夕星みみ

好きな世界を広げたい。星空が好きな物書きです。ほんの少しでも、誰かの心を灯すことができ…

夕星みみ

好きな世界を広げたい。星空が好きな物書きです。ほんの少しでも、誰かの心を灯すことができたら。

マガジン

  • うさぎのおみみ🌱

    日々のこと。私なりに感じたこと。 おさんぽ気分で、読んでいただけたら嬉しいです⛅

  • きらきら星

    大好きな星空のこと。 これを読んだあなたが、美しい星空に出会えますように🌠

  • うさぎのおくち🥕

    食べることが好きです。 食べ物のことを書いた記事をまとめました。

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初日の出

空の玉手箱がひらくと 雲の煙がみるみるあふれ 白き光がみるみるみちて おおきな富士の頂きに うつくしき珠の姿 垂れた光の帯が 山肌を漆黒に染め上げ 輪郭を浮かび上がらせる 数多の光の矢が 新年を祝福するように一斉に解き放たれて 草木を目覚めさせ 湖をかがやかせ やがて太き黄金の腕へと変わり ぐんぐん空を押し上げる 私と目が合うと この小さな心も やわらかく押し広げた あおい湖面で光がはねる 富士からつづく白き道が ゆらめいて白き影となり

    • ゆらりゆるれり

      昨日の朝、久々に外を散歩した。 最近は花粉を浴びないよう極力外出を避けていたから、気ままに道を歩くことも、その先で何かに出会えることも、すべてが楽しくて心がはずんだ。 花を見かけ、空を仰ぎ、太陽に目を細める。 毛並みをなびかせてしっぽを大きく振りながら歩く犬とすれ違ったり、鳥がスキップするように目の前を横切ったり、流れる雲を窓枠に遮られずにどこまでも眺めたり、木々の間にチラチラと瞬く日の光を見つけたり。 立ち止まったりかがんだり早足になってみたりするたびに、先月末に切

      • 夜のお茶会

        こんばんは。 もしかして、夜のお散歩ですか? まだ眠くならないんですね。 私もです。 あの、紅茶はお好きですか? 実は、ちょうど淹れたてなんです。 一杯いかがですか? このティーカップ、私のお気に入りなんです。 晴れている夜は、このカップの水面に、ゆらゆら星が浮かぶんですよ。 月が出ている日は、紅茶が金色にかがやいて特別な気分になれます。 お腹は空いていませんか? 実は、クッキーを焼いたんです。 甘すぎないように調整してあります。 さぁ、遠慮無く召し

        • 3月の泉

          そうだ閏年だった、と思い出したのが28日の夜。 だから、29日はずっと余白のような心地で過ごしていた。 2月29日。 忘れられた片隅の冬が、ひそやかに集まって春を祝う。 めざましい3月。 あぁ、とうとう3月が来たのだ。 職場で、お別れする方々がいる。 その中には何年も一緒に働いた、友人のような仲間も。 感謝を伝えて見送りたい。 本格的な春の到来、そして年度末でもある。 落ち着いて過ごせる日は少なくなるだろうから、今のうちに2月を振り返ることにする。 “変化”が多い

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          春の足音 #あの記事の後日談

          節分が過ぎ、立春が過ぎ、バレンタインデーが過ぎていった。 あと少しで猫好きさんの喜ぶ日がやって来る。 2月が“逃げる”、いや、すり抜けていく。 一日ずつではなく一週間飛ばしで進んでいる感覚に陥る。 この間ふと俳句を詠みたくなり、浮かんだ情景にはまる言葉を探していたら、こんな言葉を知った。 “春浅し”。 暦は春を迎えてもまだ冬の気配が残っている、2月上旬から半ばごろまでを指す季語のひとつらしい。 立春を過ぎて数日は、たしかに冬らしい寒さを感じていた気もする。 でもこの

          春の足音 #あの記事の後日談

          #54字の宴「チョコレート」

          『54字の宴』に参加してみました。 素敵な企画をありがとうございました!🍫

          #54字の宴「チョコレート」

          2月の散歩道

          地面を埋め尽くすほどの落ち葉をしずかにしずかに踏み分けて歩く。 踏み固められた土の通り道は、かろうじて見えたり見えなかったり。 土の道にはどんぐりもびっしり敷き詰められていて、去年の秋にさまざまな形のどんぐりの雨が降っていたことを思い出す。 ちなみにこの辺りは、夜にタヌキが集会を開いているとかいないとか。 枯葉が光に照らされて、あるいは影になって濃淡が混ざりあい美しい。 赤みがかった鴇色、灰色がかった栗鼠色。木の葉の万華鏡を作って持ち歩いていたい。 落ち葉を踏んで歩く

          2月の散歩道

          冬を渡る

          3日前の朝、近所で小鳥を見かけた。 初めて見た鳥だったので、嬉しくなって立ち止まりじっと観察した。 大きさは雀くらい。 お腹が鮮やかなオレンジ色で、頭の色はグレー。 家の柵に止まっていたその子は、つっ、と地面に飛び下りると、何かを啄むようにぴょこぴょこ頭を動かした。 こちらに背中側を向けたとき、ぴたりと閉じた黒っぽい両羽に白いもようが入っているのが見えた。 尾にかけてすぼまった羽もようが、まるで着物の裾のように見えて、雅やかな雰囲気を感じさせた。 オレンジ、グレー

          冬を渡る

          おにぎりで始める1年

          先週の仕事始めのお弁当は、おにぎりを2つ持っていった。 小さな丸っこい三角形に、海苔をぺたりと貼って。 普段はお弁当箱にご飯とおかずを詰めるスタイルだけど、ゆっくりお昼ご飯を食べる時間など無いかもしれないことが予測できたので、どんな状況でも楽に食べられるものを、とおにぎりを選んだ。 味は鮭とかツナマヨみたいな定番のものではなく、前日に用意しておいたおかずを具として詰め込むオリジナル。 2つそれぞれ違うものを詰めてみた。 ちなみに私がおにぎりを作るときは、型を使わない。

          おにぎりで始める1年

          思い出の日向ぼっこ

          2023年が終わるまであと少し。 余韻みたいな狭間の時間を、まったりと漂っている。 まるで透明なゼリーみたいだと思う。 どこまで食べ進めたか分からなくなりそうだから、小まめに時計を確認している。振り子のようにスプーンを動かしながら、迎えるべきラストの一口を待っている。 少しだけ張り切って大掃除をしたせいか、元々この季節にやられやすい喉が真っ先に隙を突かれて、年末の二日間は予定外にのんびりと過ごすことになってしまった。 実家の家族との諍いをこじらせすぎて、慣れない怒声を放っ

          思い出の日向ぼっこ

          空想~星空のカフェ~

          おすすめはウィンナーコーヒー ふんわり雲のクリームをのせて 半月のスプーンでまぜてみて おだやかな色が重なり合い 美しい層をなす 大きな渦が生まれたら カップの中に“木星”の出来上がり もしも紅茶がお好きなら “火星”色のアップルティー お好みで満月のレモンを添えて 茶葉の種類はたくさんあるけれど 今宵のおすすめは“プレアデス星団” 若い星々ならではの ふわりと浮かぶ青色の輝きが美しい 銀河の小瓶には星のお砂糖 さらさら ふりかければ きらきら

          空想~星空のカフェ~

          最近noteをゆっくり読む時間が作れず...。 12月に入り、考えること・やるべきことが増えて、時間管理が上手くできていません💦 作品を読んでくださるみなさま、スキやフォロー、マガジンへの追加までしてくださるみなさま、いつも感謝しております...!ありがとうございます✨

          最近noteをゆっくり読む時間が作れず...。 12月に入り、考えること・やるべきことが増えて、時間管理が上手くできていません💦 作品を読んでくださるみなさま、スキやフォロー、マガジンへの追加までしてくださるみなさま、いつも感謝しております...!ありがとうございます✨

          今朝の星々 -3つの光-

          早朝にぱちりと目が覚めた。 久しぶりに金星を見たくなって、窓を開ける。 夜の氷が溶けゆく空に、刺すようなするどい輝きを放つ金星の姿があった。 いつ見ても変わらない、黄金色の美しい輝き。 近くには春の乙女星スピカが、ほの白く灯っている。 眩いヴィーナス“金星”と、清らかな乙女“スピカ”。 対照的なふたつの光にそれぞれ女性像を描きつつ、金星の下の方に目線を移していく。 次にさがしたいのは、月。 細い月、金星、そしてスピカが、この空で共演するという。 調べると、今朝

          今朝の星々 -3つの光-

          朝の遊園地

          -12月、最初の日曜日。 開園前の遊園地を訪れた。 公園内に昔からある遊園地で、数年前にリニューアルオープンした。 一部の古いアトラクションが入れ替わり、人気のアトラクションは面影を残しつつ、全体としてスタイリッシュなデザインになっている。 アトラクションだけでなく、壁や看板など園内のすべてがカラフルに塗りかえられ、昔の姿を知る私にとってはまるで別の遊園地かのように見えてしまう。 それでいてほとんどのアトラクションが、仕様は変わらないまま、昔と同じ位置に配置されている

          朝の遊園地

          イチョウとリボン

          ◇11:00 友達と待ち合わせている。 学生時代の友人で、先週末にも会ったばかりだ。 2週も連続で会うなんて、毎日のように顔を合わせていた学生の頃だって無かったかもしれない。 (人と出かけるとわりと疲れてしまうタイプなので、昔から予定を詰めすぎないよう 調整している。) とある施設のロビー。 老若男女誰でも利用できる施設で、まだ午前中だからか利用者の姿は少ない。 眼鏡をかけた女性が柱にもたれかかるようにして誰かを待ち合わせていたり、高齢の男性同士が丸テーブルで身ぶり手ぶ

          イチョウとリボン

          月の小舟

          月の小舟が夜を漕ぐ。 目覚めと眠りを繰り返していたら 見えているものや目指している場所が いつの間にか、それぞれに、 変わっていた。 今はひとりだけの地図を手にして 方位磁針をくるくると回している。 広い海原で偶然出会ったあの舟は 一緒に旅したことはあっても、 やはり別の舟だった。 あるいは増えて、あるいは減って 気付けば大きくはなれていた。 元々、違っていたものたちだ。 舟の素材も、荷物の重さも くぐり抜けた波の数とその高さも。 空の色、風の音、 潮の香りや舟