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日本史に関する本のレビュー集

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日本史や日本文化に関する本のレビューを集めてあります。日本文化というと、およそ何でも入ってしまいますが、分類しにくいもので、日本文化に関わるものを入れています。
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記事一覧

日本の幽霊

日本の幽霊

日本の幽霊

 日本人が、「幽霊」というものを、どのようなものだと思ってきたのかを、解説した本です。

 というと、堅苦しい本のようですね。決して、そんなことはありません。
 文章が平易で、読みやすいです。話題も、世俗的なことを、うまく取り上げています。頭でっかちの学者さんが書いた、という感じではありません。

 本書が最初に世に出たのは、一九六二年(昭和三十七年)です。それから何回か再版さ

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考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

 考古学の入門書です。Q&A方式で書かれています。

 考古学初心者なら、誰もが思う疑問が挙げられ、それに対する答えがあります。全部で、65問です。
 本書を読み通せば、考古学の基礎知識を、おおむね得ることができます(^^)

 考古学の初心者には、むろん、お勧めです。
 考古学について、ある程度知っているという方でも、本書

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学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

 学校という場で、生徒たちによって語られる怪談について、書かれた本です。
 民俗学的な視点から、解説されています。

 著者は、有名な民俗学者の常光徹【つねみつ とおる】さんです。
 この人の、この本から、「学校の怪談」ブームが始まりました。常光さんは、学校の教員だった経験を生かして、実際に、子供たちから、「学校の怪談」を聞き取り調査

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江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

 題名のとおり、江戸でささやかれた不思議な話を、集めた本です。
 怖い話、不可解な話、あさましい話、忠義に感心する話などがあります。

 一つ一つの話は、短いです。すらすらっと、すぐに読めます。
 文章は現代語訳されているため、読みやすいです。読めば、江戸時代の人々の心持ちが、わかります。
 江戸時代には、仏神の奇跡があると信じ

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世界の仮面 (みんぱく発見 (6))

世界の仮面 (みんぱく発見 (6))

世界の仮面 (みんぱく発見 (6))

 世界各国の仮面を紹介した本です。
 大阪にある、国立民族学博物館(略称、みんぱく)が出している小冊子です。

 薄い本ですので、すぐに読めます。
 世界中の仮面の写真が、たくさん載っています。日本人の感性では、考えつかない仮面も多いです。写真を見ているだけで、楽しいです。

 オセアニア、アフリカ、中南米などの文化は、普通の日本人には、馴染みが薄い

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アジア遊学 (No.52) 徐福 アジア二〇〇〇年の青い鳥

アジア遊学 (No.52) 徐福 アジア二〇〇〇年の青い鳥

アジア遊学 (No.52) 徐福 アジア二〇〇〇年の青い鳥

 勉誠出版から出ているムック『アジア遊学』の第52号です。徐福【じょふく】の特集号です。

 徐福は、伝説の方士【ほうし】ですね。秦の時代の中国にいた人です。秦の始皇帝との逸話で、知られています。
 中国を統一した後、始皇帝は、不老不死を強く求めるようになりました。そんな始皇帝に、不老不死の術を知っていると称する方士たちが、接近しま

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仏教美術のイコノロジー―インドから日本まで

仏教美術のイコノロジー―インドから日本まで

仏教美術のイコノロジー―インドから日本まで

 仏教美術が、どこで、どのように発達してきたのかを、解説した本です。
 インド、中央アジア、中国、日本と、仏教の来た道筋を追っています。

 仏教美術といえば、まず、仏像が思い浮かべられますね。
 けれども、仏教美術に含まれるのは、仏像だけではありません。

 本書では、蓮や聖樹など、仏教美術に現われる植物の表現について、取り上げられています。

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カタリの世界―昔話と伝奇伝承 (別冊太陽―日本のこころ)

カタリの世界―昔話と伝奇伝承 (別冊太陽―日本のこころ)

カタリの世界―昔話と伝奇伝承 (別冊太陽―日本のこころ)

 日本に伝わる、昔話などの口承文芸について、紹介された本です。

 口承文芸そのものだけでなく、それが描かれた絵巻物や、口承文芸にまつわる伝統行事なども、紹介されています。
 おかげで、口承文芸の世界が、よりヴィジュアルに、わかりやすくなっています(^^)

 本書には、金太郎、桃太郎、浦島太郎、ものぐさ太郎、鉢かづき、わらしべ長者

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日本の美術 No 52 お伽草子

日本の美術 No 52 お伽草子

日本の美術 No 52 お伽草子

 『お伽草子』を御存知でしょうか? 中世の日本ではやった、短編の物語集です。民間に流布していた口承文芸が、それぞれ、紙の絵巻にまとめられたものと考えられています。

 『お伽草子』には、「浦島太郎」や「一寸法師」や「鉢かづき(姫)」のように、現代にもよく知られる民話が含まれます。
 いっぽうで、「常盤【ときわ】の嫗【うば】」や「十二類絵巻」や「貴船【きぶね】

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名作アニメ最終回イッキ読み99

名作アニメ最終回イッキ読み99

名作アニメ最終回イッキ読み99

 手軽なコンビニ本です。内容については、題名どおりです。99のアニメ作品の最終回を紹介しています。

 二〇一四年現在では、ネットの情報が充実しているので、わざわざ、こういう本を買う価値はないと思う方も、多いでしょう。
 でも、ウィキペディアの膨大なアニメ情報を、PCやスマホの画面で読むのはつらい、という方もいるはずです。そういう方に、本書はお勧めです(^^)

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現代怪火考―狐火の研究

現代怪火考―狐火の研究

現代怪火考―狐火の研究

 狐火【きつねび】、鬼火、人魂【ひとだま】など、古来、言い伝えられる怪火について、解説した本です。

 類書は、ほとんどありません。
 私の知る限り、神田左京氏の『不知火【しらぬい】・人魂・狐火』が、希少な類書の一つです。

 本書も、神田氏の書も、怪火の実例をいくつも取り上げ、紹介している点は、同じです。
 けれども、本書と神田氏の書とでは、怪火に対するスタンス

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妖怪と怨霊の日本史

妖怪と怨霊の日本史

妖怪と怨霊の日本史

 本書のタイトルと内容には、少し、齟齬【そご】があります。
 『妖怪と怨霊の日本「古代」史』なら、評価の星を満点にしたかったです。

 古事記や日本書紀に書かれる古代から、中世の南北朝時代までは、詳しく、よく書かれています(^^)
 その後の時代は、いきなり省略されてしまっています。日本史全体を見通しているとは、言えません。

 とはいえ、日本史や、妖怪、怨霊に興味が

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静岡県謎解き散歩 (新人物往来社文庫)

静岡県謎解き散歩 (新人物往来社文庫)

静岡県謎解き散歩 (新人物往来社文庫)

 静岡県の歴史や文化について、解説した本です。

 謎解き形式になっていて、楽しく読めます(^^) 文章は、わかりやすいです。写真も、ところどころに入っています。
 欲を言えば、もう少し、写真が多いと良かったですね。

 とはいえ、内容は興味深く、すらすら読んでしまいます。
 文庫本であることも、手軽で、良いですね(^^)

 謎の中には、よく知

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アジア遊学 (No.71) アジアの怪

アジア遊学 (No.71) アジアの怪

アジア遊学 (No.71) アジアの怪

 勉誠出版から出ているムック『アジア遊学』シリーズの第71号です。
 「アジアの怪」の特集号です。

 アジア諸国に伝わる怪異現象や、妖怪が、紹介されています。
 とはいえ、紹介されている地域には、偏りがあります。中国と日本とがほとんどです。

 他の地域は、冒頭の「序言 大地・山川・ジャングル・海から沸き立つものたち」の章で、少しずつ触れられてい

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