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ディスクレビュー

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#備忘録

2023年ベストアルバム トップ20

2023年ベストアルバム トップ20

今年はびしっと厳選して20枚で1年を総括。ライブカルチャーの復権と揺れる世界、喜びも悲しみも猛スピードで切り替わる時流の中で、この音楽を聴いてる間はきっと大丈夫だ、と思えたアルバムを選びました。

20位 ROTH BART BARON『8』

三船雅也がドイツに拠点を移してからの1作目。ここしばらく毎年凄まじいアルバムをリリースし続てけいるが、本作はまた違う場所へ飛ぼうとする萌芽を感じた。エレキ

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2023年上半期ベストアルバム トップ10

2023年上半期ベストアルバム トップ10

例年よりは遅れてしまったけれども、今年も上半期ベストnoteを書き上げることができた。良い歌モノとの出会いのきっかけになればこれ幸い。どのアルバムも、すごく優しい、というのは共通点かもしれない。心に寄り添うという作品が年々好きになっている。下半期も、音楽に抱えられていきたい。

10位 クラムボン『添春編』

蛙化現象という言葉がZ世代の流行語であり、しかもそれがYouTuberの動画を基に流行し

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For Tracy Hydeの解散を考える/セカイから世界へ

For Tracy Hydeの解散を考える/セカイから世界へ

トレイシー・ハイドという子役が出演した1971年のイギリス映画『小さな恋のメロディ』を初めて観たのはFor Tracy Hydeの大傑作アルバム『New Young City』(2019)を聴いてしばらく経った後だった。当時の年間ベストアルバムにも選んだバンド名に関連してる人物の映画なのだから、さぞこのバンドの根源に繋がる作品だろうと思っていたが、観終わった後にバンド名の由来はWondermint

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変わらない自分と救われるpsykhē〜カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』

変わらない自分と救われるpsykhē〜カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』

4枚目の境地1月25日にリリースされたカネコアヤノの新アルバム『タオルケットは穏やかな』はその題からイメージしていたぬくぬくとした空気感もあるが、全体を通してロックミュージックとしてのタフな強さが印象深い。そして演奏陣を固めてからの『祝祭』以降3作とはやや異なる雰囲気を纏う1作に思えた。

2018年からバンドでドラムを担当していたBob(HAPPY)がメンバーを離れ、本作では新たに2名のドラマー

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2022年 ベストアルバム トップ50

2022年 ベストアルバム トップ50

2022年のよかったアルバムを50枚、ランキング化。5年間50枚を選び続けててこれいつまで続けられるのか、って感じなのだけども、いいアルバムが多いんだから仕方ない。とはいえ、トップ50っていうのは一区切りかもしれないなぁと。もうちょっと絞って愛聴する方向に自分を持っていくのもアリかな、と思ってます。現状はね!ひとまず、今年の分は全力で推しておきます!

50位 えんぷてい『QUIET FRIEND

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2012 to 2022〜10年分の年間ベストアルバムトップ10を振り返る

2012 to 2022〜10年分の年間ベストアルバムトップ10を振り返る

「2012 to 2022」をやろうと思ったのは、自分が意識的に多くのカルチャーに触れようとし始めたのが2012年だったことに由来しているので、"年間ベストアルバム"というのも2012年から勝手に書き留めていました。今回の記事は2012年~2021年までの10年間の年間ベストアルバムトップ10を総まとめ。

2012年ベストアルバム

1位 クリープハイプ 『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』

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Base Ball Bear、3度目の武道館にいたる探究の10年〜2012 to 2022

Base Ball Bear、3度目の武道館にいたる探究の10年〜2012 to 2022

2022年11月10日、Base Ball Bearの結成20周年イヤー最終日にバンド史上3回目となる日本武道館ライブが開催される。メジャーデビューから4年足らずでの1度目の武道館(2010.13)、結成10周年記念の2度目の武道館(2012.1.3)から約11年ぶり。ニコ生のライブ映像実況などで、メンバーはたびたび「また武道館やりたい」と口にしており、ファンとしても待望の公演であった。

ちょう

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2012 to 2022〜『ランドマーク』10周年、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアイデア力とパッケージ力を考える

2012 to 2022〜『ランドマーク』10周年、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアイデア力とパッケージ力を考える

アジカンについて全アルバムについて語るポッドキャストをやったり、アジカンとベボベの対バンに向けて全アルバムを聴き返したりしながら思ったのがアジカンの2010年代に入ってからの作品のパッケージ力、つまりまとめ方だったりリリースの手法が凄く面白いということ。またそれを生み出すアイデア自体がまずもってとてもユニークということにも同時に気づいた。

2000年代もタイアップシングルを見事にストーリーに絡め

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2022年上半期ベストトラック 10

2022年上半期ベストトラック 10

ベストアルバム10で選んだ作品の収録曲は選外としてセレクト。曲単位での好みは相変わらず。良いメロディに芯のある言葉が乗っていてグッとくる、というこの3点。口ずさんであぁいいなぁと思えるような曲がとても好き。

10位 My Hair is Bad「歓声をさがして」

何が好きなのか、それすらも誰かに決められそうな息苦しい時代に僕らが何を選んだっていい、何にドキドキしたっていいと歌ってくれる頼もしさ

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2022年上半期ベストアルバム 10

2022年上半期ベストアルバム 10

毎年恒例の上半期ベスト。名古屋に住み始めて通勤が車になったのでわんさか新譜も聴けるようになった上半期。トップ10は迷うことなく決められた。例外もあるけど全体的に質量のずっしりした作品が揃った印象。でたらめに長けりゃあいいって話では決してないのだけど、たっぷり聴けてしっかり心に残るアルバムというのが今の気分には合っていたのかな、と思ってる。

10位 羊文学『our hope』

メジャー2ndアル

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最近観た旧作の感想メモ(2022年4月分)

最近観た旧作の感想メモ(2022年4月分)

サバイバルファミリー(Amazon Prime)

仙台に旅行しようしてた(結果諦めましたが)時、仙台ロケの映画を求めて観た1本。矢口史靖監督は「ハッピーフライト」が大好きでそれ以外はそこそこ、くらいの感じだったけどこれはだいぶ面白かった。思ってる以上にちゃんと深刻に描写されるし、ちゃんと人は死ぬということを予感させてくれる。沈没しないver.の「日本沈没」的な、ジョークの機能しない深刻さ。僕も困

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”分かり合えなさ“への抵抗〜ASIAN KUNG-FU GENERATION『プラネットフォークス』

”分かり合えなさ“への抵抗〜ASIAN KUNG-FU GENERATION『プラネットフォークス』

心荒むことの多い時代だ。2020年の2月からより浮き彫りになっただけで、それよりもずっと前から価値観で傷つけ合い、思想で燃やし合うような日々は常に目の前に横たわっていた。そんな世界にあって、後戻りできない断絶とコミュニケーションの可能性を描いた濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞したほか、世界中で評価されたことは1つの象徴的な出来事のように思う。言語

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[Real Sound寄稿記事]羊文学が今、多方面で注目を集める背景

[Real Sound寄稿記事]羊文学が今、多方面で注目を集める背景

Real Soundに52回目の寄稿をしました。着実に支持層を広げてきた羊文学史と「マヨイガ」や「光るとき」などここ最近の楽曲に刻まれた“祈り”を踏まえて総合的に書きました。

本文にも書いたけど、去年から今年にかけて『your love』から『our hope』っていう流れが出来上がるのかなり胸が熱い。最初のEPのヒリヒリ感から、ここまで慈しみに満ちたテーマに辿り着きながらも、羊文学としての美し

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「ネットの音楽オタクが選んだ2021年のベストアルバム」で18本レビューを書きました

「ネットの音楽オタクが選んだ2021年のベストアルバム」で18本レビューを書きました

毎年恒例、ブログ「音楽だいすきクラブ」主催の「ネットの音楽オタクが選んだ2021年のベストアルバム」企画で以下のレビューを18本書きました。

・クリープハイプ『夜にしがみついて、朝に溶かして』
・Base Ball Bear『DIARY KEY』
・カネコアヤノ『よすが』
・吉澤嘉代子『赤星青星』
・DIALOGUE+『DIALOGUE+1』
・MONO NO AWARE『行列のできる方舟』

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