月の人

精神科医/ライター。 ポップカルチャーは裏切らないをモットーに Real Soun…

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精神科医/ライター。 ポップカルチャーは裏切らないをモットーに Real Soundでも執筆中→https://realsound.jp/person/about/812327 依頼などありましたら本noteの仕事依頼タブに連絡先あります

マガジン

  • 月ごとの色々

  • ポッドキャスト「ポップカルチャーは裏切らない」

    毎週火曜に更新予定のポッドキャスト。暇つぶしにだらだらと好きなカルチャーについて喋っています。

  • 50音で語る

    “あ”〜”ん”まで、50音の頭文字で始まるものを順番に語っていくシリーズ企画です。対象となるテーマは物事、人物、作品など様々。主に自分の根っこに息づく趣味嗜好を掘り下げて、不定期で自分語りをしていこうと思います。

  • ポップカルチャーは裏切らない

    ”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。

  • 舞台作品の感想

    演劇だけでなく、お笑いライブの感想など

最近の記事

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「ぼっち・ざ・ろっく!」とアジカンが寄り添う自傷的自己愛

臨床場面で向き合う自傷的自己愛精神科外来では様々な病状を抱えた患者と向き合い治療を行う。ストレスの原因となる職場や家庭の環境調整を行い、薬剤を適切に使用することで改善するのが一般的だが、そういった治療だけでは回復に至らない患者も多い。 たとえば過剰に思える程の自己否定を行う患者たち。自分の外見やステータスを卑下したり、社会や家庭環境に不満を述べたりしながら、周囲を困らせる行動を取ったり、時に希死念慮に繋がったりもする。そのような"生き辛さそのもの“を訴える患者はスッキリとし

    • 2024年10月を振り返る

      下旬はヘヴィな原稿と向き合っていたので、今月は上旬にいっぱい更新。決してさぼったわけではないです!後日、お知らせさせてください。 今月書いたnote 久々にライブレポートをしっかり書いてみた。一点突破と拡大解釈。それぞれに特化した2本。 全然読まれなかったけどスルスル書けた。この目線で『Cloud』語ってるのレアと思います。 本当は書くつもりなかったけど、思わず溢れてきたので。短いですが、弾け飛ぶ種の文章かと。 今まで決めてきた「ベスト女の子ランキング」をまとめる上

      • 2024年10月にアップしたPodcast『ポップカルチャーは裏切らない』

        今月は2本、合計5本を更新。 第122回はハタショーさんとの恒例企画、「ポップカルチャー定期健診 2024.7-9月」です。過去最長の回となりました。 [回診]クリープハイプ トリビュート [回診]街裏ぴんく&ランジャタイ 🚩米津玄師「がらくた」 🌙米津玄師『LOST CORNER』 🚩「SILK LABO」(女性向けAVレーベル) 🌙宮藤官九郎ドラマ「新宿野戦病院」「終りに見た街」 🚩 "あ"から始まるドラマ「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」「あの子の子ども」 🌙映画「

        • 《お》乙葉【50音で語る】

          乙葉 最初に好きになった芸能人 男子ってたぶん小学校高学年ぐらいから友達の間で「好きな女性芸能人、誰?」みたいな話題が出てくると思うのですが、私がそれを聞かれてよく答えていたのが乙葉だったと記憶しています。それに次ぐぐらいEvery Little Thingの持田香織の名もしょっちゅう挙げてた気がしますがそれはたぶん中学生ぐらいから。ゆえに、最初に好きになったのは乙葉ということで確定で良いはずです。 乙葉の存在を初めて認識したのは恐らく「笑っていいとも!」ですね。調べて

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          ラブレターズ、愛は光/『キングオブコント2024』

          キングオブコント2024、優勝となったラブレターズのネタは素晴らしかった。バリカンのジュビロサポーターと海釣りナンパ師が浜辺で交差する前衛的かつ混沌とした2本目の決勝ネタも最高だったが、ここで強く語りたいのは1本目。「光」と名付けられたあのネタについてである。 引きこもりの息子を抱える夫婦が、息子のズボンのポケットからどんぐりを見つけるところから始まるこの物語。“外に出ているかもしれない”という可能性が少しずつ2人の心を支え直していく導入。リアルなラインの喜びの発露にグッと

          ラブレターズ、愛は光/『キングオブコント2024』

          1つのサクセスストーリーとしての黒沢清『Cloud』【映画感想】

          黒沢清、今年3本目の新作映画『Cloud』。転売屋の男が知らずに周囲から反感を買い、いつしか恐怖の渦中へと引きずり込まれるという物語で、薄気味悪いサスペンススリラーなのだが、どうにも妙な高揚感が止まらない作品でもあった。 この物語を味わい直してみると、おかしな部分も多々あるのだが極めて王道で、ある種のサクセスストーリーを描いているように思えた。暴力と恐怖の連鎖による精神の成長譚という切り口で、ユング心理学を用いつつ本作を掘り下げてみたい。 劣等感コンプレックスの闘争主人公

          1つのサクセスストーリーとしての黒沢清『Cloud』【映画感想】

          箱庭の正しさについて/9.21 UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2024『20th BEST MACHINE』@福岡サンパレス

          ユニゾン結成20周年を記念する、7月リリースのベストアルバムを引っ提げたツアーの福岡公演に行った。事前にシングル曲をメインとしたセットリストになることがインタビューで予告されており、普段のように過去のアルバムからも満遍なく選曲するツアーになることは明白であった。ベストアルバムの収録は20曲以上、普通に全てやればワンマンの尺は足りてしまう。ある意味、これまでで最も何を演奏するかを想像しやすいツアーであった。 しかし始まってしまえば想像は容易く裏切られる。やるとは思っていた曲を

          箱庭の正しさについて/9.21 UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2024『20th BEST MACHINE』@福岡サンパレス

          ベールなどなかった/9.20 羊文学 TOUR2024「"soft soul, prickly eyes"」@ Zepp Fukuoka

          羊文学、1年ぶりのワンマンツアー。去年は参加できなかったので福岡でワンマンを観るのはこれが初めてとなる。いちおうアルバム『12 hugs(like butterflies) 』が出てからは初の全国ツアーだが冒頭3曲が「金色」「電波の街」「風になれ」と続き、アルバムとは無関係なことをそれとなく示す。既にリリースから9ヶ月が経過しているゆえ今回はフラットに、今歌いたい曲が選ばれているように思えた(「GO!!」が無かったことには驚いたが。) 。 そして印象的なのはステージの前面に

          ベールなどなかった/9.20 羊文学 TOUR2024「"soft soul, prickly eyes"」@ Zepp Fukuoka

          2024年9月を振り返る

          今月書いたnote 本作のことはよく考えました。同業者が精神科的見地から"考察"しててゾッとしたので、絶対にそのアプローチでは書かんぞと思いながら書きました。 今年のクドカンのドラマの感想を書くときはどうしても自分の話をし過ぎてしまいますね。「終りに見た街」も凄かった。総括的なものも書きたいです 久しぶりにフェスのレポートなんかを書いてみました。さようなら、と書きつつ、絶対に復活を諦めてないぞという気持ちでずっといます。 とらつば最終話の日に書いたので遅日記ではないけ

          2024年9月を振り返る

          2024年9月にアップしたPodcast『ポップカルチャーは裏切らない』『海月の人々(((通信)))』

          今月は山盛り更新! 夫婦ポッドキャスト『海月の人々(((通信)))』第32回は前半に野木亜紀子脚本の映画「ラストマイル」を、後半に松尾スズキ作演出の演劇」「ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」の話をしました。どちらも阿部サダヲの出演作、そして"欲望"を扱っている作品ということで妙に呼応した2作品でした。 『海月の人々(((通信)))』第33回は本日千秋楽を迎えたシソンヌライブ[treize]の感想回。初めてのシソンヌ単独ライブへの参加しが喜びとその内容を大いに語りつつ、後

          2024年9月にアップしたPodcast『ポップカルチャーは裏切らない』『海月の人々(((通信)))』

          「虎に翼」とオープニング食いつきベビのこと

          「虎に翼」が終わった。個人的に2013年「あまちゃん」以来の朝ドラ完走。「あまちゃん」が新たな層に朝ドラの存在を訴求した作品だとするならば、「虎に翼」は別角度から朝ドラの在り方を照らし直す強烈な1作だった。 伊藤沙莉を始めとするコメディ巧者たちによる軽妙な会話劇、生活へと持ち帰りたい重厚なメッセージなど様々に受け取ったものはあるが1つ大きなものとしてオープニング映像の素晴らしさがある。米津玄師が歌う主題歌「さよーならまたいつか!」が一体となったOPが流れ出す時、我が家のベビ

          「虎に翼」とオープニング食いつきベビのこと

          もっと読まれて欲しかった記事 10選 part.3【note900記事記念】

          書き続けて900記事を突破しました。しばらく投稿数区切りの記念記事はやってなかったんですがさすがに1000が近づきつつあるので意識しておこうと今回はやってみた。久々にもっと読まれて欲しかったなぁ、とひそかに思ってる記事を10選してみました。400記事、600記事記念ぶりですね。 でも2023年からnoteの書き方を変え、告知記事とかを減らして以降は正直どれもしっかり届いてる感じがあります!皆様いつもありがとうございます! 1.心は過去でできている〜『CITY LIVES』

          もっと読まれて欲しかった記事 10選 part.3【note900記事記念】

          病名のつかない苦しさ/『ナミビアの砂漠』【映画感想】

          山中瑶子監督による映画『ナミビアの砂漠』が素晴らしかった。2人の男性を翻弄する魅力的で危うい女性の話、などと簡単に説明することは憚れる。この作品はまだ映画として表現されたことのない感覚を、主演である河合優実の爆発的な身体性を通して掴み取ろうとするような作品と言えるからだ。圧倒的な作家性と、圧倒的な役者の力が交差した衝動的で奇跡的な1本だ。 本作の素晴らしさは様々な作品で掻き回し役として消費されてきた、“メンヘラ”と呼称されるような人物を眼差し、分かりはできずとも共に在ろうと

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          医療でドラマを描くということ/宮藤官九郎「新宿野戦病院」

          宮藤官九郎、今年3本目の連続ドラマ「新宿野戦病院」。新宿・歌舞伎町に立つ聖まごころ病院を舞台に、美容整形外科医の高峰亨(仲野太賀)、アメリカ帰りの元軍医ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)ら医者たちと、スタッフ、そして患者たちの関わり合いを描く作品である。もちろんコメディだ。 私はエンタメ作品において、医療モノというジャンルを苦手としている。ドラマの展開として“患者が助かる”か“患者が助からない”しか見どころがないという偏見が強かったからだ。大好きな宮藤官九郎だが今回は医療

          医療でドラマを描くということ/宮藤官九郎「新宿野戦病院」

          さようならSunset Live

          30年以上の歴史を持ち、福岡の地に根付いてきた糸島が誇るフェスSunset Live。しかし今年でファイナルということで、初日のみだけどお別れを言うべく参加してきた。サーフカルチャーにもヒッピーカルチャーにも縁遠い私だけど、良い音楽の前でそんな防衛本能は関係なくなってしまうわけで。 私は2018年に初参加しすっかり虜になり、2019年は2日通し(Day1,Day2)で参加。コロナ禍を経て、久々の参加となったのだけどその魅力は全く変わらず、さらにファイナルということもあってか

          さようならSunset Live

          2024年8月を振り返る

          かなり暑かった日々。胃腸をやられて終わった瞬間もありましたが、なんとか持ち直しました。 今月書いたnoteみんなほどアンナチュラルもMIUもめちゃ好きってわけではないのでスルーしかけてたのですがとんでもない傑作でひっくり返りました。フロイトの言葉を胸に。 デカいカエルがどっちの映画にも出てるー!という一点突破で書いたnote。なんか昔書いてた感じの文章を思い出す強引さがあって個人的には大好き。 20曲全部に触れながら書けるとは自分でも思っていなかった。何としてでも解釈し

          2024年8月を振り返る