からちゃん|島旅農園「ほとり」

「最近、一生懸命にごろ寝しましたか?」/農家民宿&ゲストハウスのオーナー in…

からちゃん|島旅農園「ほとり」

「最近、一生懸命にごろ寝しましたか?」/農家民宿&ゲストハウスのオーナー in 香川県丸亀市「さぬき広島」/観光学修士/宿泊予約はこちら→HP:https://shimatabi-hotori.wixsite.com/official

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私が島に移住した理由 ~旅を消費するだけでなく、旅を生産したい~

「旅」と向き合い続けること。 これが島に移住した理由を作ってくれました。 やはり旅に出たい一つ目の理由は、端的に、長期旅行に行きたいから。 長期旅行といっても、それは1週間では足りません。具体的に言うと短くても20日、理想は30日以上。 日本という国において30日連続の休暇は、都会で会社員をしたり、地方自治体で公務員の職に従事していては叶えられない夢です。 働くことよりも、休むことを考えているなんて、なんて浅はかなんだと思う人がいるかもしれません。 移住者であるならば

    • 私は彼を小馬鹿にせずにはいられない

      旧友とは過去形なのか、それとも今を含んだ現在完了系なのか。大学時代の旧友とコタツで話しながらそんなことを思った。 学生時代、互いを小馬鹿にしながらコミュケーションを取っていた。 ただ眼の前の彼は、私の知らない世界で大きく働き、私の知らない言語まで話すようになっている。 思うに、小馬鹿にできなくなったらその関係は過去形で、逆に小馬鹿に罵り合える限りは現在完了形である気がする。 「お前の辛辣な言葉さえも、もはや懐かしくて嬉しいわ」 と彼は言う。やはり私は彼を小馬鹿にせずに

      • 田舎で焦りながらも『ぼちぼちいこか』

        3月20日、島に渡る船が全便欠航になった。だから、翌日の午前中だけやって来られた。 「この絵本、懐かしいですね」 大阪出身だという20代の彼女は、大学を卒業以来、福井のとある町で地域医療に関わる仕事をしているという。 「都市部の大きな病院にそのまま就職するっていうのが、なんかしっくりこなくて。そのままでいいのかなみたいな」 そんな中、旅先で出会った人に紹介されてたどり着いた場所が福井だったらしい。 「仕事終わって、夜、恐ろしく暇なときありません?それで何もしてない・

        • 青春18きっぷに思いを馳せる 〜お客様との会話忘備録vo.1〜

          「雲仙の方には乗りたい電車があって行ったことあるんですよ」 愛知から来た60代のおじさまは柔和な笑顔が印象的だった。日本各地で車窓をぼーっと眺めるのが好きだという彼は、ときおり青春18きっぷで旅をするのだとか。 雲仙といえば長崎県。宿主の私も長崎も情報を頭の中からひねり出す。 「千綿駅のカレー屋、ほんとに日本一旨いです。たしか大村線ですね」 実はというと、私は全く電車に興味を持たないままに生きてきた。 しかし、なぜかここ数年、新幹線ではなく在来線でゆっくり移動するのも

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        • お客様とのあれやこれ
          5本
        • 旅エッセイ
          18本
        • こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど
          251本
        • ほとりのごはん
          50本
        • 香川本鷹レシピ
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        • 香川本鷹の話
          36本

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          私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

          昨年から地元の小学生が集まる施設でボランティアをしている。 そもそもはとある不登校の中学生との出会いだった。その子と話しているときに、その子含め何かしらの形で子どもの力になれればと思った。またシンプルに昔から子どもといる時間が好きだ。実際大学時代も児童を対象としたボランティア団体に顔を出していた。だから、私欲ではあるがそんな時間も欲しかった。 その施設に初めて伺ったとき、スタッフの一人から「なぜ子どもと関わりたいんですか?」と問われた。私はあの中学生のことを話した。またそれ

          私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

          インドで人生変わらなかった

          今日も布団から出るのに15分かかった。 夕方に流れるニュースでは、面長で珍しい苗字のお兄さんが今日もにこやかに笑っている。 インドに行く前も、そうだった。 28日間のインドから戻ると「人生変わりました?」と質問してくる人が沢山現れた。無論、彼らも冗談半分なのだろうが、あまりに依然と代わり映えのない毎日を送っていることにどこか申し訳無さすら覚える。 何も変わらないので、またハウスジャワカレーでカレーを作る。インドカレーより美味い。もうバスマティライスもチャパティも当分食べ

          インドで人生変わらなかった

          丁寧を添える暮らし

          「島で丁寧な暮らししてますよね〜」なんて言われ始めて早四年。とはいえ、私は未だに大盛りチャーハンも、空きっ腹にビールも好きです。 そんな私の昼食の定番はインスタントラーメン。最近は春なので花壇で爆発している葉物やネギも適当に放り込んでおります。 思うに私の生活は丁寧な暮らしではなく、丁寧を添える暮らしだと思うのです。インスタントラーメンに旬の野菜を入れるみたいなもんで。 たとえインスタントラーメンが体に悪いとしても、私はやっぱり食べたい。だから、今日も少しだけ丁寧をラー

          インドの大根畑と「目に映るすべてのことはメッセージ」

          ここ、大根畑なんだ。 そんな感動はタージマハルを見たときより大きかった。 私も、インドの人も大根を育てて食べている。それ以上でもそれ以下でもない事実が、なぜか嬉しい。 学生時代のある日「まだ分からないかもしれないけど、知性はセクシーだから、今のままの君で居てね」と言ってくれた人がいた。40歳手前だという彼とは旅先の沖縄で出会った。当時、私は大学院の修士課程を終えようとする頃だった。 30歳を目前にした今なら、私も少しわかる。 確かに、学ぶ人はセクシーだ。一方で、勉強しか

          インドの大根畑と「目に映るすべてのことはメッセージ」

          だから、何やねん 〜ガンジス川と『朝のリレー』に寄せて〜

          空は繋がっている、とあの歌は言う。 だから、何やねん。 いつの日だったか、カムチャッカの若者はきりんの夢を見ていた。そしてメキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている。 そんな彼らと小学校の教室で出会った。国語の教科書の硬い表紙の裏側に彼らは住んでいた。 当時、故郷の大阪に居た。小学生の私の空がどこかの空と繋がっているなんて露とも思わなかった。 というよりむしろ、空はもはや校区内に限られていた。あの川、あの交差点の向こうへ行ってはいけない。親も教師もそう言った。だから私の空

          だから、何やねん 〜ガンジス川と『朝のリレー』に寄せて〜

          100ルピーの笑顔

          ガンジス川に向かう階段を降ると、そこは陽だまりになっていた。朝のひだまりには、極端なまでに人に慣れた犬と、犬を人に慣れさせたインド人たちが集う。 ガンジス川の西側にはガートと呼ばれる階段上の沐浴場が84箇所続く。東から太陽が昇って沐浴場の裏手に沈むまで、ガートは常に日に照らされているのだった。 ガードに集まる人間はしたたかであり、愛を込めて換言すればちゃっかりしている。 無論、わかりやすく船賃をかさ増しする輩には辟易とする。ただ握手を求めてそのままマッサージ開始するおや

          友達100人できるかな?否、友達100人できたなら? 〜インド・シク教の無料食堂にて〜

          大人になったら友達なんてなかなかできないよね。 私も強くそう思う。事実、25歳で地元大阪から移り住んだ香川でできた友人は極めて少ない。 小学校に入ろうという頃は「ともだち100人できるかな?」なんて明るく歌ったのに。今、大人の私はというと、富士山で売られる食料の値を知っているし、私の学年はそもそも40人ほどだったいう事実に今更意気消沈している。 インド人はウザい、とインドへ来る前に多くの日本人から耳にした。 たしかに日本では考えられないテンションと距離感、すなわち仲の良

          友達100人できるかな?否、友達100人できたなら? 〜インド・シク教の無料食堂にて〜

          シク教と石鹸と平等と

          昔の記憶をたどると「匂いまで鮮明に蘇ってきた」なんて思うことがある。匂いすなわち嗅覚は視覚以上に我々を我々たらしめているのかもしれない。 しかし、そんな匂いについて日本は比較的穏便ないしは控えめであろう。香水も他国ほどど浸透していないし、柔軟剤も海外製品からしたらもはや無香料のようなものだ。 ーーー シク教総本山の黄金寺院に入るには、何人も手足の洗浄が必要らしい。 逆に言えば、手足さえ洗えば異教徒、外国人もみな平等に寺院に進入することができる。そのせいか守衛も異国の観

          ポップカルチャーから政治への反論と愛を込めて

          政治を語るとき、ポップカルチャーはどこか比較劣位に置かれてきたかもしれない。 それは例えば「たかが音楽で世界は変わらない」「政治は政治家にまかせておけ」といったような言説である。 かくいう私にとって一番身近なポップカルチャーは観光であるように思う。もちろん日々、音楽やアニメを楽しんだりもするが、一番心躍るのは「次はどこに行こうかな」なんて夢想するときだ。私にとって観光は私自身を形作り体現するものでもある。 ただ観光というものも例に漏れず「たかが観光」などと、やはり小馬鹿に

          ポップカルチャーから政治への反論と愛を込めて

          新しいものを探す目

          ボスニアの博物館で英語のキャプションを読めると気づいたとき、一所懸命に英語を勉強して本当によかったと思った。そのとき私は20歳だった。 昨年、27歳の私はウズベキスタンの博物館で「俺が一所懸命読むより、画像翻訳のほうが早くて正確じゃないか?」と思っていた。 そのとき、なんとなく海外旅行の価値が下がった。 私は割と海外旅行に出るほうだと思う。 ただ年々海外旅行で何を見たいだの、食べたいだのといった欲求がなくなりつつある気がしてならない。 また20カ国ほどを訪問してみた結果、

          インドで人生変わる前に

          生まれて初めて、旅行に出る前にその旅行に関する文章を書いている。 というのも、近々インドに行くからだ。 巷でも、そして私の友人界隈でも、インドに行くと人生が変わるなんて噂がある。果たして本当なのだろうか。まだ私は半信半疑である。ただ、もしや帰国したらカレー屋をはじめてしまったりするのでは・・・ ということで、私の人生がインドで変わったと仮定して、未来の自分に向かって文をしたためておこうと思う。いわば未来の自分に対する手紙だ。あぁ、青春(アラサー)。 ただもし本当に人生が変

          【能登半島地震支援・3月・1泊500円】正月休みをもう一度キャンペーン実施します

          この度の能登半島地震で被害に遭われました皆様には心よりお見舞い申し上げますことともに、皆様のご無事と安全を心よりお祈り申し上げます。 この度香川県丸亀市の弊宿では「正月休みをもう一度キャンペーン」と題して、対象者の方に3/1-3/31の期間、一泊500円(簡単な朝食・夕食付)でご宿泊いただければと思っております。※500円はサービス提供に係る最低原価程度とお考え下さい 弊宿ような不要不急の娯楽産業・観光産業が何かしらの形で力になれるとすれば「春になったら遊びに行こ」という

          【能登半島地震支援・3月・1泊500円】正月休みをもう一度キャンペーン実施します