月の人

精神科医/ライター。 ポップカルチャーは裏切らないをモットーに Real Soun…

月の人

精神科医/ライター。 ポップカルチャーは裏切らないをモットーに Real Soundでも執筆中→https://realsound.jp/person/about/812327 依頼などありましたら本noteの仕事依頼タブに連絡先あります

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    ”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。

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  • ポッドキャスト『海月の人々(((通信)))』

    月の人とデザイナー“なまずのおばけ”による夫婦ユニット“海月の人々”で録音しているポッドキャスト。我々が日常生活で触れたポップカルチャー作品やさまざまな物事についてあれこれお喋りしていく番組です。

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「ぼっち・ざ・ろっく!」とアジカンが寄り添う自傷的自己愛

臨床場面で向き合う自傷的自己愛精神科外来では様々な病状を抱えた患者と向き合い治療を行う。ストレスの原因となる職場や家庭の環境調整を行い、薬剤を適切に使用することで改善するのが一般的だが、そういった治療だけでは回復に至らない患者も多い。 たとえば過剰に思える程の自己否定を行う患者たち。自分の外見やステータスを卑下したり、社会や家庭環境に不満を述べたりしながら、周囲を困らせる行動を取ったり、時に希死念慮に繋がったりもする。そのような"生き辛さそのもの“を訴える患者はスッキリとし

    • アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』をちゃんと考えてみる②(25話-51話)

      前回1-24話にあたる感想を書いた。アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』の初期の作風、そして一貫して存在する笑いの概要についてはひと通り網羅できたつもりである。今回の記事はアニメの中盤戦にあたる25-51話についてを書こうと思う。 ところで、驚くようなニュースが飛び込んできた。ボーボボの舞台化が決定したのである。このやはり今年はボーボボと向き合うべき年だと確信したので、意気揚々とこの記事も書き進めたいと思う。異形のY2Kとしてのボーボボ考である。 シチュエーション大喜利の台頭2

      • 皮膚との対話/『寄生獣ーザ・グレイー』【ドラマ感想】

        岩明均原作による漫画『寄生獣』を韓国で実写化されたNetflix『寄生獣ーザ・グレイー』。人の脳を奪って寄生する地球外生命体と人類の戦いという漫画の基本要素は引き継ぎつつも、寄生生物が韓国に飛来したという設定で繰り広げられる実質の完全新作。青年漫画らしい薄暗くもエモーショナルな作品性を見事に汲み取り、さらにスピーディな展開や血生臭さを付与し、激しく良い"動き"で魅せる良質で見ごたえあるドラマ版だ。 原作では主人公・泉新一とその右手に寄生したミギーの相棒的な関係性が全面に出さ

        • Netflix「三体」シーズン1が残してくれた関心について【ドラマの感想】

          Netflixで3/21より配信開始となったドラマ「三体」が異次元の面白さであった。元々原作小説の時点で興味はあったが、ドラマ化が決まり、ならばそちらをと思い先延ばしにしておいたのが功を奏してか、全ての展開に驚嘆しっぱなしである。 宇宙スケールのSF作品であり、得体の知れない概念をドカンと突きつけてくる一方、オックスフォードの同級生5人が知力を結集して好戦的な爺さんの下で大義を果たすお仕事ドラマらしい熱量もある。この贅沢な盛り合わせは実に魅惑的だ。 ここでは本作に散りばめ

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        「ぼっち・ざ・ろっく!」とアジカンが寄り添う自傷的自己愛

        • アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』をちゃんと考えてみる②(25話-51話)

        • 皮膚との対話/『寄生獣ーザ・グレイー』【ドラマ感想】

        • Netflix「三体」シーズン1が残してくれた関心について【ドラマの感想】

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          分裂し続けるもの/クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』【映画感想】

          クリストファー・ノーランの12作目の長編映画『オッペンハイマー』を観た。原子爆弾の開発の中心人物であるオッペンハイマー博士を描いた本作。映画2~3本分とも言えるほどの膨大な情報量に圧倒されながら、まさにこれが劇場で観る映画体験であると強烈な実感を覚えた。 時代の異なる3つの物語を並走させる、ノーランらしい時間のコントロール演出で伝記モノである以上の語り口を提示する本作。この映画について、オッペンハイマー自身の“分裂”、そしてもたらされた最悪の結末を幼少期より教え込まれてきた

          分裂し続けるもの/クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』【映画感想】

          歌い踊り揺れる/宮藤官九郎『不適切にもほどがある!』【ドラマの感想】

          宮藤官九郎脚本によるTBS金曜22時ドラマ最新作『不適切にもほどがある!』が完結した。”好きなものを好きと言う“が基本姿勢でありながらもここ数年は総合点を重視した嗜好になっていたが、本作に関しては部分点が突き抜けすぎて自分にとってかなり好きなドラマになってしまった。 確かに雑な描写は多々あるし、正直サカエ(吉田羊)は最後までどう捉えれば良いか難しかった。しかしそれだけで見限ることは私には出来ない。今の私に必要な"揺さぶり"をくれる作品に思えたからだ。ゆえにこの記事では個人的

          歌い踊り揺れる/宮藤官九郎『不適切にもほどがある!』【ドラマの感想】

          2024年3月を振り返る

          育休の隙間を縫ってあれこれ書きました。 今月書いた記事ベボベのレビューはかなり力が入った。人生と音楽って重なるもんですね。 読書、続いてます。森見登美彦は作風の地続き感がアーティストぽくて感想が書きやすい。 街裏ぴんくさん、おめでとうございます。お笑いをどう語るか、はまだまだ模索中。 自分のルーツと向き合うことも今年はしっかりやっていこうと思います。ボーボボ論考は全3回を予定。 ずっと書きそびれていたジブリパークの記録を、オスカー記念に。 遅日記は月イチペースかな

          2024年3月を振り返る

          2024年3月のポッドキャスト『海月の人々(((通信)))』

          久々の更新となる夫婦ポッドキャスト「海月の人々(((通信)))」第30回は新メンバー・ベビの人の加入記念にお互いの人生に影響を与えた100のコンテンツを語りました。 前編は月の人。 後編はなまずのおばけ。 それぞれの100コンテンツは以下の通り。 月の人 《音楽》 ORANGE RANGE BUMP OF CHICKEN ASIAN KUNG-FU GENERATION Base Ball Bear フジファブリック チャットモンチー くるり the pillows

          2024年3月のポッドキャスト『海月の人々(((通信)))』

          断念から始まる世界/森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」【本の感想】

          1月に刊行された森見登美彦4年ぶりの新刊「シャーロック・ホームズの凱旋」。本作はヴィクトリア朝京都なる世界を舞台に、名探偵シャーロック・ホームズや助手のワトソン君をはじめ、シャーロックシリーズでお馴染みのキャラクターが登場する二次創作シャーロック作品でもある。 京都の建築や地名がひしめき、登場人物のパーソナリティも少しずつ異なる“京都リミックス”が施された本作。おまけにシャーロックがスランプで謎を解きたがらずウダウダ生活しているというのが主軸で、京都×オフビートコメディとい

          断念から始まる世界/森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」【本の感想】

          アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』をちゃんと考えてみる①(1~24話)

          30歳を迎え、子供が生まれ、取るべき資格試験を一応全て終え、人生が一区切りついたように思うこの折。こういう時こそ、自分のルーツに向き合おうと思い今年からNetflixで配信開始となった『ボボボーボ・ボーボボ』を観直してみたのだが、あまりにも私のポップカルチャー体験の原点すぎて感動すらしてしまった。超越、突飛、不条理。好きな表象表現の全てがあったのだ。 『ボボボーボ・ボーボボ』は澤井啓夫・作で2001年~2007年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた漫画で、アニメ版は20

          アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』をちゃんと考えてみる①(1~24話)

          そのリズムに転がされ【遅日記】

          3-4時間おきにミルクを作り、我が子に飲んでもらうというルーティーンが日常に加わって幾ヶ月か経つ。3月から育児休暇を取ってからはさらにそのリズムと併走して生きている。ミルクを与え、眠りこけることもあれば、泣いてオムツを変えることもある。吐き戻したり、しゃっくりで落ち着かなかったり。様々なパターンがある。 我が子が穏やかなタイミングを見てあれこれと用事を済ませたり、穏やかじゃない時も断腸の思いで用事を済ませたりする。生活のタイムトライアルをしてるみたいで、非常にゲーム性が高い

          そのリズムに転がされ【遅日記】

          街裏ぴんく/虚構の身体性

          街裏ぴんくがR-1グランプリを獲ったという嘘のような本当の報せにとてつもなく心が踊った。そして実際に放送を確認して更に興奮する。ピン芸という何でもアリの大会において、漫談というステゴロなスタイルで勝ち切っており、しかも最終決勝ネタは彼のポッドキャスト番組「虚史平成」で放送された漫談をベースにしていたからだ。 これだけ多彩な笑いの選択肢が溢れる現代において、彼のスタイルはどんな場所でも変わらない。嘘を堂々と漫談として語っていくあのネタのみ。劇場だろうが、寄席だろうが、テレビだ

          街裏ぴんく/虚構の身体性

          ジブリパークの記憶をたどる

          1年と少し前、愛知に住んでいた時期に2度ジブリパークに行った。その時はまさか「君たちはどう生きるか」が人生レベルの大事な映画になるとは思っていなかったので、ジブリへの興味関心はそこそこ、トトロとぽんぽこは大好き、ぐらいのテンションで行ったのだった。 久々にその写真を読み返すと、どこか不思議な感じがした。その不思議さを言い当てるべく、ジブリパークの記憶を写真と共に辿りながら振り返っていこうと思う。 ジブリパークは愛知県長久手市のモリコロパークに建設されている。モリコロパーク

          ジブリパークの記憶をたどる

          戻れないけど消せもしない/Base Ball Bear『天使だったじゃないか』【ディスクレビュー】

          子どもが生まれてから生活は変わった。粉ミルクを溶かす時間がルーティーンに組み込まれ、泣き叫べばオムツを変え、それでも泣き続けるならば抱っこする。当たり前のことだが、妻とともに育児に向き合う日々は去年までの自分とは全く違う。しかし買い物に行ったり、出勤したりする時にはいつも1人。そんな時、慣れ親しんだ音楽を聴けば自分が我が子の親になったという事実と同時に、今までと変わらない自分もまたここに居続けているという事実に気付くのだ。 Base Ball Bearが2月28日にリリース

          戻れないけど消せもしない/Base Ball Bear『天使だったじゃないか』【ディスクレビュー】

          2024年2月を振り返る

          赤子が生まれてなお、ポップカルチャー摂取は止まらないぜ!! 今月書いたnoteかなり濃いめの映画感想を2本書きました。こういう解釈のし甲斐しかない映画ばかり観ていきたいものです。 今年は本を読んでいきたい、という意思表示で読書感想文を2本。 子が生まれたので、いちいち日常に強い感情が芽生えがち。書き残していこうと思います。 今月の寄稿記事Real Soundは1本。 そして「音楽だいすきクラブ」の「ネットの音楽オタクが選んだ2023年のベストアルバム」のレビューに2

          2024年2月を振り返る

          2024年3月に更新したPodcast『ポップカルチャーは裏切らない』

          今月は2本、1人喋りのみ。 1月末に子どもが生まれました。その歓喜と、その後に訪れたのっぴきならないワンオペの日などについて喋りました。そして、ポップカルチャーとの接着点が今どうなっているか、という、育児と文化の両立についてもいくつかの思いを述べました。 久々の映画回。アリ・アスター監督、ホアキン・フェニックス主演「ボーはおそれている」と、ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演「哀れなるものたち」を続け様に見たのでその感想を。母と息子、父と娘という自分ごとで語らざ

          2024年3月に更新したPodcast『ポップカルチャーは裏切らない』