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絵を奏でる、画で語る。

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人類が絵を描くようになってから約2万年、絵画美術の手法や技術はさまざまな進化と洗練を遂げ、数多の画家たちが多様にして無限のテーマやモチーフを素地の上に閉じ込めてきた。 時は流れて…
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#エッセイ

絵を描くということ

絵を描くということ

小さい頃からずっと描いてきて、仕事にもしているのに、「自分にとって絵を描くということ」がどういうことなのか、いまだによくわからない。

もちろん楽しい時のほうが多いと思う。だけどしんどいときはしんどい。めちゃくちゃしんどい。
絵を描いていてよかったと思うことはたくさんある。でももっと描けたら苦しくないのではないか、と思うこともよくある。めちゃめちゃある。

データの整理をしていると、誰かに絵を褒め

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episode9 世界中に師匠がいる!名画を模写する魅力

episode9 世界中に師匠がいる!名画を模写する魅力

今の私を形成する様々なことを綴っているエピソードシリーズ。
前回は趣味の和太鼓について書きました。今回はもう一つの趣味、名画を模写する教室「えんぴつで名画」について書きます!

*****

もう何度かこの講座については書いているので、読んでいただいている方には重複することもあるかもしれませんがご容赦を。

改めて。
「えんぴつで名画」とは。

世界中の名画をえんぴつ1本で模写をするというメソッド

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世界史だけでなく、どの授業でも模写していたらしい

世界史だけでなく、どの授業でも模写していたらしい

このところの不調で「今」を書けないから、高校の頃の話をしよう。

高校の世界史はもうめちゃくちゃだった。
世界史が嫌いな人におそらく共通すると思われる、カタカナの名前が覚えられない症候群だ。
アウグスティヌスでつまずいた。

本来、全教科の中でもっとも得意なのは日本史だ。
中学の日本史では3年間失点をしたことがない。
しかし、高校では日本史の先生が嫌いという理由で世界史をとり、結果、テストは毎回1

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イラストレーターは絵を描くんだから、デザインもできるんでしょ、という方へ

イラストレーターは絵を描くんだから、デザインもできるんでしょ、という方へ

イラストレーターと似たお仕事シリーズ(?)、長々とお送りしてきたが、これが最後(たぶん)。前回までの「イラストレーターと画家の違い」については、ひとまずオシマイ。今日はタイトル通り「デザイナー」のお話。

「イラストレーター」と混同しやすい仕事の一つが「デザイナー」だ。たまに私も「デザインもお願いします」と言われることがあって戸惑う。このふたつは、よくよく知れば、赤面するくらい全く違う職業である。

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同じ絵描きでもこんなに違う、イラストレーターと画家のお仕事

同じ絵描きでもこんなに違う、イラストレーターと画家のお仕事

イラストレーターになりたい!と思う人の中には、イラストレーターの仕事内容を誤解している人が結構な割合でいる。特に、限りなく画家に近い仕事内容と混同しているパターンがよく見られるように思う。

前回までに、「イラストレーターと画家の仕事の違い」と「イラストレーターの仕事内容」について、2回にわたって書いてきたが、今回は「画家」の仕事について書きたいと思う。

画家とはこんなお仕事前回書いた「イラスト

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イラストレーターを続けていくのに必要な2つのチカラ

イラストレーターを続けていくのに必要な2つのチカラ

イラストレーターになりたいと思う人は多いけれど、その実、イラストレーターとは具体的にどんなことをする仕事なのか、知らない人も多い。

前回は、混同されやすい「イラストレーター」と「画家」について説明したが、今回は、「イラストレーターの仕事」について、さらに「イラストの仕事を続けていくために必要なチカラ」について、もう少し詳しく書きたいと思う。

この記事は単体で200円です。
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イラストレーターの仕事についてみんなが誤解していること。画家との違い。

イラストレーターの仕事についてみんなが誤解していること。画家との違い。

私の周りでも、イラストレーターになりたいと頑張ってる人は多いけれど、その実、イラストレーターとは具体的にどんなことをする仕事なのか、誤解している人もいるようだ。知ってる人からすれば「今さら?」と言う話だけれど、サクッと書いてみようと思う。

「イラストレーター」とは、ざっくりいうと「絵を描く仕事」であるが、いわゆる「画家」の仕事とは違う。この二つの職業には、単に「英語と日本語の違い」というわけでは

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下手だった絵を載せながら、約10年かけてイラストレーターになったはなしをします。

下手だった絵を載せながら、約10年かけてイラストレーターになったはなしをします。

最初、この道を目指した時のへたっぴな絵とともにプロフィールと兼ねて、振り返ろうと思います。これからイラストを極めたい人に少しヒントになるかな?と思いました。同じ道をお勧めはできません。
大学や専門学校を卒業してないので、どういう経緯か描いた方が、私の経歴は伝わりやすいと思っています。まわり道、迷い道の日々でした。

現在の絵長い文になったので最初に載せときます。

名前 職業 特技描けるテイスト経

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遠近法の歴史|誰にでも分かりそうなのに1000年も発明されなかった技法

遠近法の歴史|誰にでも分かりそうなのに1000年も発明されなかった技法

遠くの人は小さく、近くの人は大きく見える。

今となっては、当たり前に成立している遠近法。しかし1200〜1300年以前、つまりルネサンス期より前の絵画には、遠近法はほとんど存在しない。つまりのっぺりした2Dの絵であり、3Dの概念はなかった。

「え? なんで?」と思う方もいるかもしれない。正直なことを言うと、私もその1人だった。だって風景画も人物画も、観たまま描けば遠近法になるじゃん……。しかし

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芸大卒だとイキってオンラインデッサン講座を受講したらメンタルを大怪我した日

芸大卒だとイキってオンラインデッサン講座を受講したらメンタルを大怪我した日

デッサンが描きたかった。

描きたいなら描けば良いじゃないって話なのだが、1人で描くのも何だか寂しいし、今のご時世オンラインレッスンとやらが安価で気軽に受講できるとくれば、一度体験してみない手はない。
以前から、オンラインで知らない人と一緒に絵を描くという事への興味もあり、少人数制のレッスンを受講してみる事に決めた。

大学時代は美術を学んでいたし、若い頃は良く描いていたので経験値0ではないのだが

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Okaki
割引あり
憧れだった「絵師になること」を諦めた話 絵も小説もコスプレもできない私は「調べて発信するオタク」になりました

憧れだった「絵師になること」を諦めた話 絵も小説もコスプレもできない私は「調べて発信するオタク」になりました

私は小さい頃から絵を描くのが好きなオタクでした。周りの人から自分の絵を見て褒めてもらえるような所謂「絵師」になることが憧れでした。ですがいまはその憧れを諦めました。

これは誰かに共感してほしいとか、慰めてほしいとかそういう気持ちは全然なくて、「絵が描ける人間」にしがみついて苦しかった過去の自分に「別に描けなくてもいいんだよ」と言いたい、同じように考えて苦しんでいる人にお伝えできればいいなと思って

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イラストを描いてきてよかった

イラストを描いてきてよかった

ずっとハマっている塩風呂に浸かりながら、今のアーティスト生活をどうしたもんか、やりたいことを形にしていくことを考えていると、あっという間に時間がすぎてたっぷり汗をかいていた。

わたしは衝動的にものを作ることがほとんどなので、販売に耐えない素材で作品を作ることが多い。手元のメモにそのまま描いたり。アートに親しめるような形にすることができればいいな、と思いながらも、作品自体を売ることにはあんまり積極

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誰かを描くということ

また泣くところだった。濱田英明さんのnoteを読んで、心にしまっていた本音がまた僕の頭の中に戻ってきたような感覚でした。これは写真のお話だけど、僕にとっての絵も全く同じなのです。

僕は人を描くのが好きです。僕は常に“誰か”を描いてきた。イラストレーターになれたきっかけも、毎日誰かを描いていたから。描きたいと思った人をただ描いていたから。

でも、誰かを描くということは時に辛くもあったんです。誰か

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絵画とファッション「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」白いドレスの破壊力について。

絵画とファッション「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」白いドレスの破壊力について。

突然ですが、「白いドレスを着た少女たちを庭で眺めていたい」という偏愛極まりない私の願望の元となった、美しい絵画をご紹介いたします。

ジョン・シンガー・サージェントの「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」です。描かれたのは1885年。ヴィクトリア時代です。

John Singer Sargent「Carnation,Lily,Lily,Rose」1885-6

「カーネーション、リリー、リリ

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