大森美希 / パリ在住ファッションデザイナー

海外在住24年。服飾学校教員→ Balenciaga→ Lanvin→ Nina Ri…

大森美希 / パリ在住ファッションデザイナー

海外在住24年。服飾学校教員→ Balenciaga→ Lanvin→ Nina Ricci→ Coachシニアデザインディレクターと、ジョブ型雇用で米仏老舗ブランドのデザイナーを歴任。現在パーソンズ・パリ修士課程でアソシエイトディレクターを務める傍らインフルエンサーとして活動中

マガジン

  • ミキの歩き方

    私がオススメするパリガイドです。ちょっぴりディープでマニアックな「パリの歩き方」をお楽しみください。月4回程度の配信で、月末投稿が多くなるかもしれません。

  • 考えるミキ

    私が見たこと、したこと、考えたこと、そして今後の展望について。 海外生活や外資系企業&学校勤務で体験したことや、海外在住者が見た日本のことなどを感じたままに綴るマガジン。いちファッションデザイナーの所見ですがファッション関係者でなくても楽しめるような、海外生活で身についた生き方のヒントを月に4回程度お届けします。 「人間は自然のうちで最もよわい一本の葦にすぎない。しかし、それは考える葦である。... 人間の尊厳は、すべてその思考の中にある。よく考えることに努めよう。考えることにこそ、道徳の原理があるのだ。」 パスカル『パンセ(Pensées)』 他人のSNSにいいねしてばかりしているあなた、自分の目で見て、自分の心で聴き、自分の頭で考え判断する「考える葦」になる習慣をみんなで身につけていきましょう。

最近の記事

  • 固定された記事

「日本人」であるということ

昨日は天皇陛下が即位を国内外に宣言される「即位の礼」が国の儀式として執り行われた。残念ながら生中継では見ることが出来なかったが、今やっとそれを見ながら、この文章を書いている。 今はインターネットがあるから外国に住んでいてもほとんど時間差なく見られるのは本当にありがたい。 海外に住んでいてもやはり、日本の伝統的な儀式は気になる。 前回、平成の「即位の礼」をテレビで観たのは1990年、29年前だからどんな儀式をどんな順番で行われるのかももう覚えていない。だからもう一度見てみ

    • パリのストリートアート、気になるインベーダーを探してみよう

      パリの街を歩いていると、あらゆる場所でグラフィティやストリートアートを見かけます。 その中でもひときわ目立っているのが、インベーダーのモザイクです。 インベーダーといえば、株式会社タイトーが1978年に発表し、大ヒットした『スペースインベーダー』ですが、そのインベーダーをモチーフにストリートアートを展開しているフランス人のアーティスト、その名も「Invader」の作品が、パリをはじめ、世界各地で発見することが出来るのです。 インベーダーを見つけるとついつい写真を撮ってし

      ¥200〜
      • ミラノのヨウジヤマモトの展覧会で思うこと

        先日、ミラノのコンセプトストアー「ディエチ コルソコモ(10 Corso Como)」で7月31日まで開催されている展覧会「Yohji Yamamoto. Letter to the future(山本耀司。未来への手紙)」を観るためにパリから日帰りでミラノに行ってきた。 (パリに住んでいるとこうやって思いつきでミラノやブリュッセルに日帰りで旅行出来るのが良い。まるで東京から大阪に日帰りで行くようなノリだ。) 特に感動したのがこちらの作品、1984年に世界的フォトグラファ

        • サービス業を通した人間関係の距離感と配慮

          今、一時帰国中で日本にいる。基本は夏休みで帰省中、といったところだが、大学の仕事の会議やメールでのやり取りは時差がある中ひっきりなしにあるし、日本でお引き受けした仕事もあるので全くの夏休みでもない。 実家だとついのんびりしてしまうので、日本に帰ってもカフェを利用して作業をすることがとても多い。 色々なカフェに行く。地元に根付いた老舗喫茶店にも行くし、日本のコーヒーチェーン店はコーヒーだけでなく軽食も出来るから大好きだ。日本のサービスはフランスのそれと違ってきめ細やかな配慮

          ¥200〜
        • 固定された記事

        マガジン

        • ミキの歩き方
          ¥500 / 月
        • 考えるミキ
          ¥500 / 月

        記事

          都会の喧騒を離れてパリっ子気分が味わえるサンマルタン運河を散策しよう。

          バスティーユ広場からセーヌ川へ続くアルスナル港(Port de l'Arsenal)と、ウルク運河(Canal de l"Ourcq)から続くラ・ヴィレット貯水池(Bassin de la Vilette)を結ぶサン・マルタン運河(Canal Saint-Martin)周辺は、パリの東側に位置し、街の真ん中にあるのに割と静かな環境のせいか、都会の喧騒が苦手なパリの若者たちに人気のエリアです。 朝は、運河沿いにジョギングや犬の散歩をする人々が現れ、昼間は、水辺の端っこに座って

          ¥200

          都会の喧騒を離れてパリっ子気分が味わえるサンマルタン運河を散策しよう。

          ¥200

          パリを拠点に欧州の都市を気軽にまわってみよう

          パリは、その美しい街並みや芸術、ガストロノミーなどを楽しめる場所であり、私が住んでいて気に入っていることは、パリから他の欧州の国々に飛行機や陸路で気軽に行けてしまうことだ。 土曜日に日帰りでイタリア・ミラノに行くことに今日、お昼に決めた。 ミラノを代表する老舗セレクトショップ「ディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)」で山本耀司が手がける「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」の作品が並べられた「山本耀司。未来への手紙(Yohji Yamamoto.

          ¥200

          パリを拠点に欧州の都市を気軽にまわってみよう

          ¥200

          パリ左岸に新しくできたモダンな韓国料理レストラン

          世界中の気候変動の影響か、ずっとお天気のすぐれなかったパリ。でも今週になって最高気温が30℃と、やっと夏らしくなってきました。 今日までパリファッションウィークなので、世界中のファッション業界人がパリに集結していて、私自身もランウェイショーを見に行ったり、友人や元同僚たちのコレクションやショールームをまわったり、日本やニューヨークから来た人たちとご飯に行ったりとバタバタしていました。 先ほど、日本から出張で来られた方とランチに行ってきたのですが、今日はそのレストランをご紹

          ¥200

          パリ左岸に新しくできたモダンな韓国料理レストラン

          ¥200

          まわり道を活かす 

          パリ メンズファッションウィークが終わり、ただいまクチュール&オートクチュール期間の真っ最中です。今回はパリオリンピックの影響か、例年より一週間前倒しの日程で行われています。 今回すごく思ったのは、コロナ直後に比べて日本の業界の方がかなりパリに戻ってきていることです。街を歩いていてもカフェに行っても結構日本語が聞こえてくるので、コロナ禍の終息とリアルライフの復活を感じます。 コロナ以前のように完全にリアルじゃないけど、コロナ禍の時のように完全バーチャルでもない、両方ミック

          ¥200

          ファッションモデルの常識もどんどんアップデートしている話 - 200人が歩くリック・オウエンス(Rick Owens) 2025年春夏メンズコレクション

          (写真 vogue.com, Owenscorp / Courtesy of Rick Owens) リック・オウエンス(Rick Owens) 2025年春夏メンズコレクションは、なんと私が勤務しているパーソンズ・パリの教え子達や同僚もランウェイを歩きました。 今回のモデル探しは独特でした。パリ在住のファッション学生と教員で、16歳以上のすべての人種と民族にモデルの資格があるということで、キャスティングの会社が大学までスカウトに来ました。 この多様化の時代、背の低い私

          ¥200

          ファッションモデルの常識もどんどんアップデートしている話 - 200人が歩くリック・オウエンス(Rick Owens) 2025年春夏メンズコレクション

          ¥200

          行動力は運を引き寄せる

          4月からパリに留学に来ていたスタンフォード大学の松本杏奈さんと交流する機会に恵まれた。 きっかけは、半年前に杏奈さんからDMを頂いたことだ。 杏奈さんは、現在工学部のデザイン学科 (Physical Design + Manufacturing) にて、プロダクトデザインの勉強をしていて、パーソンズ美術大学にも興味があり出来ればパーソンズ・パリを訪問したいとの事だった。 もちろん、OKだった。3年前にローンチしたパーソンズ・パリのファッションデザインとアートの修士課程が

          ¥200

          この夏、一時帰国します。

          7月初旬から8月中旬にかけて一時帰国します。 この間講演や講義などのご希望がありましたら、是非「仕事依頼」の中のアドレスからメッセージください。 ファッションデザイナー&エデュケーターですが、外資系企業への就職、転職関係や海外で求められる人材などの人事系の話や国際理解系、そして海外の女性の働き方事情や海外のジェンダー事情などの話も出来ます。 もちろんファッションデザインやファッション関連はおもいっきり専門分野なので、こちらのご依頼も受け付けております。 24年間、海外

          所変われば常識変わる、さまざまな角度から見ると物事の「本質」が見えてくる

          フランスに長く住んでいると、フランス人は本当に必要なものしか買わないし、買う前に本当にそれが好きかどうかじっくり時間をかけて考えます。そして買ったら修理しながら長く使う人がとても多いのです。 また良いものであれば、中古でも割と抵抗なく使う人が多いです。安くて良いものを作ってお客様に提供するという企業努力をしているフランス企業があまりない気がします。「安かろう悪かろう」なのです。 だから、良いものはとことん高いです。フランス人は働くことに生きがいを感じる人はあまりおらず、仕

          ¥200

          所変われば常識変わる、さまざまな角度から見ると物事の「本質」が見えてくる

          ¥200

          パリのブロカントと蚤の市に行ってみよう

          私はブロカント(Brocante)や蚤の市(Marché aux puces)によく行きます。 半分は仕事で、半分は趣味で行きます。 仕事では洋服を見ることが多いですが、趣味では、家具や食器、照明などのインテリアを見ることが多いです。また、古いレコードや古本、ガラクタや人形、アクセサリーなど、なんでも売っていて見るだけでワクワクするのがブロカントや蚤の市です。 デザイナーはブロカントが大好き ファッションデザイナーは、よくブロカントや蚤の市に行きます。デザインソース(

          ¥200

          パリのブロカントと蚤の市に行ってみよう

          ¥200

          ちょっと気になるフランスの朝ごはん

          フランスではパンが主食 フランスの食べ物といえば、皆さんやはり「フランスパン」とか「クロワッサン」とか思い浮かべるでしょう。 そう、フランスはパンが主食なのです。 毎食、ご飯の度に必ず「バゲット(Baguette - フランスパン)」や「パン・ド・カンパーニュ(Pain de Campagne - 田舎のパン)」が食卓に出てきます。 バゲットには「Ordinaire(オルディネール - 普通のバゲット)」と「Tradition(トラディション - 伝統的な)」があ

          ¥200

          ちょっと気になるフランスの朝ごはん

          ¥200

          物を大切に使うフランス人がよく利用するフリマサイトと、「循環型経済」への取り組み

          【フランス人はあまり物を買わない】 数年前に『フランス人は10着しか服を持たない』という本に注目が集まりましたが、フランス人は一般的にあまり物を買わないし、すごく物を大事に使うイメージがあります。 実家からもらったテーブルや椅子を自分のアパートに持ってきて、壊れても修理しながら愛おしそうに使ったり、蚤の市に行って、古いけど気に入ったものを買ってそれを長い間使ったりします。 日本の100均のようなお店もないことはないのですが、もっと高いし品質も日本のものと比べたら見劣

          ¥200

          物を大切に使うフランス人がよく利用するフリマサイトと、「循環型経済」への取り組み

          ¥200

          教え子たちの卒業式に思うこと

          (Photo: Marjorie Preval) 昨日は、私が現在ファッションデザインとアートの修士課程(MFA)のアソシエイトディレクターを務めているパーソンズ・パリの卒業式だった。 パーソンズ・パリはニューヨークにあるパーソンズ美術大学のパリ校で、同じくニューヨークにある私立総合大学「ニュースクール大学」の傘下にあるので、アメリカの大学のスケジュールと合わせて、フランスの大学の卒業より1ヶ月以上早い、5月中旬前後に卒業式を行う。アカデミックドレスも角帽もニュースクール