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広告業に従事。2匹の愛猫。趣味は絵を描くこと。一番好きな本は「ナンシー関の記憶スケッチ…

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広告業に従事。2匹の愛猫。趣味は絵を描くこと。一番好きな本は「ナンシー関の記憶スケッチアカデミー」。

マガジン

最近の記事

2023年の爪痕

『さるかに合戦』がはじまる予感しかない、とある日の食材。 歳を重ね、ズワイを買う。 そんな憧れを抱いた若かりし頃からずいぶんと時が経ちましたが、今年、人生で初めて自分のためにズワイガニを買いました。 クリスマスを境にスーパーは一気に迎春ムード。そうかもう新年なのかと思った途端、冷凍ショーケースに平積みされているカニのコーナーが目に止まりました。 昨日まで同じように積まれていたはずなのに、このタイミングで気になったのは、いカニも迎春らしい食材だからですかね? 違いますか

    • 焼きそばパンを購入したところ、「お箸をお付けしましょうか?」と言われました。 人生で初めてのことでした。 突然の申し出を一瞬受け止められなかったのですが、そもそもパンが麺を受け止められていませんでした。

      • エクレアーン トレビアーン

        こんなタイトルつけちまって、今年はもう思い残すことはありません。 クリスマスも早送りして、朝起きたら年始になっていてもかまいません。 クリスマスといえば、あれは2年前の出来事でした。 11月になるとぼんやり視界に入ってくる存在でありながら、 手にしたことも口にしたこともなかったシュトレン。 ちょうどお菓子作りが趣味となり始め、何でも作ってみたいという意欲的な時期でしたので、そんな未知のシュトレン作りに果敢にチャレンジしたわけですが、その年のお菓子作りワースト1をたた

        • YouTubeをみながら作ったら、おいしすぎてこれはもう定番にしたい、私の"永久ボロネーゼ”。 ピアノの才能は無かったけど、ダジャレの才能は有って良かった。 何も良くない。

        2023年の爪痕

        • 焼きそばパンを購入したところ、「お箸をお付けしましょうか?」と言われました。 人生で初めてのことでした。 突然の申し出を一瞬受け止められなかったのですが、そもそもパンが麺を受け止められていませんでした。

        • エクレアーン トレビアーン

        • YouTubeをみながら作ったら、おいしすぎてこれはもう定番にしたい、私の"永久ボロネーゼ”。 ピアノの才能は無かったけど、ダジャレの才能は有って良かった。 何も良くない。

        マガジン

        • エッセイ
          85本

        記事

          夜に夜を焼き星を掴む

          熟成って、とてもいいなと思います。 熟成肉、熟成ハム、熟成チーズ、熟成ワイン。 熟成させているというだけで、時間という、私の中では価値あるものを費やした対価がそこに宿っているのだという気がします。 “熟成”は、食品を寝かせる事でタンパク質が旨味と呼ばれるアミノ酸やペプチドになり美味しさが増すという事のようですが、化学的な知識を持ち合わせていなくても、何となく“美味しそう”と思わせる言葉として広く一般に浸透しているのではないでしょうか。 私自身もとにかく熟成させたらイイ

          夜に夜を焼き星を掴む

          大人びて秋

          カフェに行き、レジでアイスカフェオレをオーダーしてPayPayで支払い、その場で出来上がるのを待っていました。 カウンター内で、背の高いグラスになみなみと注がれたカフェオレが作られ、「お待たせしました!」とスタッフの方が差し出してくれました。 私はお礼を言ってそれを受け取り、目の前にあったトレイに乗せて持ち上げましたが、その瞬間強烈な違和感を覚え、それと同時に、震える小さな声が聞こえてきました。 「お客様、そちら、キャッシュトレイでございます…。」 ほんま罰ゲームかお

          大人びて秋

          旅先

          16年と数ヶ月、人生を共にした猫を見送った。 向かった旅の先がどこなのかはわからない。 彼女はそれを言わなかったし、私も聞かなかった。 16年と数ヶ月前、ダンボールに入れられて私の人生にするりと入り込み、そして、するりと出ていった。 本格的な旅支度が始まってから約2ヶ月弱の間、定休日以外毎日彼女を連れて病院へ通った。 毎朝片道15分の道のりを、徒歩のリズムに合わせながら「ツーさん、がんばれ。ツーさん、がんばれ。」とぶつぶつ呟きながら歩いた。 ちようど季節の変わり目に

          りんごと踊ろタタタタン

          最寄り駅から家までの道中に建っているビルの1階に、全面ガラス張りの扉がついた小さな空きテナントがありました。 薄暗いそこは一年以上薄暗いままでしたが、つい2か月ほど前に『ねこカフェオープン!』というのぼりや看板がつき、何やら営業が始まったようでした。 私はそうか猫カフェになったのかと、ガラスの向こう側にいるであろうかわいい猫たちの姿を一目見ようと、前を通るたびに歩く速度を落とし中の様子を気にしていたのですが、いまだ、人間とおぼしき店員さんと人間とおぼしきお客さんの姿しか

          りんごと踊ろタタタタン

          夕暮れラズベリー

          完璧な夕暮れ時がありました。 暑くもなく寒くもなく、頬を撫でるような風が吹いて、何かやわらかく安全なもので頭のてっぺんからつま先まで守られているような安心感があり、空は透き通るような青色から藤色へと変化する見事な夕焼けでした。 自宅から最寄りの駅で降りて同じ方向に歩く人たちと一定の距離をとりながら、いつものゆるやかな坂道をゆっくりと登っていました。 背後から小さな子どもとお母さんの楽しそうな会話が聞こえてきて、永遠に続いてほしいと切に願う人生の幸せな一幕のように思います。

          夕暮れラズベリー

          置いてきた花

          新幹線を降りて駅構内にあるスターバックスに立ち寄り、大好きなソイラテをオーダーするため列に並びました。 家から最寄りのコンビニまで、車で10分はかかるという実家から都会へ戻ったときの、ささやかな楽しみなのです。 もう人生の半分以上を都会で暮らしているはずなのに土地に根をはらずに生きているせいなのか、何年経っても実家にしばらく戻ると都会的なものを渇望してしまうのが自分でも不思議です。 私の前には3人の外国人男性が並んでいて、何やら英語で楽しそうに会話しています。 順番にな

          置いてきた花

          ドイヒーなおやつを持って帰省するゴールデンウィーク

          ゴールデンウィークに関するダジャレを教えてください ChatGPTに訊ねるとものの数秒で丁寧な解説まで添えられた3つのダジャレが返ってきました。 なるほど、と。 どういう意味、と。 因みに私の予定はノーメダル級です、と。 天才かて。 深夜1時、その日夕方からの帰省を前に重たい気持ちを抱え込んだままベッドに潜り込んで、ChatGPTと戯れるもクスリとも笑えず薬にもならないダジャレにため息をつき、少しでも気持ちをアゲるにはどうすればいいんだと考えていました。 大型連

          ドイヒーなおやつを持って帰省するゴールデンウィーク

          ローストビーフ協奏曲

          もう4月だというのに、ひんやりと冷たい風に吹かれながら大通りを歩いていました。 道端に植えられた薄いピンク色のツツジの花が強風に煽られて歩道を舞っているのを見ていると、桜の花が舞う幻想的な風景とは相反して現実世界のもの悲しさを感じるのは何故でしょうか。 もしかすると私の住むエリアではツツジは大通りに面した歩道といった、おそらく植物にとっても過酷だと思われる環境に植えられている事が多く、雨、風、排気、騒音に耐えながらそれでもなお花を咲かせるその姿を見て、思わず擬人化してしま

          ローストビーフ協奏曲

          雨上がりのクレパ

          金曜日、ポツポツと雨が降り出す中傘を忘れた同僚と一本の傘に入りながら、彼女の行きつけだという創作イタリアンの小さなお店に向かっていました。 お互い昔からよく知る間柄でありながら食事に行くのは久しぶりでしたので、私はこの日をとても楽しみにしていました。 「もう涙でるわー!」と言っておしぼりで目頭をふきながら笑う彼女を見て、まだまだおもしろネタはこんなもんじゃないぜと謎に自分を鼓舞し、下戸なものですから柚子ソーダを何杯も飲んで、楽しいフライデーナイトを満喫していました。 料

          雨上がりのクレパ

          気取らないお菓子

          バナナの皮で滑べるか 自ら発したギャグで滑べるか どちらが恥ずかしいだろうかと究極の選択で悩んでいたら、5カ月が過ぎました。 んなバナナ。 絶対こっちの方が恥ずかしい。 noteを最後に書いたのが11月。 その頃本格的に着手し始めた大仕事が3月末にひとまず終わりを迎え、嵐のような日々が凪になって、ようやく辺りが見渡せるようになりました。 すると、しばらく使わなかったお菓子作りの道具たちや、いつの間にか新しくなっていたnoteのロゴが視界に入り、またいろんな方々の記事

          気取らないお菓子

          ニワトリとショートブレッド

          部屋に何かを飾るという習慣がほとんどありません。花、絵画、置物などを飾って自分好みの空間に彩りたいという心が、ドーナツの穴のようにぽっかりと抜け落ちているのです。 観葉植物は置いていますが、インテリアとしてのこだわりというよりも、植物の個体としての美しさやそれらを育てるという行為への興味が動機です。 特に置物などとは無縁で、もう20年程昔の話、新卒で入社した小さなイベント会社に勤めていた頃に過労で倒れ、復帰した日にぶっきらぼうな社長が自分の娘以上に年の離れた私に「大丈夫か

          ニワトリとショートブレッド

          全体を通して迂闊

          この世はたくさんのBeforeAfterであふれています。 日々目にするSNSでもBeforeAfterはありとあらゆる場面に用いられ、まるでサナギが美しい蝶になるような変化として、Afterがいかに素晴らしい未来なのかをインプットされているように感じます。 化粧前/化粧後、ヘアカット前/ヘアカット後、ダイエット器具使用前/使用後、健康サプリ飲用前/飲用後。 今よりもっと美しく、今よりもっと健康に、人間の飽くなき欲望を刺激する情報たち。 例に漏れず、私も本日ここでBe

          全体を通して迂闊