夕星みみ

好きな世界を広げたい。星空が好きな物書きです。ほんの少しでも、誰かの心を灯すことができ…

夕星みみ

好きな世界を広げたい。星空が好きな物書きです。ほんの少しでも、誰かの心を灯すことができたら。

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初日の出

空の玉手箱がひらくと 雲の煙がみるみるあふれ 白き光がみるみるみちて おおきな富士の頂きに うつくしき珠の姿 垂れた光の帯が 山肌を漆黒に染め上げ 輪郭を浮かび…

夕星みみ
4か月前
88

春愁のうた

もう、4月が終わるという。 一日一日だけを見つめて歩いていたから、ふと振り返り、連なった足跡に驚いている。 足跡の列は真っ直ぐとは言えなくて、ふらふらしながら、…

夕星みみ
6日前
52

ゆらりゆるれり

昨日の朝、久々に外を散歩した。 最近は花粉を浴びないよう極力外出を避けていたから、気ままに道を歩くことも、その先で何かに出会えることも、すべてが楽しくて心がはず…

夕星みみ
1か月前
62

夜のお茶会

こんばんは。 もしかして、夜のお散歩ですか? まだ眠くならないんですね。 私もです。 あの、紅茶はお好きですか? 実は、ちょうど淹れたてなんです。 一杯いかがで…

夕星みみ
2か月前
69

3月の泉

そうだ閏年だった、と思い出したのが28日の夜。 だから、29日はずっと余白のような心地で過ごしていた。 2月29日。 忘れられた片隅の冬が、ひそやかに集まって春を祝う。…

夕星みみ
2か月前
59

春の足音 #あの記事の後日談

節分が過ぎ、立春が過ぎ、バレンタインデーが過ぎていった。 あと少しで猫好きさんの喜ぶ日がやって来る。 2月が“逃げる”、いや、すり抜けていく。 一日ずつではなく一…

夕星みみ
2か月前
60

#54字の宴「チョコレート」

『54字の宴』に参加してみました。 素敵な企画をありがとうございました!🍫

夕星みみ
2か月前
49

2月の散歩道

地面を埋め尽くすほどの落ち葉をしずかにしずかに踏み分けて歩く。 踏み固められた土の通り道は、かろうじて見えたり見えなかったり。 土の道にはどんぐりもびっしり敷き…

夕星みみ
2か月前
57

冬を渡る

3日前の朝、近所で小鳥を見かけた。 初めて見た鳥だったので、嬉しくなって立ち止まりじっと観察した。 大きさは雀くらい。 お腹が鮮やかなオレンジ色で、頭の色はグレー…

夕星みみ
3か月前
101

おにぎりで始める1年

先週の仕事始めのお弁当は、おにぎりを2つ持っていった。 小さな丸っこい三角形に、海苔をぺたりと貼って。 普段はお弁当箱にご飯とおかずを詰めるスタイルだけど、ゆっ…

夕星みみ
3か月前
57

思い出の日向ぼっこ

2023年が終わるまであと少し。 余韻みたいな狭間の時間を、まったりと漂っている。 まるで透明なゼリーみたいだと思う。 どこまで食べ進めたか分からなくなりそうだから、…

夕星みみ
4か月前
78

空想~星空のカフェ~

おすすめはウィンナーコーヒー ふんわり雲のクリームをのせて 半月のスプーンでまぜてみて おだやかな色が重なり合い 美しい層をなす 大きな渦が生まれたら カップの…

夕星みみ
4か月前
70

最近noteをゆっくり読む時間が作れず...。
12月に入り、考えること・やるべきことが増えて、時間管理が上手くできていません💦

作品を読んでくださるみなさま、スキやフォロー、マガジンへの追加までしてくださるみなさま、いつも感謝しております...!ありがとうございます✨

夕星みみ
4か月前
52

今朝の星々 -3つの光-

早朝にぱちりと目が覚めた。 久しぶりに金星を見たくなって、窓を開ける。 夜の氷が溶けゆく空に、刺すようなするどい輝きを放つ金星の姿があった。 いつ見ても変わらな…

夕星みみ
4か月前
64

朝の遊園地

-12月、最初の日曜日。 開園前の遊園地を訪れた。 公園内に昔からある遊園地で、数年前にリニューアルオープンした。 一部の古いアトラクションが入れ替わり、人気のア…

夕星みみ
5か月前
51

イチョウとリボン

◇11:00 友達と待ち合わせている。 学生時代の友人で、先週末にも会ったばかりだ。 2週も連続で会うなんて、毎日のように顔を合わせていた学生の頃だって無かったかもし…

夕星みみ
5か月前
69
初日の出

初日の出

空の玉手箱がひらくと

雲の煙がみるみるあふれ

白き光がみるみるみちて

おおきな富士の頂きに

うつくしき珠の姿

垂れた光の帯が

山肌を漆黒に染め上げ

輪郭を浮かび上がらせる

数多の光の矢が

新年を祝福するように一斉に解き放たれて

草木を目覚めさせ

湖をかがやかせ

やがて太き黄金の腕へと変わり

ぐんぐん空を押し上げる

私と目が合うと

この小さな心も

やわらかく押し広げた

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春愁のうた

春愁のうた

もう、4月が終わるという。

一日一日だけを見つめて歩いていたから、ふと振り返り、連なった足跡に驚いている。

足跡の列は真っ直ぐとは言えなくて、ふらふらしながら、それでも途切れずここまで繋がっている。

よく見ると、踵やつま先が欠けているもの、くっきりと溝が深いもの、ななめを向いているもの、重なり合っているもの、へなちょこなスキップをしかけているものや、大股で行こうとして逆に慎重になってしまった

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ゆらりゆるれり

ゆらりゆるれり

昨日の朝、久々に外を散歩した。

最近は花粉を浴びないよう極力外出を避けていたから、気ままに道を歩くことも、その先で何かに出会えることも、すべてが楽しくて心がはずんだ。

花を見かけ、空を仰ぎ、太陽に目を細める。

毛並みをなびかせてしっぽを大きく振りながら歩く犬とすれ違ったり、鳥がスキップするように目の前を横切ったり、流れる雲を窓枠に遮られずにどこまでも眺めたり、木々の間にチラチラと瞬く日の光を

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夜のお茶会

夜のお茶会

こんばんは。

もしかして、夜のお散歩ですか?

まだ眠くならないんですね。

私もです。

あの、紅茶はお好きですか?

実は、ちょうど淹れたてなんです。

一杯いかがですか?

このティーカップ、私のお気に入りなんです。

晴れている夜は、このカップの水面に、ゆらゆら星が浮かぶんですよ。

月が出ている日は、紅茶が金色にかがやいて特別な気分になれます。

お腹は空いていませんか?

実は、クッ

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3月の泉

3月の泉

そうだ閏年だった、と思い出したのが28日の夜。
だから、29日はずっと余白のような心地で過ごしていた。

2月29日。

忘れられた片隅の冬が、ひそやかに集まって春を祝う。

めざましい3月。
あぁ、とうとう3月が来たのだ。

職場で、お別れする方々がいる。
その中には何年も一緒に働いた、友人のような仲間も。
感謝を伝えて見送りたい。

本格的な春の到来、そして年度末でもある。
落ち着いて過ごせる

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 春の足音 #あの記事の後日談

春の足音 #あの記事の後日談

節分が過ぎ、立春が過ぎ、バレンタインデーが過ぎていった。
あと少しで猫好きさんの喜ぶ日がやって来る。

2月が“逃げる”、いや、すり抜けていく。
一日ずつではなく一週間飛ばしで進んでいる感覚に陥る。

この間ふと俳句を詠みたくなり、浮かんだ情景にはまる言葉を探していたら、こんな言葉を知った。

“春浅し”。

暦は春を迎えてもまだ冬の気配が残っている、2月上旬から半ばごろまでを指す季語のひとつらし

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#54字の宴「チョコレート」

#54字の宴「チョコレート」

『54字の宴』に参加してみました。
素敵な企画をありがとうございました!🍫

2月の散歩道

2月の散歩道

地面を埋め尽くすほどの落ち葉をしずかにしずかに踏み分けて歩く。

踏み固められた土の通り道は、かろうじて見えたり見えなかったり。

土の道にはどんぐりもびっしり敷き詰められていて、去年の秋にさまざまな形のどんぐりの雨が降っていたことを思い出す。
ちなみにこの辺りは、夜にタヌキが集会を開いているとかいないとか。

枯葉が光に照らされて、あるいは影になって濃淡が混ざりあい美しい。
赤みがかった鴇色、灰

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冬を渡る

冬を渡る

3日前の朝、近所で小鳥を見かけた。

初めて見た鳥だったので、嬉しくなって立ち止まりじっと観察した。

大きさは雀くらい。
お腹が鮮やかなオレンジ色で、頭の色はグレー。

家の柵に止まっていたその子は、つっ、と地面に飛び下りると、何かを啄むようにぴょこぴょこ頭を動かした。

こちらに背中側を向けたとき、ぴたりと閉じた黒っぽい両羽に白いもようが入っているのが見えた。

尾にかけてすぼまった羽もようが

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おにぎりで始める1年

おにぎりで始める1年

先週の仕事始めのお弁当は、おにぎりを2つ持っていった。

小さな丸っこい三角形に、海苔をぺたりと貼って。

普段はお弁当箱にご飯とおかずを詰めるスタイルだけど、ゆっくりお昼ご飯を食べる時間など無いかもしれないことが予測できたので、どんな状況でも楽に食べられるものを、とおにぎりを選んだ。

味は鮭とかツナマヨみたいな定番のものではなく、前日に用意しておいたおかずを具として詰め込むオリジナル。
2つそ

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思い出の日向ぼっこ

思い出の日向ぼっこ

2023年が終わるまであと少し。
余韻みたいな狭間の時間を、まったりと漂っている。
まるで透明なゼリーみたいだと思う。
どこまで食べ進めたか分からなくなりそうだから、小まめに時計を確認している。振り子のようにスプーンを動かしながら、迎えるべきラストの一口を待っている。

少しだけ張り切って大掃除をしたせいか、元々この季節にやられやすい喉が真っ先に隙を突かれて、年末の二日間は予定外にのんびりと過ごす

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空想~星空のカフェ~

空想~星空のカフェ~

おすすめはウィンナーコーヒー

ふんわり雲のクリームをのせて

半月のスプーンでまぜてみて

おだやかな色が重なり合い

美しい層をなす

大きな渦が生まれたら

カップの中に“木星”の出来上がり

もしも紅茶がお好きなら

“火星”色のアップルティー

お好みで満月のレモンを添えて

茶葉の種類はたくさんあるけれど

今宵のおすすめは“プレアデス星団”

若い星々ならではの

ふわりと浮かぶ青色

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最近noteをゆっくり読む時間が作れず...。
12月に入り、考えること・やるべきことが増えて、時間管理が上手くできていません💦

作品を読んでくださるみなさま、スキやフォロー、マガジンへの追加までしてくださるみなさま、いつも感謝しております...!ありがとうございます✨

今朝の星々 -3つの光-

今朝の星々 -3つの光-

早朝にぱちりと目が覚めた。

久しぶりに金星を見たくなって、窓を開ける。

夜の氷が溶けゆく空に、刺すようなするどい輝きを放つ金星の姿があった。
いつ見ても変わらない、黄金色の美しい輝き。

近くには春の乙女星スピカが、ほの白く灯っている。

眩いヴィーナス“金星”と、清らかな乙女“スピカ”。

対照的なふたつの光にそれぞれ女性像を描きつつ、金星の下の方に目線を移していく。

次にさがしたいのは、

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朝の遊園地

朝の遊園地

-12月、最初の日曜日。
開園前の遊園地を訪れた。

公園内に昔からある遊園地で、数年前にリニューアルオープンした。

一部の古いアトラクションが入れ替わり、人気のアトラクションは面影を残しつつ、全体としてスタイリッシュなデザインになっている。

アトラクションだけでなく、壁や看板など園内のすべてがカラフルに塗りかえられ、昔の姿を知る私にとってはまるで別の遊園地かのように見えてしまう。

それでい

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イチョウとリボン

イチョウとリボン

◇11:00

友達と待ち合わせている。
学生時代の友人で、先週末にも会ったばかりだ。

2週も連続で会うなんて、毎日のように顔を合わせていた学生の頃だって無かったかもしれない。
(人と出かけるとわりと疲れてしまうタイプなので、昔から予定を詰めすぎないよう
調整している。)

とある施設のロビー。
老若男女誰でも利用できる施設で、まだ午前中だからか利用者の姿は少ない。
眼鏡をかけた女性が柱にもたれ

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