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2021年10月の記事一覧
綿野恵太『みんな政治でバカになる』はじめに
大きな反響を呼んでいます、綿野恵太さんの『みんな政治でバカになる』。この本の「はじめに」の部分を、読者のみなさまに向けて公開いたします。「バカ」の文字にイラっと来た方も、来なかった方も、この「はじめに」をお読みいただいて、著者の意図を汲み取っていただけるとさいわいです。
はじめに本書のタイトルは「みんな政治でバカになる」である。
「バカなんて許せない!」とイラッとした人も多いかもしれない。しかし
記憶の空白に備えるために|『ホロコースト最年少生存者たち』書評|宮田文久
【本稿は編集者・宮田文久さんによる寄稿です】
思わぬ声が、ページのあちらこちらから聞こえてくる。
「どこにもない。そう、居場所がどこにもないの」と1987年の時点で語ったのは、生後6カ月でフランス南部・ギュール収容所へ送られ、後に救出されたツィラ・Cだ。戦後を生き抜くために立ち返る、戦前の記憶をもたぬまま、成長していくということ。
あるいは、こんな声も聞こえる。
「私のなかで闘いが始まった
シエナ国際写真賞2021・受賞作品の発表
シエナ国際写真コンテストについては、昨年度も受賞作品をnoteで紹介しました。私のマガジン「国際写真コンテストの優秀作品」に収録されています。今年はさらにパワフルな作品が集まった気がいたします。
どのくらい力強いかって? こういう画像を前にするといつも、言葉は無力だと感じます。
「嘆き悲しむ移民の少女」ドキュメンタリー&フォトジャーナリズム部門の特別賞:
2020年2月3日にギリシャのレ
自分だったらウンソになんて言ってあげられるだろう?|『秘密を語る時間』著者インタビュー
2021年9月28日に、柏書房からク・ジョンイン著『秘密を語る時間』が発売されました。
本作は、中学生の主人公ウンソが子どもの頃に経験した出来事(トラウマ)を乗り越えていく過程を描いた作品。著者は、デビュー作『気分のない気分』が2019年韓国漫画映像振興院の優秀漫画に選定され、注目を集めています。初めての邦訳となる今作にも、各方面から賛辞が寄せられています。
「苦しみや悲しみは分かち合っ
魔法の靴を履きながら
私は左足に装具をつけて生活している。
先天性の神経疾患で、小学生になる前から徐々に足が変形してきた。
子どもの時、矯正手術後、固定用装具を装着。
装具は痛みもあり、嫌でつけずに無理して歩いていたら足の裏に負担がかかり深い傷ができて、ふさぐ手術をすることになった。
それ以降、足への負担を考え装具は欠かせず、今は完全な足の一部になった。
変形も進み、気づけば昔みたいに装具無しでは歩けなくなっ