ベンジャミン・クリッツァー著『モヤモヤする正義』まえがき
ネットを眺めたりテレビを見たり雑誌を読んだりしていると、「マイノリティばかり優遇されている」とか「フェミニストの横暴は目に余る」とかいった意見が目に入ってくる。「過剰なポリティカル・コレクトネス」は以前から騒がれていたし、最近ではキャンセル・カルチャーという言葉もすっかり定着した。こういった意見を言っている人たちは、だいたい以下のようなことを問題視しているようだ。
少数派ばかり配慮されて、多数派の意見や利益が無視されている。
些細なことや昔のことで有名人が炎上し、大量の非