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小説「夢・未来鉄道」(後編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~
五 新しい鉄道
「最後の会員コースが利用日制限の分ですね。これはお客さまの休日等に合わせて、利用日を2~4日で指定して利用することになります。時間制限はありません。また、曜日の組合せにより会員費が異なっています。一番会員の多い土日会員は現在四万円になっています」
彼女はひととおりの説明を終えた。どうやら久しぶりの説明だったみたいで、彼女も安堵しているようだ。
「この金額が高いか安いかと思うのは、
小説「夢・未来鉄道」(中編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~
3 入会
「鉄道会員への入会については、まず会員コースを選んでもらうことになります。会員は基本的に三つに分かれていますが、ひとつずつ説明しますので、ご自分の利用に会ったコースを選ばれてください」
了解の意志を示すと、彼女は説明を続けた。とても上手な説明であり、たぶんこの女性は切符販売ではなく、いつもこの会員制度の説明をしているのだろうと感じた。
「ひとつめがフリーダム会員。こちらは文字通り時
小説「夢・未来鉄道」(前編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~
プロローグ
最終列車の乗客がホームで見送る人々に手を振っている。ベルが鳴りやみ、今日のために久しぶりにホームについた駅員が送る合図と共に出発した。
駅員は少しずつ小さくなる列車の尾灯をいつまでも追い続け、やがて線路のカーブで見えなくなるまでホームで静止して見送る。そして、その列車は、この路線が開業してから今日までに走った列車の最終便ということ、また駅が百十年の営業を終えるということを説明した
地方ローカル鉄道の危機に、サブスク制度で存続できないか考えてみる~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~
「これからの時代は発想の転換が必要になりますよ」
およそ30年前くらい、鉄道会社の新人研修の担当講師からこのように言われたことを今でも覚えている。当時から鉄道事業の経営状況は良いとは言えず、特に地方ローカル線の利用者が少なく赤字体質となっていた。
配属となった現場では、多くの先輩社員から「なんで、うちの鉄道会社に入ったの?」と言われ返答に困った。さらに現在はコロナ禍により全国で路線の廃線議論
エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑦ビバ!社宅」
「うるさーい!」 居間の方から、かみさんの大きな怒鳴り声が聞こえる。洗面所で歯を磨いていた我が輩は、「また怒られたか」と思いつつ、今から自分の身にふりかかろうことを予想して、そそくさとうがいを始めた・・・。
日曜日のお昼前、家の中では朝からかみさんが朝食の用意、洗濯そして部屋の掃除と、休む間もなく働いていた。「なにも休みの日にまで、家事に張り切らなくてもいいのに。」と我が輩は思いながら、家事分
今、このローカル線の存続危機に際し、新しいサブスク鉄道を考えてみる」 ~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~
「これからの時代は発想の転換が必要になりますよ」
およそ30年前くらい、鉄道会社の新人研修の担当講師からこのように言われたことを今でも覚えている。当時から鉄道事業の経営状況は良いとは言えず、特に地方ローカル線の利用者が少なく赤字体質となっていた。
配属となった現場では、多くの先輩社員から「なんで、うちの鉄道会社に入ったの?」と言われ返答に困った。さらに現在はコロナ禍により全国で路線の廃線議論