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【読書】河崎秋子『肉弾』

【読書】河崎秋子『肉弾』

この著者のお名前は先の直木賞受賞で知ったばかり。受賞作『ともぐい』に先駆けてこちら『肉弾』を拝読。数日枕元に置いていたが読み始めると止まらない面白さで二日で読了。スマホに毒され老眼に悩まされている昨今の私にとっては快挙。

河崎さんが北海道の方ということで、北海道の自然を舞台にした作品らしいことは想像できた。おどろおどろしいのかとなかなかページを開くことができなかった。ところが主人公の腰の抜けた現

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【読書】『なぜ共働きも専業もしんどいのか』を読んで

【読書】『なぜ共働きも専業もしんどいのか』を読んで

15年ほども前になろうか、ママ友とランチの時に

「専業主婦には三つのリスクがあるよね。
まず夫の会社が潰れること、
次に病気や怪我で夫が働けなくなること、
それから夫に好きな人ができて捨てられること」

と私が発言したことは友人の間では長いこと心に留まっているらしい。そんな漠然とした女性たちの現状を学術的に論理的に書籍にまとめられた本を見つけてつい手を伸ばした。

本を読んでいて付箋をつけること

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【読書】書き留めておきたいことなど

【読書】書き留めておきたいことなど

家族の引っ越しや趣味に忙しくしてnoteにはご無沙汰ばかりしておりましたが皆様には夏休みいかがお過ごしでしょうか。

小さい頃は本の虫に近かったのですが読書は気力体力もいるとみえて生活との距離が近寄ったり遠のいたりする大人になってからのお付き合いとなっております。読み始めると次々と読みたいものが出てきて、しばらく読まない期間もあったり。

最近読んでこれはどうしても皆様とシェアしたいと思った一節が

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【読書】『すぐ死ぬんだから』を読んで鏡を見ようと思った話

【読書】『すぐ死ぬんだから』を読んで鏡を見ようと思った話

内館牧子さんのご著書は軽妙で明るくて文章がどことなくカラフル。『終わった人』に続くどぎついタイトルで、手に取るにも多少ためらいがあった。実際人間ドックに行った日も読み進めていたが各部屋に入って荷物置き場に置く際にブックカバーをつけてこなかった自分を悔やんだほどだ。

最近は泉ピン子さん主演で舞台化もされている話題の本であるがこれといった予備知識もなく前半は少しばかり退屈気味に読んでいた。ネタバレし

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読書メーターからのうれしいメール

読書メーターからのうれしいメール

読書は私の大切な趣味で、しばしばnoteにも記録しているのだけれども、日常的に読書メーターというアプリで読みたい本や読んだ本について管理している。レビューも残せるときは残して、読む本を選ぶときはほかの方のレビューも読ませていただいている。そういう習慣はたぶん4年ほど続いていると思う。

今朝、久しぶりに図書館で借りた本を登録しようとアプリを開くと見たことのないメールが来ていて、新機能か何かかしらと

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【読書】『波の上のキネマ』を読んでまた私は打ちのめされる。

【読書】『波の上のキネマ』を読んでまた私は打ちのめされる。

どれだけ生きようと知らないことだらけだなぁと頭を抱えてしまう。大好きな八重山諸島のことを私はちっとも知らなかったと。

石垣島には二回だけしか行ってないのに四つも記事を書き、さらにその西の西表島には一度だけ足を伸ばしただけだけど、コロナが終わったら何度でも遊びに行きたい、癒されに行きたいと企んでいた。けれどもこの本を読むとそんな気持ちはしばらく起こらないだろう。

昭和初期、炭鉱があって沢山の命が

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おもしろいと思ったらベストセラー小説でした。

おもしろいと思ったらベストセラー小説でした。

本の断捨離をしたという友人から段ボールいっぱいの文庫本を譲り受けてからなかなか手を付けられずにいたのにようやく読んでみようと思えたのは資格試験が終わったから。それからひと月、私はタイムマシンで江戸時代を生きている。その本は『あきない世伝 金と銀』

幼くして呉服店に奉公に出た幸という主人公の成長記を堪能している。いる、というのも今12巻まで出ていて完結はしていないから。文章は方言や古典的な言い回し

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願わくば一日ごろごろ読み続けたい

願わくば一日ごろごろ読み続けたい

『あきない世伝 金と銀』はそう思わせてくれる小説。時代小説ではとびきり人気のみをつくし料理帖を書かれた高田郁さんのシリーズなので面白くないはずがない。のに長らく本棚に並べてあった。2巻から8巻を人から頂いたので。

この度晴れて1巻目を購入して手に取った。やっぱり最初から読みたいですよね。そして読み始めたら面白いのなんのってテンポがいい。兵庫の村から女子衆として大坂に出てきた主人公幸の成長記。九つ

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【読書】『定年オヤジ改造計画』

【読書】『定年オヤジ改造計画』

垣谷美雨さんのご著書はそのタイトルが単刀直入というか身も蓋もないというかキャッチーというかセンセーショナルというか、とにかく気になるものが多い。今週末から上映される話題の『老後の資金がありません』というのもその一つ。

他にも『うちの娘が結婚しないので』『夫の墓には入りません』『うちの父が運転をやめません』『あなたの人生片付けます』などなど、切実すぎて手を伸ばすかどうか悩んでしまうほど。

何冊か

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今私は次の扉の前に立っている気がする

今私は次の扉の前に立っている気がする

本屋さんや図書館やブックオフに行かなくても家にはたくさん読みたい本があるとわかっていた。昨夜は寝る前に読む本を探して久しぶりに本棚の前に立つと一冊の本と目が合った。

それは五木寛之さんの『百寺巡礼』の第一巻、奈良編。

来週、久しぶりに里帰りを予定していて奈良でどのように過ごそうかと頭の隅で考えていたのと点と点が線でつながった瞬間かもしれない。いつか読みたいと棚に置いていたがページをめくることも

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『シンプルな豊かさ』

緊急事態宣言が解除されて感染症対策もまた次のフェーズに入ったうようだが、テレワークはこれからも定着していくのだろうか。時には宿泊を伴うほどの遠距離を移動して一堂に会する会議が自宅に居ながらにしてできるメリットを実感した話は人から聞くし、その場に居合わせないもどかしさを考慮してもいいところは残っていくだろう。

土曜日、段ボール二箱ほど処分した際に生き残った本がクローゼットの奥の奥にしまってあったサ

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「読める」喜び

毎日毎日ピアノに向かっていると当然のことながら楽譜を読む時間も増えてきた。1年と10か月の間にどれほど力がついただろう。まだまだ速くはないけれども少しずつ苦にならなくなってきていることにはたと気づく。

ゆっくりでもいいので読んで音を出すと曲になる。難しいリズムや#、♭が多いものは大変だけれども楽譜さえ手に入ればこれまで聴いてきたいろいろなピアノ曲がいつかは弾ける。もちろん易しいものでも素敵に演奏

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【読書】沢木耕太郎さん『深夜特急1』

【読書】沢木耕太郎さん『深夜特急1』

私は今、マカオに来ています。こんな世の中なので本の中で、ですが。旅から遠ざかっている今、これほど読むにふさわしい本はほかにあるでしょうか。ずっと読みたかった本に着手することができました。

人生は選択の連続で、常に安全な方を選んで進んできたような私には生まれ変わったらこんな冒険もしてみたかったという思い、また私の代わりに行ってくれてありがとうという感謝さえ覚えつつ読みました。読む本を極力減らしてじ

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『億を稼ぐ人の考え方』を50代で読んでみた

『億を稼ぐ人の考え方』を50代で読んでみた

著者は借金取りに追われるサラリーマン時代を経験したのち、よいメンターに巡り合って27歳で独立して成功されている中野祐治さん。「金持ち父さん貧乏父さん」で有名なロバートキヨサトさんの本などを引用しながら日本のこれからを企業に依存して暮らすことに警鐘を鳴らしている。

実績のある方なので若い人には説得力があり、有用なことが盛りだくさん書かれている。銀行に貯金しても増えませんよ、とか住宅ローンを組んで家

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