折りたためるシューズボックス
SNSをみていると「折りたためるシューズボックス」という商品の宣伝が流れてきた。省スペースが一番のウリとのことだが、一度靴を置いた時点で二度と折りたたむことはないのだろうなと思う。この意味で省スペースなのは購入した店舗から家に持って帰るまでと、いつぞや引っ越しをしたときくらいであろう。まぁネットショッピングなら店から家に持って帰ることすらないのだけれど。
少し前の話になるが、電子レンジを新調した。本当にオーソドックスな形式である。すなわち、つまみを回して時間を調整するタイプ。以前は少しお高いタッチパネルやボタン式の電子レンジを使っていた。しかし、結局この程度の機能で事が足りるどころか一番使いやすかったりもする。そういえば魚も焼ける!とあの電子レンジは声高に叫んでいたが結局魚は焼かずに息絶えた。
便利だな、あるといいなと思うモノや機能はたくさんある。実際、もっと早く買えばよかったということもあるっちゃある。しかし、その多くは大抵なくてもよかったりするのだが。
「30歳までにしておくべきこと10選!」
「知らないと損する20のコト」
私はこういった謳い文句が好きではない。いくらそれが深層心理にとどろき、購買意欲や焦燥感をかき立てるとしても、なんとなくその恣意性が自身の正義感に反する気がするのだ。なぜなら、提示された損得がシューズラックが折りたためるか否かように、あってもなくてもいいことばかりだからだ。
よくよく考えれば、
自分を無理に好きになろうとしなくても、
少ない貯金を投資に回さなくても、
コンビニで貯めたポイントで旅行に行かなくても、
別にそれで損したこともない。無論「損しないように君もやってみなよ!」と誰かにおすすめしようとも思わない。
もし仮に誰かに何かを強いなければならないとしても、脳裏によぎるのは「たまには牛肉でも食べて、夜9時には寝れば」という程度である。
だからシューズラックは折りたためなくてもいい。
あ、そもそもシューズラックが欲しいわけでもなかった。
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