ガチャガチャ音を立てるのも何なので、ひっそりトーストを焼くのが日課だ。

トーストとのお供はジャムやマーガリンが基本だが、それだけでは飽きてくるので、たまに変化球を織り交ぜる。その一つが「いなばのタイカレー」くんである。

この「いなばのタイカレー」くん、なかなか優秀な選手でランチでもディナーで

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身近に迫るダークサイド

身近に迫るダークサイド

ダークサイド この言葉が一般的に使われるようになったきっかけは、多分映画スターウォーズだろう。

スターウォーズのエピソード4〜6までの主人公、ルーク・スカイウォーカーの父であるアナキン・スカイウォーカーは、ダークサイドに落ちてしまい、悪の権化ダース・ヴェイダーになったという設定になっている。

その過程は同エピソード1〜3で明らかになるのだが、ここでは詳細は置いておこう。

ダークサイド、暗黒面

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PROTECT ME FROM WHAT I WANT

PROTECT ME FROM WHAT I WANT

Jenny Holzer ジェニー・ホルツァー。アメリカ人の女性アーティストです。

1980年代から注目が集まり、現代も活動を続ける「言葉のアーティスト」です。

彼女の作品のプリントTシャツを買ったことがJenny Holzerを知ったきっかけでした。

そして作品集を買い、どっぷり読み込んでファンになりました。

出会えて良かったアーティストです。

幾つかお気に入りの作品がありますが、一番

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草冠に鬼と書いて『あつめる』と読む

草冠に鬼と書いて『あつめる』と読む

何か集めているものはお有りだろうか?レコード、スポーツ選手のトレーディングカード、好きなアニメのグッズ、漫画本にぬいぐるみetcあるとあらゆるものにコレクターがいてそれに全財産を投じる人も少なくない。古本やレコード、絵画etcのガチ・コレクターの世界だと、超お宝級コレクターズ・アイテムが大量に出回ることで『また蒐集家が死んだな⁉』と商品をみて思うことがある。大概は同居の家族に理解を得て蒐めているコ

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