ともひろ

九州在住の鉄道関係に勤める会社員。子供が小さい頃から子育て日記から派生したエッセイや小…

ともひろ

九州在住の鉄道関係に勤める会社員。子供が小さい頃から子育て日記から派生したエッセイや小説、イラストをかいています。現在ピンチにある鉄道の地方ローカル線の未来のために新しい切り口で作品を創っています。

マガジン

  • 長編小説「着物でないとっ!」

    北九州門司港で和裁士になるための修練をしているゆき。彼女が通う学校にある日、老松という男が現れ、学校の存続に問題があることをネタに脅迫をされる。

  • 劇小説「メイド喫茶へいらっしゃい!」

    サブカルチャーのひとつであるメイド喫茶を舞台に、お屋敷の存続問題が持ち上がる。たまたま、その場にいたヒロはメイドのいちごと一緒にお屋敷のために立ち上がる。

  • エッセイ「鉄道員(ぽっぽや)の子育て日記」

    エッセイを書き始めるきっかけになったのが、子育て時の日記でした。と言っても、毎日書くような性格ではないので、特徴ある出来事をエッセイ風にまとめたことから創作活動が始まりました。時々、読み返すことがありますが、当時の情景や感情がリアルに思い出すことができます。これが文章の力だと感じます。

  • 小説「北の街に春風が吹く〜ある町の鉄道存廃の話〜」

    北海道中央部に位置する小さな町に降りかかる鉄道ローカル線の廃線問題。街の衰退を危惧する役場では鉄道会社との交渉に追われる。そんな中、役場に勤める職員から語られた鉄道再興のアイディアが語られる。町に住む若い主人公の目線で展開される新しい鉄道の姿とは・・・。全国の鉄道事業者と沿線自治体の方に読んで頂きたい作品です。

  • みんなで新しい鉄道を考えよう

    今、地方ローカル鉄道はコロナ禍もあり廃線危機を迎えようとしています。現在は自動車社会が最盛期でもありますが、今後のエネルギー問題、地球環境を考えると、今のような自動車利用はできなくなる時期が来ることも予想されます。鉄道はエネルギー効率や旅情など無くしてはならないと真剣に考えてもいますが、読み物としてそれを広めていければよいと考えています。

最近の記事

  • 固定された記事

地方ローカル鉄道をサブスクで存続できないか考えてみる~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

「これからの時代は発想の転換が必要になりますよ」  およそ30年前くらい、鉄道会社の新人研修の担当講師からこのように言われたことを今でも覚えている。当時から鉄道事業の経営状況は良いとは言えず、特に地方ローカル線の利用者が少なく赤字体質となっていた。  配属となった現場では、多くの先輩社員から「なんで、うちの鉄道会社に入ったの?」と言われ返答に困った。さらに現在はコロナ禍により全国で路線の廃線議論さえ始まるようになった。  その一方で、近年は気象異常が世界中で頻発し、国内で

    • 小説「夢・未来鉄道」(中編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~

      3 入会  「鉄道会員への入会については、まず会員コースを選んでもらうことになります。会員は基本的に三つに分かれていますが、ひとつずつ説明しますので、ご自分の利用に会ったコースを選ばれてください」 了解の意志を示すと、彼女は説明を続けた。とても上手な説明であり、たぶんこの女性は切符販売ではなく、いつもこの会員制度の説明をしているのだろうと感じた。  「ひとつめがフリーダム会員。こちらは文字通り時間や曜日の制限なしで自由に列車に乗車できるコースになります。自由席のみの利用とな

      • 小説「夢・未来鉄道」(前編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~

        プロローグ  最終列車の乗客がホームで見送る人々に手を振っている。ベルが鳴りやみ、今日のために久しぶりにホームについた駅員が送る合図と共に出発した。  駅員は少しずつ小さくなる列車の尾灯をいつまでも追い続け、やがて線路のカーブで見えなくなるまでホームで静止して見送る。そして、その列車は、この路線が開業してから今日までに走った列車の最終便ということ、また駅が百十年の営業を終えるということを説明した。  北海道のこの小さな町で生まれ育った高校生の圭吾と茂樹もこの町の鉄道の終わり

        • 地方ローカル鉄道の危機に、サブスク制度で存続できないか考えてみる~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

          「これからの時代は発想の転換が必要になりますよ」  およそ30年前くらい、鉄道会社の新人研修の担当講師からこのように言われたことを今でも覚えている。当時から鉄道事業の経営状況は良いとは言えず、特に地方ローカル線の利用者が少なく赤字体質となっていた。  配属となった現場では、多くの先輩社員から「なんで、うちの鉄道会社に入ったの?」と言われ返答に困った。さらに現在はコロナ禍により全国で路線の廃線議論さえ始まるようになった。  その一方で、近年は気象異常が世界中で頻発し、国内で

        • 固定された記事

        地方ローカル鉄道をサブスクで存続できないか考えてみる~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

        • 小説「夢・未来鉄道」(中編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~

        • 小説「夢・未来鉄道」(前編)~鉄道のローカル線問題に関係する方たちに読んでもらいたい作品です~

        • 地方ローカル鉄道の危機に、サブスク制度で存続できないか考えてみる~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

        マガジン

        • 長編小説「着物でないとっ!」
          34本
        • 劇小説「メイド喫茶へいらっしゃい!」
          5本
        • エッセイ「鉄道員(ぽっぽや)の子育て日記」
          13本
        • 小説「北の街に春風が吹く〜ある町の鉄道存廃の話〜」
          33本
        • みんなで新しい鉄道を考えよう
          8本
        • 長編小説「龍馬がやってきた」〜僕の鉄道維新物語〜
          8本

        記事

          エッセイ「素敵な列車旅の想い出」

           ようやく新型コロナウィルス感染症の流行が落ち着き、人々の動きが再開された。あまりにも急激な増加のために人気観光地ではオーバーツーリズムが発生しているとのニュースも話題となっているほどだ。鉄道については利用者減少のダメージは大きく元通りにはなっていない状況であるが、地球環境問題を考えればエネルギー効率に優れている鉄道の良さを今一度考える機会となれば良いと思う。そして、そのためにも私が鉄道会社に入社を目指すことになった列車旅について思い出してみたい。  大学卒業時に自分の進路に

          エッセイ「素敵な列車旅の想い出」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑨家庭でOJT?」

           今日は母の日。何かと「○○の日」と決め付けて、脅迫観念にかられるように行うのは、日本の悪い慣習かとも思うが、頑張るお母さんに感謝する気持ちを持つことは決して悪いことではない。  十歳の息子と、七歳の娘が協力して、「今日は自分たちだけで料理を作るんだ!」と張りきっている。メニューはカレーに決まったようだ。まずは材料を切ることから。さっそく娘は、ニンジンを乱切りしはじめた。娘の性格を表すかのように、威勢よく適当な大きさに切っている。ほんとにテキトーである。  一方の息子は、慎

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑨家庭でOJT?」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑧給料日」

           子供も小学校に入学する頃になると、自然とお金に興味を持ち始める。実家に帰省したときに、祖父母からもらう正月のお年玉やお小遣いを心待ちにし、自分の貯金が「いくらになった」と自慢げに話すようになる。他人からは、いっぱい貰いたいと思う反面、本人は守銭奴と化し自分のお金は使いたがらない。自分たちもそうであったように、みんなお金が好きである。  今日は給料日。我が社の場合、正確にいうと約五日前の給与明細の配布日。最近は、文明の発達により現金で給与が支払われることは多くの会社で無くな

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑧給料日」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑦ビバ!社宅」

          「うるさーい!」 居間の方から、かみさんの大きな怒鳴り声が聞こえる。洗面所で歯を磨いていた我が輩は、「また怒られたか」と思いつつ、今から自分の身にふりかかろうことを予想して、そそくさとうがいを始めた・・・。  日曜日のお昼前、家の中では朝からかみさんが朝食の用意、洗濯そして部屋の掃除と、休む間もなく働いていた。「なにも休みの日にまで、家事に張り切らなくてもいいのに。」と我が輩は思いながら、家事分担として朝食の食器洗いのみをとっとと終えて、後は手伝うこともなく好きなビデオなど

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑦ビバ!社宅」

          今、このローカル線の存続危機に際し、新しいサブスク鉄道を考えてみる」     ~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

          「これからの時代は発想の転換が必要になりますよ」  およそ30年前くらい、鉄道会社の新人研修の担当講師からこのように言われたことを今でも覚えている。当時から鉄道事業の経営状況は良いとは言えず、特に地方ローカル線の利用者が少なく赤字体質となっていた。  配属となった現場では、多くの先輩社員から「なんで、うちの鉄道会社に入ったの?」と言われ返答に困った。さらに現在はコロナ禍により全国で路線の廃線議論さえ始まるようになった。  そして廃線の代案となるバス転換についても、最近は運転

          今、このローカル線の存続危機に際し、新しいサブスク鉄道を考えてみる」     ~北海道沼田町の鉄道ルネサンス構想~

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑥タクヤの碁」

          「負けました。」  我が輩は、これ以上続けても逆転できる手がないことを悟り、その言葉を発した。「ありがとうございました。」お互いにきちんと挨拶をして対局を終えた。  土曜日の午後、我が輩は自宅で息子と囲碁をしていたのである。そして今、負けたのである。それも”中押し”で。碁を嗜む方なら解ると思うが、一方的で屈辱的な負け方である。息子は、まだ小学二年である。碁のような頭を使う遊びで小さな子供に負けた時の「へこむ」気持ちというのを親なら解っていただけると思う。  実家に帰省し

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑥タクヤの碁」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑤平凡なる朝」

           今日は土曜日。週休二日制のおかげで、現在の職場はほぼ全ての土曜が休みである。人間、慣れというものはこわいもので、入社した頃は半ドンの土曜日があったことなど既に忘れてしまっている。  日頃、小さい子供相手に奮闘を続けてお疲れのせいで、休日はかみさんも気が緩むのか、既に朝も九時近くになろうというのに、いまだ布団の中で惰眠を貪っている最中である。我が輩は休日の朝、何故か早起きをしてしまう癖があり、土曜日の朝の番組はたいして面白くも無いがとりあえずテレビをつけては、新聞の番組欄を

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ⑤平凡なる朝」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ④駅までの路」

           今日は通常の勤務ではなく、応援業務として博多駅で働くことになっていた。勤務時間も変更があり、少し遅めの出社である。昼頃までに会社に着けばよいため、十一時過ぎにアパートを出ることにした。上の息子は既に幼稚園に行っているため、自宅でかみさんと三歳になる娘とのんびりと朝を過ごした。  平日に家にいると、日ごろ見れない子供の姿を見ることになる。朝のうちはかみさんが家の掃除やら洗濯をするので、娘とテレビを見ていた。小さな子供を持つ親ならば知っていると思うが、NHKの教育番組は大人が

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ④駅までの路」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ②子守り」

           近年は男女の平等が叫ばれる時代である。女性も生涯にわたって仕事をするし、男性も家事をこなすことが求められる。我が輩は現在58 歳。少しだけ前世代なので、けっこう日本の古典的な家庭生活を送ってきた。日頃の家事は今のところ専業主婦のかみさんにほとんどまかせっきりであったし、子育てについても休みの日以外はたいして面倒もみていなかったかとも思う。家に帰れば、ちいさな子どもはすでに寝ており、遅い夕食を食べながら「今日はね、これして、あれして・・・」と、かみさんが堰をきったように話すそ

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ②子守り」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ③素敵な列車旅の想い出」

           ようやく新型コロナウィルス感染症の流行が落ち着き(?)、人々が動きを再開した。インバウンドの旅行客が一気に増えてオーバーツーリズムなどの現象も起きているが、端的に言って海外旅行は楽しいものだ。  しかし、残念なことはテレビ等の報道で語られるのは経済効果のことばかりに感じられて少し残念な気持ちがある。  旅の楽しみは、観光、グルメ、買い物などひとそれぞれであるが、私は訪れた地での人との出逢いだと思っている。  大学卒業時に自分の進路に迷い、留年、親の反対を振り切ってまで海外

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ③素敵な列車旅の想い出」

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ①プラレール」

           どんな仕事にも、ある種のトラブルがつきものである。 我が輩は鉄道の土木工事を施工管理する現業区で仕事をしている。在来の線路と駅を道路と立体交差する、いわゆる高架化というものだが、その工事の担当である。  今日は、朝から事務所で現場の施工会社との打合せである。現地の地形と、設計図が合わない所があるという。昨日、現地の測量をしていた時に図面とあわないところがあることに気がついて、慌てて連絡をしてきたのだ。工期が差し迫っているので、朝一番の打合せをお願いしたいというものだった。

          エッセイ「鉄道員の子育て日記 ①プラレール」

          エッセイ「鐵道のレールのはなし」

           まだ若い頃、鉄道会社の研修で製鉄会社のレール工場の見学をしたことがある。そこはレールだけでなく、ビルの骨組みに使われるH鋼などの主要な建築資材を造る圧延工場ということであった。やけに縦長い形の工場だ。 ガラス張りの見学ルームの前方に広がる作業場に、眩しいオレンジ色の光を放つ精錬後の熱い鉄の塊が送られてくる。作業場が薄暗いため、その光に目がくらみそうになる。  その鉄塊は、床に並ぶローラーのついている細長いレーンの上を何度も転がされる。レーンの中央の部分には矩形状に孔が開い

          エッセイ「鐵道のレールのはなし」