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言葉のテリーヌ

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色とりどりの言葉を僕の好みで集めてみました。
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#日記

付き合っていないのに「好き」と言い続けた結果。

2021年、20歳の夏。好きな人ができた。

出会いは同じバイト先。大学3年の私が先輩、彼は大学1年の後輩、という関係。

5月くらいに彼が新人さんとしてやってきて、お互いひとりが好きなことをはじめたくさんの共通点があり意気投合。

この夏、一緒にいろんなことをしたけど、どの日もひたすらよく歩いた。彼とは歩いているだけで幸せで、どこまででも歩いていけるのだ。

ここだけ見るとどう見ても付き合ってい

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どこかへ行きたい病。

どこかへ行きたい病。

樹々が微笑う
やわ雲が誘っている
枝垂れる雪やなぎが
思わせぶりに香る
髪をそよりと揺らしたりする風
それらが私を呼んでいる
こっちへおいでと手招きをする

今ここにいる私は
もぬけのから
まだ生まれていない街の名前を知りたい
はじめての足音を立てて
緑の風の中

止められない
私は私ではないという衝動
脱いでゆくこころとコート
ここではないどこかへ
春先の光の色を見に行くのだ

***

だいぶ

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結局来世に期待しちゃう

結局来世に期待しちゃう

来世ってどう思います?☽

私は来世とかいうときめきフューチャー、ミラクルハピネスマジカル輪廻〜!!!てな感じでわりとやんわり、あくまでやんわり信じて生きています。

前世の記憶をもった人がいるくらいなんだからまあ来世だってあるんじゃない?来世があったって仮になくなってだからなんだって言うんだ〜!としか思ってなかったんですけど
あれは3年前の秋、とある喫茶店にて私は突然来世に想いを馳せるこ

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最後を思わずに人と接することができない

最後を思わずに人と接することができない

人と知り合う時、私は「この人ともいつか別れるのだろう」と思ってしまう。

男女関係なく、こうである。授業で知り合う人、大学でふと話すようになった人、郵便局で対応してもらう人、電車で乗り合わせた人、とにかく家族以外の人に対してはこう感じてしまうのである。

理由は知らないが、何かきっかけがあったのだろうとは思う。

「今知り合ったけど、多分大学を卒業したら会うことはないだろうな」
「数ヶ月後にはもう

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夜景は汚物。

夜景は汚物。

この夜景を見てきれいだという人たちは、それをみるために1500円の入場料を払っている。夜景はたしかに、間違いなく綺麗だった。1500円以上の価値があるものだった。肌に刺さるような冷気を感じながら、静かにひとりでその景色をみていられたらどれだけ幸せだっただろう。実際は、マスクを顎まで下ろしたオバサンがわたしの左肩に向かって「うわあ!綺麗ねえ!みてよ〇〇ちゃん!娘に電話してみるわ!」と叫んだ挙げ句、そ

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コメントについて。

コメントについて。

既にお気づきの方もいると思うが、わたしはコメントを返すのが"とても"遅い。

ひとつひとつの言葉と想いに向き合う時間を確保できなくなっているいま、コメントに対する返信が遅くなっていることを心から申し訳ないと思っています。貴重な時間を割いてコメントを残してくれるのは本当に嬉しいと感じており、返信が遅いからといって嫌だと思っているわけではないということを、この記事ではっきりと、明確に、書いておきます。

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冬のにおいと意味を持たない涙。

冬のにおいと意味を持たない涙。

ずっと、泣き出しそうな状態で過ごさねばならない日々というのがたまにくる。いま、まさにそれで、何がトリガーになってもおかしくないくらいギリギリの状態で生きている。「息を吸って——」と意識しなければ、呼吸をすることができない。ぼーっとしていると、どんどん息苦しくなっていく。頭も身体も心もきっちり疲弊していて、それはきっと、勝手に詰め込まれたタスクたちのせいだ。明日はおやすみをいただいている。朝はのんび

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秋を探して

秋を探して

お風呂から上がると、いつも眠気がとろりと忍び寄る。身体が心地よく重たくなってきて、まだ濡れたままの髪の毛を気にしながら、少しだけ、とソファに横になる。

このまま寝てしまいたい、と思う自分と、まだまだすることはあるんだぞ、と思う自分がせめぎあう。会社では眠たくなってもあくびをかみ殺してパソコンに向かえるのに、お風呂上がりの眠気にはどうしても抗えない。肌にぴたりと吸い付くようなソファの革の冷たさが心

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この景色が消えないように

この景色が消えないように

二十数年も同じ街で暮らしていると、あちらこちらが変わってゆく。

映画館やジムが入ったショッピングセンター、駅前のロータリー、ガラス張りのバスターミナル。こどもの頃には無かった小綺麗な施設に、街の景色はいつの間にか上書きされている。この街には似合わないと思っていたショッピングセンターは今やなくてはならないものになって、ここでなければどこで買い物をしていたのか、もう思い出すことができない。生まれたと

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老いるということ

実家の母が首の骨を折ったと言う。

てっきり入院したかと思ったら骨折というのは自然と骨がくっつくまでじっとしているしか方法がないということで家で過している。

妹たちがいるのでそれほど心配はないものの妹たちは日中働いているため母は少し動くのだと思う。

せめて休日は側にいて動かない様にしてあげたいと実家に行った。
妹たちが用事で外出した後は年老いた両親が各々の部屋で過しているのだが80代になるとT

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「失敗」を恐れずに前に進む

「失敗」を恐れずに前に進む

3月17日の正午に始まったパリの外出制限も今日でなんと54日目。そして、約8週間の引きこもり生活ののち、とうとう5月11日からは段階的に外出制限を緩和されていくことが正式に決まった。

おととい買い物に出かけたがいろいろなお店が来週の外出制限解除に向けて少しずつ開店の準備をしているように見えた。少しフライング気味で街に人々が戻ってきている。私としては解除はちょっとまだ不安だけどでも外出許可書なしに

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渺茫とした海と街で艶やか心を取り戻す

海の静けさから潮風がそっと匂いだす。それは夏の趣を帯びて砂浜に溶け、また地球の大地に消えていく。水平線上から打ちあがった入道雲は真っ青なキャンパスの中央に力強く描かれている。その下には、小さくなった船がある。そして手前には白波で身体を揺らす子供と親が照り付ける陽ざしをも喰ってしまうほどの笑顔を弾ませて楽しんでいる。私はそれをじっと見ている。足跡が、私の、辿りを示してゆく。背中には私の暮らす街が佇ん

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頑張りすぎちゃうキミとお昼寝がしたい

ねこって、自由気ままで媚びなくて、いつも日当たりの良い縁側であくびをしているような生き物だと思ってた。

しかし先日わたしの実家にやってきたねこは、どうも様子が違っている。

✳︎

少し前に父が仕事先から白黒の仔猫をもらってきた。

「飼わないかと言われたから」と言い訳しつつも嬉しそうな顔でねこを抱く父に、それまでは動物と戯れているのさえ見たことがなかったのにと驚きつつも、ねこ好きのわたしはしめ

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