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うさぎのおみみ🌱

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日々のこと。私なりに感じたこと。 おさんぽ気分で、読んでいただけたら嬉しいです⛅
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記事一覧

春愁のうた

春愁のうた

もう、4月が終わるという。

一日一日だけを見つめて歩いていたから、ふと振り返り、連なった足跡に驚いている。

足跡の列は真っ直ぐとは言えなくて、ふらふらしながら、それでも途切れずここまで繋がっている。

よく見ると、踵やつま先が欠けているもの、くっきりと溝が深いもの、ななめを向いているもの、重なり合っているもの、へなちょこなスキップをしかけているものや、大股で行こうとして逆に慎重になってしまった

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ゆらりゆるれり

ゆらりゆるれり

昨日の朝、久々に外を散歩した。

最近は花粉を浴びないよう極力外出を避けていたから、気ままに道を歩くことも、その先で何かに出会えることも、すべてが楽しくて心がはずんだ。

花を見かけ、空を仰ぎ、太陽に目を細める。

毛並みをなびかせてしっぽを大きく振りながら歩く犬とすれ違ったり、鳥がスキップするように目の前を横切ったり、流れる雲を窓枠に遮られずにどこまでも眺めたり、木々の間にチラチラと瞬く日の光を

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3月の泉

3月の泉

そうだ閏年だった、と思い出したのが28日の夜。
だから、29日はずっと余白のような心地で過ごしていた。

2月29日。

忘れられた片隅の冬が、ひそやかに集まって春を祝う。

めざましい3月。
あぁ、とうとう3月が来たのだ。

職場で、お別れする方々がいる。
その中には何年も一緒に働いた、友人のような仲間も。
感謝を伝えて見送りたい。

本格的な春の到来、そして年度末でもある。
落ち着いて過ごせる

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 春の足音 #あの記事の後日談

春の足音 #あの記事の後日談

節分が過ぎ、立春が過ぎ、バレンタインデーが過ぎていった。
あと少しで猫好きさんの喜ぶ日がやって来る。

2月が“逃げる”、いや、すり抜けていく。
一日ずつではなく一週間飛ばしで進んでいる感覚に陥る。

この間ふと俳句を詠みたくなり、浮かんだ情景にはまる言葉を探していたら、こんな言葉を知った。

“春浅し”。

暦は春を迎えてもまだ冬の気配が残っている、2月上旬から半ばごろまでを指す季語のひとつらし

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2月の散歩道

2月の散歩道

地面を埋め尽くすほどの落ち葉をしずかにしずかに踏み分けて歩く。

踏み固められた土の通り道は、かろうじて見えたり見えなかったり。

土の道にはどんぐりもびっしり敷き詰められていて、去年の秋にさまざまな形のどんぐりの雨が降っていたことを思い出す。
ちなみにこの辺りは、夜にタヌキが集会を開いているとかいないとか。

枯葉が光に照らされて、あるいは影になって濃淡が混ざりあい美しい。
赤みがかった鴇色、灰

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冬を渡る

冬を渡る

3日前の朝、近所で小鳥を見かけた。

初めて見た鳥だったので、嬉しくなって立ち止まりじっと観察した。

大きさは雀くらい。
お腹が鮮やかなオレンジ色で、頭の色はグレー。

家の柵に止まっていたその子は、つっ、と地面に飛び下りると、何かを啄むようにぴょこぴょこ頭を動かした。

こちらに背中側を向けたとき、ぴたりと閉じた黒っぽい両羽に白いもようが入っているのが見えた。

尾にかけてすぼまった羽もようが

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思い出の日向ぼっこ

思い出の日向ぼっこ

2023年が終わるまであと少し。
余韻みたいな狭間の時間を、まったりと漂っている。
まるで透明なゼリーみたいだと思う。
どこまで食べ進めたか分からなくなりそうだから、小まめに時計を確認している。振り子のようにスプーンを動かしながら、迎えるべきラストの一口を待っている。

少しだけ張り切って大掃除をしたせいか、元々この季節にやられやすい喉が真っ先に隙を突かれて、年末の二日間は予定外にのんびりと過ごす

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朝の遊園地

朝の遊園地

-12月、最初の日曜日。
開園前の遊園地を訪れた。

公園内に昔からある遊園地で、数年前にリニューアルオープンした。

一部の古いアトラクションが入れ替わり、人気のアトラクションは面影を残しつつ、全体としてスタイリッシュなデザインになっている。

アトラクションだけでなく、壁や看板など園内のすべてがカラフルに塗りかえられ、昔の姿を知る私にとってはまるで別の遊園地かのように見えてしまう。

それでい

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イチョウとリボン

イチョウとリボン

◇11:00

友達と待ち合わせている。
学生時代の友人で、先週末にも会ったばかりだ。

2週も連続で会うなんて、毎日のように顔を合わせていた学生の頃だって無かったかもしれない。
(人と出かけるとわりと疲れてしまうタイプなので、昔から予定を詰めすぎないよう
調整している。)

とある施設のロビー。
老若男女誰でも利用できる施設で、まだ午前中だからか利用者の姿は少ない。
眼鏡をかけた女性が柱にもたれ

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本当はお喋りな自分

本当はお喋りな自分

頭が一番お喋りで、次は指。

どんなに疲れていても脳内の呟きは止まないし、何にもやる気が出ない時も指が勝手に文字を書き連ねていることがある。

(「書けない」と思いつつ書き出した一文も、気付けばこうして数行に増えた。
このあとも長々と文章が続くので、お時間があればお付き合いいただけたらと思います。)

感情が、知らないうちに顔に出ていることがある。

人に指摘されて「出ていたのか...!」と気付く

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書けないままに

書けないままに

書こうとしてはやめて、書こうとしてはやめて。

頭の中だけなら何とか文を繋げられるのだけど、いざ書き出そうとスマホのメモを取り出すと、駄目になる。

主語が、助詞が、接続詞が、風にのった糸のようにふらふらと泳いでは、ふにゃあと湯気のように崩れて消える。

数字や活字、人の心、季節の流れ、空だって、ちゃんと見て何かを感じているはずなのに。

原因は、少し分かっている。

合否はまだ出ていないけれど、

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運動会の朝に

運動会の朝に

6時、土曜日の朝。
まだ鳥の声しか聞こえない住宅街に空砲が響く。近くの小学校で今日は運動会が開かれるらしい。

練習の成果を発揮させ、時には闘い時には協力しながら、子どもたちが汗と魂をぶつけ合う。見守る大人たちの声援にも熱が入り、会場はますます盛り上がりを見せる。

朝からそんな想像をして、心が和んだ。

賑やかで、華やかな運動会。

まわりの人たちの話を聞いてみると、コロナ禍で失っていた光景を少

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秋めく

秋めく

毛布が気持ちよい季節になって、朝に布団から離れるのが億劫......のはずが、そうでもない。

今朝も、冬の星や金星を見たさに、すぐに布団を剥いで冷たい窓に手をかけた。
細い月と金星の並びが美しかった。

星を知るようになってから、“早朝”は私にとって憧れの時間帯になった。

人々が寝静まっている間、次の季節の星座たちが南の大広間でひっそりと宴をひらく。
まだ会えないと思っていた惑星が、ひょっこり

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秋色の雨

秋色の雨

ぱらぱら、ぽつ、ぽつ

広い公園を散歩していると、頭の上から音が降ってきた。
生い茂る葉に何かがぶつかった音。

雨?

一瞬そう思ったが、足下を見て別の答えに気づく。

ドングリ......!

コンクリートの歩道には、至るところにドングリの粒が落ちていた。避けて歩こうとしてもパキパキと割ってしまう。
歩道の脇、大きな木々が並んだ土の上には、それはもう数え切れないくらいのドングリがぎゅうぎゅう寄

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