『シンプルな豊かさ』

緊急事態宣言が解除されて感染症対策もまた次のフェーズに入ったうようだが、テレワークはこれからも定着していくのだろうか。時には宿泊を伴うほどの遠距離を移動して一堂に会する会議が自宅に居ながらにしてできるメリットを実感した話は人から聞くし、その場に居合わせないもどかしさを考慮してもいいところは残っていくだろう。

土曜日、段ボール二箱ほど処分した際に生き残った本がクローゼットの奥の奥にしまってあったサラ・バン・ブラナックという著者の『シンプルな豊かさ』という本。30代で買った、日本では1997年に出版された本であるが読み直してみると大変面白い。

まえがきには

金だけが私の成功を価値を計る物差し

だった著者が二年間コラムを書いて自省することで

ありふれたものの中に聖なるもの、平凡なものの中に神秘を見いだし、現在の瞬間に天の恵みを感じるようになった

と書かれている。

日記風に毎日まとめられているので10月4日のところを読むと2021年の日本で大変参考になることが書かれているので今日はそちらをご紹介しようと思う。

そのタイトルは「家庭の仕事」となっていて、彼女は家で仕事をすることは子どもの病気や学校の休暇の時に助かる、と書いているがそれは今も昔も日本でもアメリカでも多くの母親を苦しめる。なので在宅での仕事は子育てにおいてもメリットは大きい。

家で仕事をするときには家事について一切考えてはならず、そうするには厳しい訓練が必要だと説いている。日中は片付けには目を瞑ることだ。

うまく慣れて家庭で働く快適さを知ったら、次は毎日切れ目がなくなって「奴隷労働」のようになることを気をつけないといけないという。バランス感覚さえ気をつけるとテレワークは自己実現の正しい一歩になりうる。そしてテレワークの先駆者、ヴァージニア・ウルフの言葉を引用し

人はその職業で大きな成功を収めると、五感を失う。視力が失われる。絵を見る時間がなくなるからだ。音が消える。音楽を聴く暇がないからだ。言葉がなくなる。会話をするいとまがないからだ。物と物との関係である、釣り合いの感覚もなくなる。人間性が消えるのだ。

と締めくくっている。男女関わらずこれから仕事をする人たちに、仕事と生活のバランスの重要さを伝える良書だと思う。やはり読み継がれる本にはそれだけの値打ちがある。

画像1

世の中のお母さんたちに仕事を諦めないでほしい。お父さんと分かち合い、社会の手を借りつつ、子どもの心を満たす方法を考えることが健全な社会を作ることだと思う。一人ひとりが自分の心の声に耳を傾けて大事なものを見失わずすごすことができますように。

今日からまた新しい一週間。よい一日をお過ごしください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?