ロシアのウクライナ侵攻を受けて、建築に何が可能か(『増補版 戦争と建築』)
大量の難民のための空間をどうするか
『サピエンス全史』(二〇一一年)で知られるユヴァル・ノア・ハラリは、人類の最悪の敵だった飢餓、疫病、戦争はもう克服しつつあると楽観的に論じていたが、残念ながら、世界はコロナ禍で覆い尽くされ、一人の政治家の暴走によって、ロシアの空域が閉鎖され、スポーツや芸術の世界から同国の選手が排除され、あっという間に冷戦下に戻ったかのような状況に突入した。アメリカによるイラク戦争のときもテレビの情報をいかに占拠するかは重要だったが、大きな違いは、現代はネ