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#エッセイ
東京の夜桜と、Tさんのナルシシズム
東京のドラッグストアでアルバイトをしていた十九歳の頃。バイト仲間にTさんという一つ歳上の男性がいた。彼はいつも周囲の視線を気にして、すました顔をしている。彼の殆どの行動は「かっこいいと思われたい」という動機に基づいているものなのだ。私はそんな彼のナルシストぶりを観察することが、密かな楽しみだった。
バイト先の隣には美容院が建っている。アシスタントと思われる若手の美容師さんたちが、仕事に必要な
目に虫が入っちゃった日
あるところに、自他共に認める、と〜ってもコミュ力の高い、宝くじ販売員がいました。
名前はタマミーヌ。いつもニコニコしている販売員。だが、彼女の本性は…とても気分屋で、腹黒い女だったのです…
仕事の日のある朝。いつもどーりタマミーヌは自転車をかっ飛ばし、駅の駐輪場に向かっていたところ、右目に虫が飛び込んできたのです。
イタッ!こんなとき、タマミーヌはいつも思うのでした。
「もーーーっ!なんでよ!
婚活ちゃん(狙うはハイスペ!の巻き)
以前、「婚活ちゃん」というタイトルで記事を書いた。
宝くじをよく買いに来る30代前半の女性がいる。
彼女の夢は《結婚》とにかく結婚したいらしい。
出会いを求めて日々精力的に活動している。
自分にとって完璧な人、理想通りの人と結婚したい!妥協はしない!と言い切る彼女を、私は密かに「婚活ちゃん」と呼んでいるのだ。
婚活ちゃんは、宝くじで大当たりを当てた。
かなりの大金を手に入れた彼女は、タクシー移動
STOP the 地球温暖化
熱く、力強く、地球温暖化について語る男がいた。
男の熱弁はまるで、当選後には何をしているんだかさっぱりわからなくなる、選挙の時だけやたらと熱く語る候補者のようだった。
突然やってきて『1枚くれぃ!』とおじちゃんは、三代続いた生粋の江戸っ子さながらの口調でそう言った。
『只今発売中のクジは、1枚100円のがございますが、それでよろしいですか?』に、おじちゃんは『おぅ!それでいいよ、1枚ね』と、人
一人部屋にまつわる思い出の行方
実家を離れると、多くの場合、一人部屋は物置部屋になる。
私の一人部屋は今、ごみ屋敷のような状態である。とても人には見せられない。絶対にこの部屋には誰も招くことはせず、見られないにしようと決めていた。
この週末、用があって二人の子どもを連れて実家へ行く機会があった。
両親が子どもと遊んでくれているときに、ふと、とある音楽が頭を過り、どうしてもその曲が聴きたくなった。そのCDは自分の部屋にあ
あの日、あの場所を通らなかったら
Takaちゃんと会ったのは、原宿駅の神宮橋で路上ライブをやっていたときだった。
神宮橋は路上ライブやコスプレの人気スポットである。ゴスロリファッションをした女性がたくさん聴いてくれている中、ギターを抱えた若い男性と小柄な女性が足を止めて聴いてくれた。曲が終わると、男性が「いいっすねえ」と笑顔で声をかけてきた。彼がTakaちゃんだった。
彼は当時の私と同じ二十歳で、歳下の彼女と手を繋いでいた